家族がふえました。
こんにちは。
イラストレーター、絵本創作家のはっとりまりです。
窓を開けると、冷んやりとした空気。すっかり秋らしくなりました。
あんなに暑かった日々が嘘のようですね。
見上げれば、秋らしいすっきりと晴れた高い空。お出かけも気持ちよさそうです。
さて。久しぶりの連載コラム更新となりました。
私もどこかへ出かけたいなぁと思いつつ、なかなかそうもいきません。というのも、この秋に家族が増えたのです。
第2子、男の子が生まれました。
赤ん坊が生まれて、やっと一か月。何だかんだと慌ただしい日々です。
今回は、久しぶりに(6年ぶり)やってきた赤ちゃんとの生活や、6歳の長女の心の動きなどを書いてみようと思います。
今まさに赤ちゃんがいる方も、もう既に懐かしいわと思われる方も、ご一緒に楽しみつつ、読んでいただけたら嬉しいです。
赤ちゃんがやってきた。
今年の夏は暑く、おまけに妊娠後期の大きなお腹が苦しくて、眠れない日々が続きました。
そんなわけなので、臨月に入ってからは毎日のように「早く生まれておいで~。」とお腹の子に呼びかけていました。
ところが、6歳の長女がすかさず、「予定日に生まれておいで~。」と合いの手を入れます。
なぜかというと、
8月→私の誕生月
9月→長女の誕生月
10月→赤ん坊の誕生予定
11月→夫の誕生月
12月→クリスマス
ということで、毎月ケーキを食べられるからという考えなのです。
そんな中、赤ちゃんは予定よりも10日早い、9月のある晴れた日に生まれました。
月に一度のケーキの夢は破れたものの、6歳年上のお姉さんは、弟の誕生を喜んでくれました。
双子なの??
出産直後、病院の待合室で長女に会いました。
すると私のお腹をじっと見て、
「まだもう1人いるの?双子なの??」
と言います。
出産後しばらくは子宮が大きいままなので、もう1人いる、と思ったようです。
お母さん、変わった。
赤ん坊が生まれて、5日ほどで病院から自宅へ戻りました。
長女は私を見ると、
「お母さん、なんかいつもと違う。となりのトトロの(めいとさつきの)お母さんみたい。」
と心配そうです。
最初はどういうことかわからなかったのですが、夫が
「お母さん、赤ちゃんを産んだばかりで、まだ疲れているんだよ。」
と言っていたので、なるほどと思いました。
私はめいとさつきのお母さんのように、病気で元気がないという意味だったのです。
出産は大仕事といいますから、自分が思う以上に疲れや体力の衰えが感じられたのだと思います。
子どもは、よく見ているなぁ、心配させてしまって悪いなぁと思いました。
赤ちゃんのお顔、七変化
赤ん坊との生活が始まりました。夜も昼もなく、おっぱいを飲んで、泣いて、抱っこして、ねんねして・・・の繰り返しです。
おっぱいを飲んで、十分に満足すると、腕の中でうとうと・・・。
そのまましばらく赤ん坊の顔を見ていると、表情がくるくる変わります。まるでこれからのために、表情の練習をしているみたいです。
なんとも悲しそうな顔をしたかと思うと、口を開けて、笑い顔になったり、次の瞬間、白目をむいていたり・・・。
思わず笑ってしまいます。
そして、突然顔を真っ赤にしたかと思うと、「ぶっ!」と大きなおなら。
その自分のおならの音にびっくりして、両手を広げます。
全身で、生きている、という感じがします。
長女の気持ちいろいろ
体の中に命が宿り、10か月かけて少しずつ大きくなり、やがて生まれる小さな赤ん坊。
その間に女性の体は随分変化しますね。お腹はどんどん大きくなるし、体つきもふっくらしてくる。
悪阻が起きたり、喉が乾きやすくなったり、赤ちゃんがお腹の中で動くのを感じたり、、。
そうやって、赤ちゃんとの共通の時間が増えていき、いよいよ生まれる段階になったら、「やっと会えたね!」という気持ちになっています。
ところが、長女にとっては、ある日突然現れた人という印象が強かったようです。
夫でさえ、「頭ではわかっているけれど、実際に生まれてみないと実感がわかないものだ。」
と言っていたので、幼い長女にとっては尚更のことだったのでしょう。
赤ん坊が生まれてからというもの、大人たちは赤ん坊の世話にかかりきりで、「静かにしてね。」と言われることが増え、長女の注目される回数は減ってしまいました。
赤ちゃんは一日中大きな声でよく泣き、まだまだ言葉も伝わりません。
最初のうちは、「赤ちゃんが泣くと怖い。」と言うこともありました。
またある時は、「(時間を)巻き戻したい。」と言うこともありました。
長女と、夫と私、3人だった時に戻りたいと言うのです。
でも、この話にはオチがあって、
「まぁ、また生むことになるけどね~。」
と言うので、夫と顔を見合わせて大笑いしてしまいました。
「また、生むのだけは勘弁して~。」
と思いました。
そんなこんなでなんとか一か月が経った今、長女に少しずつお姉さんの意識が芽生えているようです。
赤ん坊が泣いているとそばにいって話しかけたり、あやしたりしてくれます。
幼稚園への送り迎えの際には、友だちやそのお母さん、お父さんたちに赤ちゃんを紹介してくれます。
まだ赤ん坊の首が座らないので、抱っこは時々しかできません。それなので、
「お母さんやお父さんはいいな。わたしも早く抱っこしたいな。」
と言っています。
まだまだ甘えん坊で、抱っこを求めてきたり、ちょっとだけおっぱいを舐めて味見をしてみたりということもありますが、長女も赤ん坊が生まれたことで、また大きく成長するのだろうなと思います。
何はなくとも愛情だけはたっぷりと注いで、きょうだいふたりをゆったりと見守っていきたいと思います。
妊娠・出産と家族
妊娠、出産を経験すると、自分は人間というよりも、もっと動物に近いように感じます。
どんなに文明が進んでも、妊娠から出産、子育ての流れは、超アナログです。
体全体を使い、感覚を研ぎ澄まし、汗や血にまみれて、寝不足で、泣いたり笑ったり、心配事も多すぎるほど多くて・・・。
赤ちゃんが体全体で生きていると感じるように、自分自身も体をまるごと使って子育てしていると実感します。
そうなるともう体力勝負です。
一人ではなかなか太刀打ちできません。
夫や義母、両親の力を借り、6歳の長女の力を借り、娘の幼稚園のお母さんたちの力を借り、赤ん坊誕生を心から祝ってくださった親戚やご近所の方々や、友だちの応援のもと、なんとかかんとか、やっています。
そして、よく夫とも話すのですが、子育て時期は一瞬だと。
赤ちゃんの時代、幼稚園の時代、小学校の時代・・・と子どもはすくすくと成長し、その時その時には大変なことがあっても、振り返ると、儚くもあっという間の気がしてしまうことでしょう。
気づけば、生まれたての時代が過ぎ、少しふっくらとした赤ん坊が目の前にいます。
長女はもうすぐ小学生です。
毎日は忙しく過ぎていくけれど、子どもと過ごす時の楽しさを十分に味わいつつ、その一瞬、一瞬を慈しみながら、日々過ごしていきたいものです。
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