『かいじゅうたちのいるところ』がもっと好きになる!絵本の技法で楽しく工作

こんにちは!絵本と工作が大好きなライター・浜田夏実です。

私は4歳の娘とよく絵本を読むのですが、ある時、「絵本をテーマにした工作をしたら、親子で楽しめるのでは」と思いつきました。

そこで考えたのが、モーリス・センダック作『かいじゅうたちのいるところ』(冨山房、1975年)の技法を使って絵を描いてみるというアイデアです。

モーリス・センダック作、じんぐうてるお訳『かいじゅうたちのいるところ』冨山房、2011年(初版:1975年)

センダックが『かいじゅうたちのいるところ』で用いたのは、クロスハッチングという技法。線を異なる方向に引いて交差させ、陰影や質感を表現する手法です。
かいじゅうの毛並みや木の葉っぱに注目すると、短い線が細かく描き込まれているのが分かりますよ。

今回は、クロスハッチングで「かいじゅうたちの島」の風景を作る工作をご紹介します!
こちらが、親子で作った作品です。

カラフルな線を交差させた紙を切り貼りし、葉っぱと雲を表現しています。また、島や海、空の部分は、絵本から着想を得てのびのびと描いていました。

親子で簡単に楽しめるアイデアを考えましたので、「技法を使うなんて難しそう」と感じた方も、安心して読んでみてくださいね。

技法を気軽に楽しむ準備をしよう!

この工作は、ご自宅にあるものを揃えれば、いつでもスタートできます!準備するものはこちらです。

《準備するもの》
①らくがきちょう
※お子さんが描きやすいサイズでOKです。画用紙など少し厚みのある紙を使うと、お部屋に飾って楽しめますよ。
②ハサミ
③スティックのり ※液体のりでも可
④水性ペン
⑤色鉛筆
⑥クーピー

※ハサミを使う際は、お子さんがケガをしないよう、十分ご注意ください。
※絵を描くための道具は、④〜⑥に限らず、お好きなものをお選びください。

絵本を一緒に読んでみよう!

まずは、工作のイメージを広げるために、親子で『かいじゅうたちのいるところ』を読んでみましょう。
お手元に絵本がないという方は、インターネットでタイトルを検索すると、表紙の画像が表示されますので、お子さんと眺めてみてくださいね。

絵本をお持ちの方は、主人公のマックスが「かいじゅうたちのいるところ」で過ごすシーンを見ると、かいじゅうの暮らしや島の様子が分かるため、描きたい絵のアイデアが浮かびやすいですよ。

そして、お子さんがクロスハッチングに興味を持てるよう、ママやパパが実際に描いてみるのがおすすめです!上の写真のように、向きを変えて線を引くだけでOKです。

実演する時に、絵本のページを見ながら、「葉っぱの部分は線が重なっているね」など説明を加えると、さらにお子さんが関心を示してくれるでしょう。
娘は興味津々で、「早く描いてみたい!」と意気込んでいました。

クロスハッチングで新しい表現に触れてみよう!

「かいじゅうたちの島」のイメージがわいてきたところで、さっそくお絵描きスタート。

当初は、子どもがクロスハッチングにチャレンジする想定だったのですが、娘は自由に描きたい気持ちが強かったため、早々に方向転換しました!
私がクロスハッチングを描き、娘にはそれを好きなように切り貼りしてもらうことにしたのです。

最初に、クロスハッチングで線を引いた紙をハサミで切り、木の葉っぱを作りました。

すると、ハサミで切ったり手でちぎったりするのが楽しかったようで、「もっと貼りたいから、たくさん描いて!」と言ってくれました。

お子さんが好きなように作りたい場合は、ママやパパがクロスハッチングを描き、それをひとつの素材として使うと、楽しく取り組めますよ。

制作を進めていると、娘がブルーのペンを手に取り、葉っぱに細かい線を描き始めました。
「センダックの細やかな描写が、娘にはこんな風に見えているのかな」と気づきを得た瞬間でした。

技法を使って新しい表現に触れたのが面白い体験だったようで、「もう1枚描きたい!」とリクエストが。

海に浮かぶ島やマックスのボートを、のびのびと描いていました。
さらに、表紙のかいじゅうを指差し、「この子も描いてみようよ!」と話す娘。かいじゅうが海を泳ぐ姿を想像しながら、色鉛筆で表現していました。

クロスハッチングをした紙も使って、魚やヒトデなどの海の生き物を切り貼りして作り、にぎやかな風景が完成。

1枚目の作品
2枚目の作品

『かいじゅうたちのいるところ』の世界が垣間見える、いつもとは一味違う絵が出来上がりますよ。

工作を通して絵本がもっと好きになる

これまで、娘と『かいじゅうたちのいるところ』を読む機会があまりなかったのですが、工作をして興味がわいたようで、自ら絵本を開くようになりました。
1ページずつ丁寧にめくる仕草からは、絵本への思い入れが感じられます。
技法の面白さと初めて触れる表現に関心を持ったようで、「またやってみたい」と言ってくれました。

これからも、絵本がもっと好きになる工作を考えて、親子で楽しめるアイデアをご紹介します。次回のコラムもお楽しみに!

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