ソーシャルスキルトレーニングの必要性
今、突然キレたり、簡単に相手を傷つけたりする子どもが増えています。それは、子どもの本質が以前と変わっただけでなく、感情をコントロールする、相手の気持ちを察する「スキル」を持ち合わせない子が増えたためです。なぜ、そのようになったのでしょうか?
最近の子どもの特徴
少子化
出産率の低下、結婚の年齢があがるなどで高齢出産が増えたことで1人の女の人が子どもを産む数か減ったことなどにより、1人っ子が増えました。その結果、同じ年代の子どもと遊ぶ機会が減っています。
遊ぶ時間の減少
塾や習い事などで、昔にくらべて遊ぶ時間が極端に減っています。
遊べるの空間の減少
都市化で遊べる場所が減った、遊び場が人工に作られた場所が多くなった、防犯上、危険な場所が増えたなどで、子どもたちが遊べる空間が昔にくらべ少なくなりました。
以上な環境で育っているため、友達とけんかをする、仲直りをするといったスキルを学ぶ機会がないのです。
ソーシャルスキルトレーニング
上記の問題の解決策として、ソーシャルスキルトレーニングが注目されているのです。
ソーシャルスキルトレーニングとは
ソーシャルスキルとは、社会(ソーシャル)の中で暮らしていくためのスキルのことをいいます。SST(ソーシャルスキル・トレーニング)では、社会で人と関わるときに生じるあいさつ、人に何かをお願いしたり断ったりするなどのコミュニケーションや、毎日歯をみがく、決まった時間にしなければいけないことなどの日常生活を営む上での生活スキルをトレーニングします。
ソーシャルスキルトレーニングの目的
ソーシャルスキルをトレーニングすることで出来ることを増やして、より生活しやすくなることを目的としています。
1.人と関わるスキルや日常生活に必要なスキルを身につける。
幅広いテーマの中から、生活のために最低限、必要なこと、自分が困っていることなどを中心に、スキルの獲得・向上を目指します。
2.グループワークを重視。
自分ひとりで考えるのではなく、グループワーク形式をとり、参加メンバーで意見を出しあいながら進めることが多いというのも大きな特徴です。
ソーシャルスキルトレーニング方法
ゲーム
ルールを守る、勝ち負けの結果を受け止める、仲間と相談や協力をするなどの多くのソーシャルスキルの要素が含まれています。楽しみながら社会性を身につけることができるのでとても有効な手段です。
ディスカッション、ディベート
ディベートは、相手の意見をしっかりと聞きつつ、自らの意見を述べる必要があるため、言葉のキャッチボールをする訓練としてすぐれています。
ロールプレイ
どんな場面でどんな振る舞いをすればいいのかということを、指導担当者や参加者同士が実際に演技する、人形を用いて演じることで、実際の場面での適切な振る舞いを学んでいきます。
共同行動
工作、調理など、何かを作って遊ぶ、何かを作って食べるといった楽しいゴールに向かう過程で、ほかの人との相談、役割分担、助け合いといった、社会生活に必要なスキルを学んでいきます。
ワークシート、絵カード、ソーシャルストーリー
ワークシート、絵カード、などを用いることで現在のSST受講者本人の課題になっている言動を、意識化していくこともSSTの方法の1つです。
SSTはどこで受けられるの?
デイケアやデイサービ
デイケアやデイサービスなどでソーシャルスキルトレーニングを行っています。長女や次女が通う放課後デイサービスでもソーシャルスキルトレーニングを行います。
デイケアとデイサービスの違いは、デイケアは医師を置くことが義務であり、デイサービスに医師はいません。
若者サポートステーション
働くことに踏み出せない若者とじっくり向き合い、働く力を引き出します。また、社会へ踏み出す橋渡しを行うトレーニングとしてソーシャルスキルトレーニングを行います。
児童発達支援施設、放課後等デイサービスなど
就労・生活支援センター
就業面と生活面の一体的な相談・支援を行う支援機関で、ソーシャルスキルトレーニングを行います。
ハローワークなど
就労移行支援事業所、就労継続支援A型・B型事業所
通常の事業所に雇用されることが困難な障がい者につき、就労の機会を提供する場所でソーシャルスキルトレーニングを行っています。
障がいがある方や通常の事業所で働くことが難しい人が働く場所など
自立訓練事業所
病院や施設での生活から地域での生活へと移るにあたり、日常生活で必要なことを補う場所でソーシャルスキルトレーニングを行っています。
病院など
地域活動支援センター
世間とかかわりが困難とされた方、日中の活動をサポートする機関でソーシャルスキルトレーニングを行っています。
まとめ
ソーシャルスキルトレーニングについておわかりいただけたでしょうか?現在IT化などで、自然に地域の中で学べていた友達とけんかをし、仲直りをするといったスキルを学ぶ機会が昔にくらべて少なくなりました。また、社会で働く人のコミュニケーションを取り巻く状況はさまざまに変化しつつあります。情報化社会においてソーシャルスキルを求められることは以前より希薄になったようにも見えますが、状況はより複雑になったともいえます。だから、ソーシャルスキルトレーニングが必要なのではないでしょうか?1度自分の子どもにソーシャルスキルトレーニングが必要なのかどうか少し、立ち止まって考えてみてください。