シンデレラ制作と妊娠と家族と

こんにちは。イラストレーター・絵本創作家のはっとりまりです。

前回は、9月に生まれた赤ん坊との生活や、6歳の娘の心の動きなどをお話ししました。
「じーんときました。」などのご感想をいただきまして、とても嬉しかったです。
どうもありがとうございます。

赤ん坊が生まれてから2か月が経ち、体全体が丸みを帯びてきました。
また、こちらの声に「ん~。あ~。」と反応したり、時には笑うことも!
赤ちゃんの成長はめまぐるしいです。

近所への外出もできるようになり、行ってみたかった本屋さんや、カフェなどにも赤ん坊を抱っこして、お散歩がてら行ってみました。
2番目あるあるですが、第1子の時よりも外出時間が長めになったり、コーヒーを飲んだり、ゆるい子育てをしています。

さて。
親子の時間研究所の読者の皆さまにはお馴染の『おそらの絵本』シリーズ。
今年9月に新作がたくさん発売されました。

じつは、
その中の『シンデレラ』の再話と絵を担当させていただきました。
もう、見てくださった方もいらっしゃるのでは・・・と緊張気味ですが、今回は『シンデレラ』を制作していたころのことをお話ししたいと思います。

妊娠と不安 ​

てあらいえほん『あわまる』の仕事が佳境に入った頃、妊娠が分かりました。
正直、一番先に頭に浮かんだのは「仕事を続けられるか。」という不安でした。

家で仕事をしているとはいえ、赤ん坊のお世話をしながら絵を描く時間を確保することは難しそうです。
また、月に一度のおはなしかいの準備や、他にもおもしろそうなオファーをいただいていたので、そちらをどうするか・・・。

希望の保育園に入れるだろうかという問題も浮上します。
私は長年保育士をしていたので、保育園のよい側面、悪い側面の両方を知っています。
我が子を保育園に入れるのなら、希望の保育園以外は望まないというのが本音です。
第1子が通っていた保育園で保育事故に遭い、(幸い命に別条はありませんでしたが)とても後悔したので、なおさらなのです。

不安な気持ちを抱えていると、なかなかお腹の子と向き合えません。
そこで、夫と相談のもと、これまでの生活を見直しつつ、仕事を続けるための準備や赤ん坊が生まれてくるための環境を整えていく作業をしていきました。

妊娠は、人生設計を仕切り直す機会でもありますね。
不安はあれど、未来をあれこれ想像することは、なかなか楽しかったです。
そうこうしていくうちに不安要素がひとつずつ減っていき、妊娠を心から喜べるようになりました。

妊娠しても、子どもがいても仕事が出来るんだよ ​

『あわまる』の仕事がひと段落したあと、『シンデレラ』のお話をいただきました。

妊娠中は何が起こるか分からないので、引き受けたいけれど、引き受けてよいものか・・・と悩みました。
そしてそのことを担当者さんに伝えると、
「よかったですね!おめでとうございます。嬉しい!!」
と自分のことのように喜んでくれ、承知の上で、依頼してくれたのです。

「妊娠しても、子どもがいても仕事が出来るんだよ」
と認められたような気持ちがして、とても嬉しかったですし、安心しました。

本当は怖~い?シンデレラ ​

シンデレラの再話ということで、原作やいろいろな絵本を調べてみました。

シンデレラの原作は、フランスの作家シャルル・ペローによります。
ペローは、あのベルサイユ宮殿を作ったルイ14世に仕えていたそうです。
ルイ14世の時代は17世紀の終わり、日本の江戸時代にあたりますので、とても古いお話です。
昔のお話ですが、今でも愛され語り継がれる名作ですね。

グリム兄弟の『シンデレラ』も有名です。
グリム兄弟が活躍したのは19世紀前半ころです。ペローの原作をもとに、グリム流のアレンジがされています。
グリム兄弟の『シンデレラ』では、意地悪なお姉さんの足にガラスの靴が入らないので、お母さんが足の指を切るようにと言って、本当に切ってしまうなどの怖い場面もあります。

魔法使いが出てきて、かぼちゃが馬車になったり、美しいドレスに身を包むシーンが出てくるのは、ペローのお話です。
ディズニーの『シンデレラ』はペローのお話をもとにしていますね。

『おそらの絵本』では、ペローやディズニーのおはなしの再話となっています。

シンデレラと王子様は15~16歳くらいの設定と思っています。
一目惚れの相手に一途に向かっていけるところは若いからこそでは・・・。初々しくていいなあと思います。

再話を書く際にどうしても入れたかった一文がありました。
それは、お姉さんたちがガラスの靴を試すシーンで、
「そのようすをみていた シンデレラは ゆうきをだして「わたしにもはかせてください。」といいました。」
という文章です。
この、シンデレラの勇気がなければ、2度と王子様に会うことはできなかったでしょう。
ここぞというときに自分の幸せを掴みにいったシンデレラに拍手を送りたいです。

娘と一緒におひめさまの絵を描く

幼いころ、私は毎日のようにお姫様の絵を描いていました。
目はキラキラで、ドレスや髪形を幾通りも変えて・・・。
でも、いつの間にかお姫様の絵を描かなくなり、描き方さえも忘れていました。

『シンデレラ』のキャラクターを考えながら、幼い日のことを思い出していました。
あの時のように描けたらなあ・・・。

私の机の上にはシンデレラの絵が何枚も置いてあったのですが、当時5歳の娘は、それらの絵を興味津々で見ていました。
そして、ほとんど毎日夕食後に、「いっしょにおひめさまのえをかこう。」
と誘われるようになりました。

それで、何度も一緒に描きました。
子どものころに戻ったみたいに、夢中で描いていました。

娘は、最初私が描いたものを真似していましたが、回数を重ねるうちに、
自由な発想でドレスや髪形を好みの色や形に仕上げていくようになりました。
子どもって、すごい!

切り抜いて、着せ替えにもしました。
着せ替えのためのドレスも何枚も描きました。

仕事で描いた絵が思いがけず親子のコミュニケーションの時間に発展し、よい意味で緊張感が抜けたように思います。
『おそらの絵本 シンデレラ』の絵は、難しいと感じるものも多かったのですが、楽しく描き続けることが出来ました。

想いの詰まったシンデレラ

もう既にご購入いただいた方も、ご検討中の方も、このコラムをご覧になってご興味をもたれた方も、『おそらの絵本 シンデレラ』をお子さんとご一緒にお楽しみいただけたら嬉しいです。
また、ご感想など教えていただけたら幸いです。

『おそらの絵本』は、『シンデレラ』のほかにもたくさんのおはなしがあります。
お子さんとご一緒にお気に入りのおはなしをぜひ、見つけてみてくださいね!

おそらの絵本

シンデレラはこちら

 

 

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