絵本の読み聞かせを聞いてくれない!~イライラする私を変えてくれた一冊~
周りの子たちとの違いで落ち込む日々
よく、子供には「絵本の読み聞かせをしましょう」と言われますよね。
私も長男がお腹にいる時は、「生まれたらたくさんの本を読んであげよう。感性豊かな子に育って欲しいな。」なんて理想を掲げていました。
でも実際生まれた息子は、絵本なんて興味なし!の大の電車好き。本を開いてもどこかへフラフラ。全然聞いてくれません。
児童館の読み聞かせタイムではみんなが座って聞き入る中、ひとりぐずって騒ぐ我が子。
「静かにして!」と注意する度、「なんでうちの子だけじっと聞いてくれないんだろう・・・。私がだめなお母さんなのかな。」なんて泣きそうになっていました。
一冊の絵本との出会い
本来絵本は親子で楽しむためのもの。
無理強いする必要なんてないんですが、初めての育児で周りと比べ、私は余裕がなくなっていました。
息子が1歳の頃、たまたま近所の本屋で見つけたのが、たしろちさとさんの「しーっ」という絵本でした。
うさぎがしーっと口に手を当てているだけ、そんなシンプルな表紙が目につきパラパラとページをめくってみたのです。
しーっ
作・絵 たしろちさと
出版社/フレーベル館
お話ではまずうさぎが登場します。お喋りをする鳥たちに向かって、
「しーっ、しずかにしてくださーい。」
とお願いをします。鳥たちがリスへ。その次はリスが豚へ。豚が象へ。
伝言ゲームのようにただ「しーっ、しずかにしてくださーい。」という言葉が繰り返されるだけ。動物たちの姿はあるけれど、騒ぐ声や他のセリフは出てきません。
一体なんで静かにしなきゃいけないんだろう?と気になって進むと答えは最後のページに・・・。
気持ちが伝わる魔法の言葉
読み終わると、何とも言えない温かい気持ちになりました。
今まで何度も使ってきた「しーっ」という言葉。
早く静かにさせなきゃ!そんな焦りとともに時には声を荒げて命令してきました。
でもこの本の中では、眠る赤ちゃんのために優しいお願いとして使われます。
本屋さんで、動物たちの真似をして「しーっ」と息子に声をかけてみました。
使ったことのない優しい「しーっ」、するとにっこり真似をして小さな「しーっ」を返す息子。
気持ちが通じた瞬間でした。嬉しくて嬉しくて、静かにしなきゃいけないのに、私の方が大声を出してしまいそうでした。
心を込めれば想いは伝わる
この絵本を通じて「しーっ」という言葉や動作が、優しく明るいイメージとなって息子の中に定着したようで、それからは、自らお店で「しーっ!ね♪」と言ってくれるようになりました。
また、息子にとっては、大人がよく使うフレーズや楽しく真似できるセリフのある絵本は、興味を持ちやすいことがわかり、少しずつお気に入りの絵本が増えていきました。
今では4歳となった息子は相変わらずの電車好きですが、いろんなジャンルの本を読むようになり、そしてこの絵本の動物たちのように、眠る妹を静かに見守ってあげられるお兄さんに成長しました。
絵本や子供との向き合い方に大きな発見をくれたこの一冊。
同じようにお子さんに、もっと絵本を楽しんでほしいな、とか静かにすることを理解してほしいな、と悩んでいるお母さんにとって、少しでも参考になればと想えた1冊です。