私の『うつ病』体験談。家事育児をするのは地獄のよう。
うつ病、躁うつ病とは
宮崎あおいさんと堺雅人さん共演の映画「ツレがうつになりまして」の題材となったうつ病ですが、知らない人が少ないほど皆さんに浸透した言葉じゃないでしょうか。
それでもまだまだうつ病のことをよく分からず「甘え」「逃げ」「弱い」などネガティブな感情を抱く人はいます。
まず、うつ病とは脳の機能障害の一種で、食欲、睡眠欲、性欲などの低下といった心理的症状が現れます。
躁うつ病(双極性障害)とは、ハイテンションとローテンションが行ったり来たりすることです。
気分の上昇は誰にでもあるものですが、その頻度が高く、自己では感情のコントロールが難しい状態を指します。
抑うつ状態だと言っても、ネガティブな性格や気にしすぎだとか、一時の物だとか安易に考えれて見落とされることが少なくありません。
相談しても気にしすぎと言われて落ち込む人がいます。ちなみに私です。
しかし、うつ病はただの一時的な落ち込みや不安とは違い身体的にも不調が現れます。
頭痛、肩こり、首筋の痛み、食欲の増減などなど。
精神科医でも一概にはうつ病とは言い難いそうなのですが、「傾向」がある人は疑ってみてもいいかもしれませんね。
しかし、自己判断は危険なので必ず医師に相談してくださいね。
かかりやすい人
うつ病は真面目だったり、責任感の強い人がかかりやすいと言われていますが、現代人は保育園児、小学生だろうと大人だろうと日本に生まれた限り、ストレスとの戦いです。
誰でもなり得る病気だと言われています。だから特別ではないのです。
けれど、自分は絶対そんなものにはならないと良い、ストレスを理由で休む人を非難する人がまだ多いのが現状です。
筆者は双極性障害と診断されました。
うつ状態になった時に家事が思うようにできなくなり、落ち込み、涙が止まらなくなりました。
保育園に行ってももちろん、何もできなくて泣きながら「仕事に行けません」と主任に訴えました。
味方であるはずのクラスの先生たちは、私に励ましのつもりで「私たちもストレスあるけど、頑張ってるよ」「みんなも同じ」と言いました。
その言葉が心にトゲが刺さりました。
いつもなら笑えることでも、その時は突き落とされたような気分になりました。
確かに私はパートで、正規職員の先生たちより抱えている仕事は少なかったです。
ですがストレスの感じ方は「みんな同じ」ではないのです。
うつ病は誰しもなる病気ですが、症状は人それぞれです。
全く食事が食べられなくなる人、過食する人、四六時中どんよりする人、人前では明るく振る舞える人。
見ただけでは全く分かりません。笑っているあの人だって、うつ病かもしれません。
だからこそ「そんなことで落ち込むなよ」なんて私は口が裂けても言えません。
言われた時は傷付きましたが、悪気があったわけではないと今では理解しています。
特に家庭を持つ女性は、家事、育児に加えて仕事、学校関係、婦人会など様々な「やるべきこと」があります。
男性のうつ病と女性のうつ病は抱える問題がまた違うので、当てはめるのは難しいかもしれません。
また母親はうつ病になったからといって「休養」は出来ません。
けれど、「楽すること」はできます。
頑張っている母が美しいと言う、昔ながらの美徳をそろそろ消し去ってもいいのではないでしょうか。
母親は休む暇なし?
母親のやることはたくさんあります。私は朝が来なければいいのにと思うくらい朝が大嫌いです。
夜は掃除したり、片付けに追われたり、子ども達をお風呂に入れたりで常にバタバタしていました。
要領が悪いと言われればその通りですが、とにかくバタバタバタバタ。
その間、夫はというと自室にこもってオンラインゲームをし、大声で笑っていました。
寝かしつける時ですら大音量。
腹が立っても私は頼めませんでした。
夫は家にいても基本動きません。子ども達と遊んでいてとお願いしても「えー」と言い、娘達はすぐ私の元にやってきて遊んでとまとわりつきます。やることに追われている私はそれすら鬱陶しくて、子どもにはきつく当たっていました。
休みの日も娘達は夫と公園に行きたがりません。
私が夫に「連れて行ってきて」とお願いすると「わかった」と言ってくれますが、娘達は「絶対行かない」と断固拒否。
関係性が全く出来上がっていないのです。
赤ちゃんの頃から「お父さん嫌、お母さんがいい」と私にべったりでした。
夫が抱っこすると顔を私の方に向けて「助けて」と訴えるように泣きました。
夫は子どもに泣かれて「面白くない」という感情もなく、「ほら、やっぱりかーちゃんがいいんだって」とまたスマホいじりをしていました。
子どもはなんとなくわかるんでしょうね。
それでも歳が一つ大きくなると扱いやすくなって娘と遊ぶ楽しさが分かってくるかなと思っていましたが、全く変わりませんでした。
そうです、夫は浮気もギャンブルも酒も全くありませんが、父性が全く育っていないのです。
お願いすると嫌がらずになんでもしてくれますが、態度で分かります。「(これはお前の仕事だろ)」って。
お願いすると私のストレスが溜まる。だからやらなくてもいいということで落ち着きました。
前日から子ども達のお弁当箱や、お茶など準備しているにもかかわらず朝になるとなぜか時間が足りない。
どうにか体を動かしてしていましたが、ある日急に朝起きて準備することが難しくなりました。
あれ、私は何を用意するんだっけ?身体に重たいものをつけられているような感覚でした。
炊飯器の蓋を開ける、お弁当箱にご飯を詰める簡単な動作すらできなくなって、涙が溢れてきて子ども達に「どうしたの?大丈夫?」と心配されました。
さすがにこれはおかしいと思いすぐ精神科に行き、躁うつ病(双極性障害)と診断されました。
また、ついでに私の希望で発達検査もしてもらいASD傾向強めのADHDだと診断が下りました。
こだわりが強いことや、準備や片付けが苦手なのは発達障害の特性もあったんだと分かり、「なんだ病気なら仕方ないじゃん」と、私はなんとなく気が楽になり、それならもっと生きやすいように環境を変えようと思ったのです。
ちなみに病気のことは夫には伝えていません。夫がいちばん理解してくれないからです。
できないことはできないと素直に受け入れる
私は一人でなんでも抱え込みがちな性格で、人に頼むのが苦手です。
家庭でやることが多すぎて手が回らなくなっていた時に長女が不満を言ってきました。
「お母さんはなんで私に言ってくれないの?」と。
「これはお母さんの仕事だから」と返事すると、
「お母さんばっかり大変で、イライラしてて、かわいそうなんだもん。それなら頼ってよ」
と、涙を浮かべながら訴えてくれました。なんて、お利口なんだと思いました。
確かに、1から100まで全部私一人ですることが私の役目だと思っていましたから。
でも、それは本当に子どもたちのためではなかったのです。ただの私のエゴに過ぎませんでした。
見つめ直すきっかけになり、娘としっかりと向かい合い、娘は私に頼られていないことに寂しさを感じさせていたと本音を明かしてくれました。
お母さんやお父さんに必要とされることはとても嬉しいことですよね。
与えることだけが愛情だと思っていましたが、出来ないことを素直にさらけ出して相手に頼ることも愛情です。それが信頼関係です。
私は、自分自身で首を絞めて苦しめる状況を作っていたんです。
自分の行動は、何もできない人間を作り上げようとしていただけに過ぎないと反省しました。
今では声をかけて次女に洗濯物干すのを手伝ってもらったり、私が朝食作ることが難しい時には長女にお得意なスクランブルエッグを作ってもらったりしながら、協力してもらって助けてもらっています。
「〜するべき」は自分だけじゃなく、周りも苦しめる
うつ病の話から少しずれますが、以前子どもの通う保育園で講師の方が来てくださり、アンガーマネジメントについて触れる機会がありました。
興味深いことを教わりました。
私はとても怒りっぽいです。それと同時に完璧主義です。
他者がふざけているように感じて腹が立ちますし、もちろん自分にも厳しくします。
「目玉焼きには何をかけるか」の例えを出され、ソース派の人、醤油派、塩、塩胡椒、何もかけない派。色んな人がいる。
当然です。
肌の色も髪の色も違う人種が世界にいくらでもいるんだから。
目玉焼きにソースかけようが、醤油だろうが、何だっていいんです。
それを私は「卵焼きには絶対塩胡椒です!異論も反論も認めません!」と断固拒否する人間だったんです。
職場にそういう人が一人いると、とても苦しくないですか?
保育園にも私のように「そんなの絶対ありえない」というプライドを持った人が大勢いました。
自分はどちらかというと保育園ではそこまで自分を出すタイプではなかったので、私はそういう人達に影響されました。
けれど家庭では私が影響を与える側でした。
家庭内でピリピリする人がいると家の雰囲気がとても悪くなります。最悪です。
そして母親があれこれ頑張りすぎると「お母さんが頑張ってるから私もサボっちゃダメだ」という意識になり、子どもは本当の意味で休めません。今度はやってない人が憎くなり、悪口に発展し・・・と負のスパイラルに陥るんです。
私は、アンガーマネジメントの講習を聞いて怒りのコントロールも大切だと思いましたが、何より何でそんな世界を狭めていたんだろう、誰のためにそんなにこだわっていたんだろうと気づきました。
「無理しないで」と何度も言われた言葉です。
そんなの不可能って思っていましたが、ようやく分かりました。
不必要なことを「無理して」やっていたんです。
私達母親がやることは子どもたちに「愛を与えること」です。
もちろん、他にもたくさん必要なことはありますが、しつけは後からでも修正が効きますが、心を満たすことは幼児のうちにしかできません。
うつ病を通してそれに気付けて良かったと、前向きに考えています。