化石発掘10周年【対談】イラストレーター松島ひろしさん④
発売10周年を迎えた触れる図鑑シリーズ「化石発掘」。
その図鑑ページにある恐竜イラストを手掛けた、イラストレーター松島ひろしさんにインタビューする機会をいただきました。
【イラストレーター松島ひろし】さんってどんなひと?
都内在住のイラストレーター
映画やテレビの美術製作や、専門学校での非常勤講師といった経歴を持つ。過去の作品として、雑誌・ムック本の挿絵イラストはもちろんのこと、NHKの番組のイラストや美術製作、ゲーム「モンスターハンター」のイラストなど、活躍するジャンルは幅広い。
親子の時間研究所でも、触れる図鑑シリーズ「化石発掘」の恐竜時代のイラストや、おそらの絵本「ピコポコプー」のイラストの他、親子の時間研究所研究員として「大きな新幹線塗り絵」を開発している
前回のお話
(いつ頃絵に目覚めたのかを教えていただきました。絵を描くようになったきっかけや、それ以外に興味を持ったことなどについても伺っています。)
松倉「松島さんは、影響を受けた人や尊敬している人はいますか?」
松島「決定的に影響を受けた人はいないかも…。
とはいえ、子ども向けの漫画やテレビ番組からは影響を受けたことでしょうね。
漫画、アニメ、特撮番組の登場人物はもとより、それを創作した漫画家、監督、映像作家のひとたちがいます。その他、いままですべてのものつくり、創作をなし得た人。それを畏敬の念を持ちます。絵、音楽、映画、文学、建築、哲学、システム、その他その他…それらを構築したすべての先人を尊敬します。
ありがちなことですが、偉人、先人の伝記で年齢が同じ時に自分はなにを成し遂げているか?が気になりますね。他人は他人、人には人のペースがある、と気持ちを収めたのはつい最近のことかもしれません。」
松倉「確かに。私も子どもを産んでから特に、子どもと同じ年齢の時に何をしていたのかというのが気になるようになりました。ですので一人の母として、イラストレーターという職業で活躍する松島さんの幼少期の話はとても興味深かったです。私はまだしばらく他人のペースが気になってしまうかもしれません…笑」
松倉「ではイラストを描くお仕事で嬉しかったことはなんですか?」
松島「ギャラが振り込まれた時?はもちろんですが笑、依頼してくれた人に喜ばれた時は本当に嬉しいですね。
やりとりのなかで先方からのメールでの文面で恐る恐る探るしかないのですが、意向に添えたのか、満足して頂けたのかは想像か、報酬額かで判断します。」
松倉「なるほど!報酬額で判断という場合もあるのですね!(笑)」
松島「でも、よく描けた!なんて自分が満足してもそれが望まれたものでない場合があります。
決して自己満足や勝手な思い込みで筆を進めないようにしています。
ある時、インターネットでエゴサーチしてみました。さる掲示板のQ&Aで『魅力的な絵を描くためには?』の問いに、見ず知らずのどなたかが雑誌の表紙で発表した私の絵を引き合いに出してくれていたことを発見した時があります。
それは、モチーフをあるジャンルに絞った時の質問ですので、なおさらでした(嬉しかった)。」
松倉「それはかなり嬉しい出来事でしたね!!見ず知らずの人が声を上げてくれたからこそ嬉しいですね」
松島「特定のジャンルには専門家、ファンがいて、こだわりを持っています。それに応えつつ、さらに絵としての魅力を出していけたら、と取り組みます。この手の仕事はリサーチや深い理解が必要なのでたいへんですが、その甲斐を感じるような瞬間でしたね。」
松倉「では逆に、失敗したなと思うことはありますか?」
松島「今でもたくさんありますよ。毎日やらかしてると言って過言ではありません。
叩けばホコリの出る人間です。夜、枕に顔を埋めて激しく真っ赤になることだらけです。」
松倉「(笑)」
松島「仕事においては『だいたいこんな感じでしょう?』と油断して取り組んだ仕事は、必ず、つまづきます。
どんなものでも意向があり目的があります。それを外してしまったら次はありません。恐ろしいことです。
さらに、エンドユーザーの目も厳しい。ひとを尊重して大切に観察し、応えないといけませんね。」
松倉「なるほど。フリーランスだからこその大変さもあるのですね。」