モンテッソーリ教育がお受験対策と勘違いされるのはなぜ?
ある日、近所に住む人とお話をしているときに「えっ」と思ったことがあります。長女、次女ともに通った、通っている幼稚園名をいうとお受験するのと聞かれ、モンテッソーリ教育はお受験対策の教育でしょと言われました。
私はお受験対策でモンテッソーリ教育を子どもにさせているのでないのに、なぜ、お受験対策と勘違いをされるのか疑問に思いました。そこで、モンテッソーリ教育がお受験対策と勘違いされるのか今回調べてみることにしました。
以前書かせていただいたコラム『イヤイヤ期を有意義に。モンテッソーリ教育との出会い。』では、なぜ私が子どもにモンテッソーリ教育をさせたのかという理由が書いてあります。
モンテッソーリ教育はお受験のための教育ではない。
勘違いしている人で多いのが、モンテッソーリ教育はお受験のための教育だということです。実際のモンテッソーリ教育はお受験のために作られた教育ではないのです。あくまでも、子どもの自立を促すための教育法なのです。
残念ながらお受験に合格するためにモンテッソーリ教育の幼児教室、幼稚園を選択する人、お受験塾でこれを主にしているところもあるので、そのように思われても仕方ない面でもあることが現状です。
お受験対策目的以外で子どもにモンテッソーリ教育をさせたいのであればそのような施設に巡り合わないように、きちんと見極めることも大切です。
もともとは障がい者の教育だった。
マリア・モンテッソーリは、イタリアの最初の女性医学博士です。ローマ大学卒業後、障がい児の治療教育に携わり、実践心理学、教育学にも研究分野を広げました。「障がい児と取り組み始め、しだいに、障がいのある子どもの教育だけに特に限定されるものではない、と感じました」と著書に書いています。
やがて障がい児に用いた教育法を健常児にも適応する機会が訪れ保育施設『子どもの家』が誕生しました。
『子どもの家』(現在では、モンテッソーリ教育を実践する幼児教育施設です。)はこうして1907年1月に生まれました。そこで実践から生まれたのが「モンテッソーリ教育法」です。
なぜモンテッソーリ教育はお受験対策と言われやすいのだろうか。
落ち着きがない子どもが落ち着くようになることがあるから。
お受験には落ち着きが必要だと言われています。『お仕事』は静かな環境で黙々とするので入りたての時、落ち着きのなかった子が、ある1つのお仕事に興味を持つことによって、集中力が芽生え、落ち着いてお仕事をこなすようになるということはモンテッソーリ教育ではよくあることなのです。
落ち着きがない子どもが落ち着く、お受験を考えている親にはうれしいことですよね。
大人っぽくなるように子どもがみえる。
親は自分の子どもが人から幼いと言われるよりは大人っぽいと言われるとうれしくなりますよね。お受験も母子離れができない、先生のお話を聞かない子どもより、母子離れができていて、きっちり質問の受けこたえができる子どもが好まれます。
自分のことは自分でできるようになることはお受験の基本です。モンテッソーリ教育は6歳までに、人間としての基礎を作り上げてしまうような教育法ですから、小学校入学するころには、自分でできることはできる子どもになっています。
そして、人に頼らず自分で何かをするという考えも自然と身に着けています。お受験対策モンテッソーリ教育をするのはそういう面もあるのではないのでしょうか。
モンテッソーリ教育の施設は保育での方針に差がでやすい。
どれくらいモンテッソーリ教育を重要にしているかで差が出てきます。そして、教諭の力量の差もあります。例えば、モンテッソーリ教諭資格を持っていたとしても、新米の先生とベテランの先生では、子どもを見る目、対応する姿勢が異なります。
大体モンテッソーリ教育の施設では1クラスに2名いることが普通ですので、ベテランの先生と新米の先生はペアになっていることが多いですが、園によっては1名で任せているところもあるでしょう。
また、お受験対策でモンテッソーリ教育を導入している施設と、子どもの個性を大切にするためにモンテッソーリ教育を用いている施設ではおなじモンテッソーリ教育を行っていても質に差があると思います。子どもに落ち着きがなく、子どもの個性を引き出してあげたいと考えてモンテッソーリ教育の施設を選択して、入会、入園させたのに、思っていたのと違ったということがあります。
実際私の体験例。
たまたま、長女を入会させたモンテッソーリ教育の幼児教室(前期モンテッソーリ教育)で、大きな成長を感じました。しかし、その後に通ったモンテッソーリ教育幼稚園(後期モンテッソーリ教育)では受験対策の影響が強くあまり成長が見られなかったように感じました。先生も厳しく入園前にくらべ委縮するように長女はなりました。次女もおなじ幼稚園に通わせましたが結果は同じでした。
つまり、モンテッソーリ教育の幼児教室は子どもの個性を大切にするための施設、モンテッソーリ教育の幼稚園はお受験対策の施設でした。
前期モンテッソーリ教育の内容は以前書かせていただいたコラム『前期モンテッソーリ教育~1歳から3歳までの発達期に重要なこと~』を参照、
後期モンテッソーリ教育の内容は以前書かせていただいたコラム『後期モンテッソーリ教育~3歳から6歳で遊びを通して学ぶこと~』を参照を参照にしてください。
私の子どもと同じモンテッソーリ教育の幼児教室に通っていた子どもの母親も、子どもの個性を大切にするためにモンテッソーリ教育の幼稚園をえらんだのに、お受験対策のモンテッソーリ教育の幼稚園だったため、想像していたのと違い途中で幼稚園を辞めてしまうことがありました。
施設見極めのポイント。
口コミ
実際モンテッソーリ教育の施設に通われている方の話を聞くことが施設を見極める重要なポイントになってくると思います。保育内容に不満を感じていたら不満な点も教えてくれるので、子どもの個性を尊重する施設なのかお受験のための施設なのか見極めやすくなるでしょう。
プレ保育や親子教室に参加
お受験対策としているモンテッソーリ教育の施設で、プレ保育や親子教室の段階で落ち着きがない子どもや手のかかる子どもは入会や入園をお断りする、延期する場合があります。園長先生から入会や入園をお断りされたらそのモンテッソーリ教育の施設は間違えなくお受験対策の施設と考えたほうがよいでしょう。また、お受験対策の施設は掲示板などに私学小学校のポスターがはっている場合があります。
子どもにお受験させる気がないのに、お受験対策の施設に入会、入園させてしまったならば母子ともに苦しい思いをすることになるかもしれません。
私の子どもが通った、通っている幼稚園はお受験対策でモンテッソーリ教育を導入している幼稚園なので、近所の人に幼稚園名をいうとお受験すると勘違いされたのかもしれません。
子どもにモンテッソーリ教育をさせたいと考えているならば、なんのために施設はモンテッソーリ教育を導入しているのかこのコラムの内容を参考にしながらきっちりと見極めましょう。