手作りおやつで食育を -親子で感謝のティータイム-

息子が幼稚園に入園した頃のことです。
自分の時間ができたこともあり、おやつを手作りしてあげたいと思いました。今思えば、食事作りだけで手いっぱいになっていた自分への劣等感もあったのかもしれません。

お店で売っているようなデコレーションケーキを難なく手作りし、記念日を祝ってあげられるような、器用なお母さんへの憧れもありました。
何よりも、母の愛情を手作りおやつで伝えたいという気持ちが強かったのです。こうして私は、手作りおやつへの一歩を踏み出したのでした。

半分手作り半分市販品

しかし、元が不器用で、細かく分量を量ることの苦手な私に、一からの手作りはハードルが高すぎました。

やむを得ずホットケーキミックスを使ってケーキの台を焼いたり、市販のジュースを寒天で固めたゼリーなど、レパートリーは至ってシンプル且つ半分手作り半分市販品のようなものでした。それでも息子が喜んで食べてくれていたこともあり、当然ながら失敗もなく見栄えもそれなりにしていたので、私としては満足していました。

そんな私に転機が訪れたのは、息子が小学生になった頃のことでした。
息子が大好きな絵本に出てくるパンケーキのレシピを再現してみたくなり、ホットケーキミックスを使わずに、薄力粉とベーキングパウダーに挑戦したのです。結果は散々でした。
泡立てが足りなかったのか、絵本のようには膨らまず、息子も申し訳程度に手をつけただけでした。

息子が寝てから、冷えたパンケーキの残りを食べつつ、私は考えました。
私はお菓子作りに向いていないに違いない。でも作ってあげたいが、喜んで食べてもらえないのは虚しい。そもそも、手作りおやつの良さとは何だろうかと。

成分が分かっており、甘さなどの調節も可能であるという安全性や、この安全性のために手間をかけてあげるという、愛情も魅力の一つです。
しかし、これらはあくまでも親の側が感じる魅力に過ぎないのです。
刺激的な味、キャラクターものの食玩やパッケージ、そして話題性といった市販品の魅力のほうが、子どもにとっては遥かに手作りおやつの良さを上回る場合も多いです。

大切なのは親子で作る楽しさ

では、おやつは作らないほうが良いのでしょうか。それとも、作って押しつけたり、食べてもらえなくても作ったことだけで満足するべきなのでしょうか。

どれも正解とは思えません。

私は、手作りおやつの最大の魅力とは、作る楽しさかなと思い至り、そして決心しました。
今度からは、息子と一緒に作ろうと。

こうして、わが家の手作りおやつは第二期を迎えたのです。
子どもと一緒に一から作れば、親子で達成感を味わうことができますが、それだけではありません。
バターを入れすぎて、ドーナッツをこねるのに苦戦したけれど、食べてみたらサクサクで香ばしかったということもありました。
白身を無駄にしないで作ったバニラアイスクリームは、卵の味が濃厚で、意外に美味しかったという経験もできます。

このように、失敗や不自由さもオリジナリティとして受け入れる経験こそが、原料に直に触れる食育となり、楽しみとなります。

愛情や感じる美味しさは、このように後からついてきます。

最後になりますが、おやつの手作りに向いていない人などいません。子どもと一緒に作って食べることを楽しめることこそ、手作りおやつ達人への唯一の道なのだと思います。

 

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