絵本は子育てのサポーター!

保育・子育てアドバイザー 研究員の上野里江です。

前回お届けした「子どもと遊ぶって、どうやるの?」では、手遊びやことば遊びを紹介しました。玩具がなくても子どもと楽しく過ごせる遊びを知っていると、乗り物の中や待合室などでも、親子で笑っていられます。

是非試してくださいね!

 

今回は、絵本について。
身近に絵本がある子育ては、子どもだけでなくお母さんにもいいことがたくさんあります。

絵本を子育てのサポーターにして、豊な時間を過ごすヒントをお届けします。

絵本との出会い

『ブックスタート』という活動を聞いたことはありますか?
0歳児検診などで赤ちゃんに絵本をプレゼントする活動。今、全国で行っている地域が増えているそうです。

確か、我が家の子どもたちも一番初めに手にした絵本は、ブックスタートで頂いた絵本でした。
赤ちゃんが持ちやすいサイズで、色彩がはっきりしていて、絵本を手にすると自分で開いて見ていたのを覚えています。初めての絵本は読み物というより、繰り返しのセリフと絵が魅力的で、見ているだけで私まで笑顔になる絵本でした。

以前、ことばも分からない赤ちゃんに絵本?どうせ読んでも意味分からないでしょ?というお母さんの声を聞いたことがあります。
初めて母になった戸惑い…私もよくわかります。

実は赤ちゃんは、繰り返し読んでもらう絵本、そしておかあさんの声をちゃんと覚えているのです。絵本と子どもの顔を交互に見ながら読んでいると、我が子と初めて心が通じた!と感じることもありました。

絵本を真ん中にして親子が笑顔になる、心が触れ合う絵本タイム。絵本はコミュニケーションの大切なアイテムだと思います。

あなたは、どんな絵本との出会いがありますか?

大好き!食べもの絵本

娘が1歳の頃、ままごと遊びよりも先に楽しんだのが食べもの絵本。「おいしいね~」「あ~ん、パク!」と、食べるまねをする模倣遊び。りんご、みかん、バナナ、おにぎり、サンドイッチにお弁当…皮をむいたり、大きな口を開けたり、細かい演技をしながらよく食べました!

食べることは生きること。食べることを楽しむって、幸せを感じますよね。「おいしそうだね」「おいしいね」と、絵本の食べものをつまむまねをして、私の口に食べさせてくれた娘の小さな手。

絵本のおかげで本当の食事も「おいしいね」が合いことばになっていたように思います。

そして、少し大きくなった娘が大好きだったのは、ホットケーキを作る工程やお料理の音が描かれた絵本でした。
トントントンと包丁の音、ジュージューと焼いている音、そんな音が本当に聞こえてきそうな絵に釘づけだった娘。

女の子って不思議と、食べることだけではなく、作ることにも興味を持つのですね。

子どもとのやり取りを広げてくれる食べもの絵本は、食べることを楽しむ子育ての原点かも?そんな気がします。

好きをとことん!絵本の世界で

保育園でたくさんの子どもたちと出会ってきた私は、子どもはみんな絵本が大好きだと感じています。

でも、ひとりひとり、その時々で興味がある絵本、好きな絵本というのは違います。だからこそ、好きな絵本というのは、その子の今を知る入口にもなると思っています。

乗り物に興味があった3歳頃の息子。大型車両の絵本を繰り返し見ているうちに車の名前をたくさん覚えて「大きくなったら工事の人になる!」と言い出しました。道で工事現場に出会うと立ち止まり、いつまでも見ていたあの頃…絵本と現実をいったりきたりしながら、あこがれを膨らませていく息子をなんだか愛おしく思ったのを覚えています。
子どもの好き!に寄り添って絵本の世界をとことん楽しめるのは、子どもが小さい時限定。

「うちの子、車しか興味なくて…」「恐竜の本ばっかり見てるんです」と、心配しているお母さん!
大丈夫ですよ。きっと1年後、全く違うものに夢中になっています!

息子はその後、車から虫へと興味が移り、次になぜか?モアイに夢中になって…大きくなったらモアイに会いに行く!なんて言っていました。

子どもの今これが好き!にとことん付き合うと、子育てが2倍楽しくなりますよ。

あなたのお子さんは、どんな絵本が好きかしら?

絵本の選び方ってあるの?

子どもには色々な絵本を読んで欲しい!でもどんな絵本を選んだらいいのかしら?
そんなモヤモヤを抱えているお母さんに、絵本選びのポイントをひとつ上げるとしたら…

私は、お母さんが面白いと思う絵本を選ぶのが一番だと思っています。感じ方は人それぞれ、絵本に良い悪いはないのです。お母さん自身が「この本面白い」と思うものを選ぶこと。それが楽しい親子の絵本タイムになると思うのです。

子どもたちが小さかった頃、バスに乗って図書館に行くのがお出かけの定番でした。

図書館の絵本コーナーでは、子どもたちが絵を見て選んだ様々な絵本を読みました。
その中で、子どもが「面白い」と思ったもの、私が「これ好き!」と思ったものを借りて家でも楽しむ…そんなことを繰り返していると、絵本はいつも身近にあるものになっていました。

笑える絵本が好きな私は、ナンセンス絵本を好んで読み聞かせていましたが、一度読んで面白かった作家さんの別の本を探したり、図書館でおすすめ本になっているものを借りたり…図書館だからこそ、様々な絵本に触れることが出来たと思っています。

どんな絵本を選んだらいいか分からない、というお母さん!
是非、図書館に足を運んでみて下さいね。きっと世界が広がりますよ。

絵本は子育てのサポーター

子どもは同じ絵本を繰り返し読むのが大好きです。何度も見ているうちに、主人公のがんばっている姿に自分を重ねたり、自分もやってみよう!という気持ちになったり…。そんな絵本にもたくさん出会いました。

歯磨き、トイレ、お風呂に着替え…私が身の回りのことや生活習慣を教えようとがんばるより、絵本からやる気パワーをもらったものも数知れず。
そういえば、息子のボタンがひとりで出来るようになったのは、絵本がきっかけだったなぁ~。まさに、絵本は子育てのサポーター!成長のきっかけを作ってくれる頼もしい味方です。

寝る前に絵本を読む儀式も、一日の終わりを心静かに過ごせる素敵な時間だったと、振り返ると懐かしく思います。
好きな絵本を一冊ずつ読んだら布団に入る、という習慣のおかげで早寝早起きが身についたのかも?

絵本のおかげです。

子育ては時間に追われることが多くて、ひとりでがんばっているとイライラが止まらなくなってしまう…そんなこともあると思います。
そんな時は、お母さんの代わりに子どもに語りかけてくれる絵本の力を借りましょう!

困った時は絵本頼み!
子どもの今にぴったりの絵本が、きっとあなたの子育てをサポートしてくれますよ。

お母さんの気持ちも包みます

子どもが楽しむために読むのが絵本…そう思っていたら、ある時、母の気持ちを代弁してくれている絵本に出会いました。

子どもへのことばにならない気持ち…愛?思い?そんなものを伝えてくれる絵本は、涙があふれて最後まで読めなくて、今でも題名を言うだけで「ママが泣いちゃう本だよね」と、我が子の心にも残っているようです。

心に触れる…というのでしょうか?親の愛情だったり、生と死だったり、子どもに伝えたい大事なことがあふれている絵本。母としての自信が持てずに不安な気持ちでいっぱいだった私をやさしく包み込んでくれた絵本。

絵本は子どもだけのものじゃない!を実感しています。

絵本の力

絵本について、中学生になった娘に小さい頃の思い出を聞いてみました。すると、今でも覚えているセリフや図書館での出来事など、次々出てくるからびっくり!もう10年以上も前のことなのに…絵本って、すごいですね。

子どもは日々成長しています。母として関われる幼い時期はあっという間に過ぎていきます。

絵本を真ん中にして泣いたり笑ったり気持ちを分かち合う時間は、きっと豊な心を育ててくれますよ。

お母さんの心をゆるめてくれたり、元気にしてくれたり、絵本の力はすごいのです!

是非、あなたも絵本を子育てのサポーターにして、親子の時間を楽しんで下さいね。

次回は、食欲の秋を前に「子どもの食事について」2回シリーズでお届けします。お楽しみに!

 

 

●プロフィール
保育・子育てアドバイザー
上野里江
HP:http://smiley-ai.com

保育士歴30年。保育園、幼稚園、子ども園で3000人以上の親子と関わり、その後3年間療育に携わる。
子どもに関わる大人を元気に笑顔に!をモットーに、コミュニケーション講座や相談を行なっている。

 

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