今回は、ママが子育てに自信がないのはなぜなのか?について小川先生に詳しく教えていただきます。
松倉弥生
ところで遠山さんはどのようなきっかけで
自身が思う遊ぶことと知育を繋げようと思われたのですか?
遠山彬彦さん
僕は小学校のお受験をして小学校に入学したのですが
中学以降は受験勉強してきた子たちが外部から入学してきて、
高校進学時も大学進学時も同じく外部からの仲間が入学してきて・・・
学力からいえばすごく勉強した子がたくさん入ってきているので
自分の中では、勉強は底辺を歩いているようなものでした。
今振り返ると、小学校に入ったタイミングが自分にとって一番輝いていたなと思っていて(笑)
松倉弥生
それはちょっと意外ですね!
遠山彬彦さん
その(一番輝いていた)タイミングで、勉強よりも遊びを中心にしてきたということと
遊ぶ中で好奇心だったり、いろんな遊びから自分の好きなものを見つけて
それが得意なものになって・・・
得意になると自信がついて、よりやり込みたくなって。
結局はそういうことの繰り返しだなと思っているので、
とにかく遊びを提案したい。そう思って、遊んで笑って成長するということを
Dig-A-Doo(ディガドゥー)※2のコンセプトにしているんです。
前々から分かってはいたんです。
教育と知育のフィットについては。
やっていること自体は小学校受験のことを、ちょっとゲームにしている
といった形なのですが、それを自分で発信してしまうと
どうしても「あ、受験にいいんだ」という印象になってしまい
子どもにとっては敵になってしまうなと思っていた・・・
なので、自社で出すものは徹底的に「知育」という言葉は
使わないようにしていたし、頭にいいよといったことは言わずに、ひたすら楽しんだよっ!ということを伝えるようにしてきました。
なので、誰かがDig-A-Dooのゲームって成長にすごく良いんですよ、と言ってくれる機会をずっと待っていました(笑)
だから自社ではこういった(知育という)形では絶対に出せないのです。
子ども目線、遊び目線でありたいということをずっと思ってきたので
親目線で、誰かに良いよと言ってもらえる
今回のこういった取り組みができたのはとてもありがたかったです。
小川大介先生
僕のポジションで、受験において実績を持っている立場で
遊びの話をするからこそ効果があるので。
(※小川先生は中学受験や進路関係の情報誌AERAkidsへの出演の他、中学受験や教育についての本の出版など幅広く活躍され、中学受験指導のカリスマとも呼ばれています)
佐藤亜希さん
うん!うん!!!(頷き)
小川大介先生
特殊な立ち位置をあえて使う
というのもポイントかなと思っている。
佐藤亜希さん
これだけで遊ばせるということが一番いいんだなという安心感もあります。
子どもにとっては遊びが一番日常なので。
パパにとっても取り入れやすい。
遠山彬彦さん
「小川式見守り手帳」の前書きのところでも少し書かせていただいたんですが
やっぱり子どもがやってることに対して、子どもとコミュニケーションをとっていくと
興味を持っていることにはちゃんと答えてくれるんですよね。
なので、いかに
「あ!これ楽しい!」と思っていることをあおり続ける事ができるか
が大事だと思います。
小川大介先生
それはすごい大事で
子どもって楽しいことを大きく表現できる子もいれば
ほとんど外にも出さない子もいて、いろいろなタイプがあって
見る目が備わっていない大人は、分かりやすい表現をする子にだけ目がいってしまう。
目立つ方にだけ目がいって、目立つ子は楽しめて、うちの子は楽しまないという言い方で
間違ってとらえてしまうと、子どもも経験がないから
”ウキウキ”としたはずなのに、これは楽しい事とは違うことなんだと思ってしまう。
それを、ジーっともくもくとやっていて静かに遊んでいるときに、
大人が「楽しそうだね」と言ったら、「今していることは”楽しい”ということでいいんだ」と安心できる。
自分が楽しむ、自分の遊び、自分が考えたことを口に出す、試してみる
その一歩一歩をやっていいんだと思える事がすごく大事なんです。
それが今、させること、与えることに偏ると
子ども自身がしたことを認める力が落ちているので
そうすると、一見子どもはいろんなことをやっているように見えるけれど、
自分が感じた心の動きに自信が持てない。だから「なんでもいい」となってしまう。
松倉弥生
なるほど!
つい親の、大人の都合で子どもの行動を見てしまったり、口を出してしまったりすることもあるので
すごく心に刺さります。
小川大介先生
子どもが「なんでもいい」となってしまうのは、自分が思ったことを口に出すこと
もしくは体で表現することを、(大人が)そのままにしておいてあげるということが足りない証拠。
それは顕著な見本が女性なんですよ。
日本は男性優位社会だから、女性にはずいぶん負担がかかっていますよね。
女性は、何かにつけてきちんとしなさい、これをしちゃダメでしょ、
ダメ、こういったふうにしなさいと押し付けられてしまっている傾向があるので
ママたちが自信がないのは当たり前で、自信が育つように育てられてないから。
結婚して男の言うこと聞く、会社入って男の言うこと聞く
女の子は考えるなと言われ続けているので、そりゃ子どもに対して
「それで良いよ」とは言えないよね。
というのがずっと続いていて、(原因は)結構小さいころから始まっている。
だから「見守る」子育て(※1)という本の中でも
「結果的に待っていられる状態」というのが親としてすごく大事ですよ、と伝えてる。
だってその間子どもは自由だから。
自由っていうのは怖いんですよね。やらされることを実行する方が楽なんで。
自由は自分の責任が伴う。うまくいかないかもしれない。
だからちょっとドキドキするんだけど、やってみたいと思うからやってみる。
ああなったらすごく嬉しいとか。それが次のチャレンジに繋がるし
うまくいかなくて「あーあ」と思うけど、自分でやったからまた次やってみようと
その関わり合いをどう生み出していくか、というのはすごく大事。
松倉弥生
これもすごく(心に)刺さりますね。
佐藤亜希さん
今やよいさんと私だけがこのお話を伺っているので
はやくみなさんに伝えなくては!と思ってしまいます。
※1
『頭のいい子の親がやっている「見守る」子育て』
著:小川大介 出版:KADOKAWA
2020年1月に
『自分で学べる子の親がやっている「見守る」子育て』も同出版社で出版されています。
※2
Dig-A-Doo(ディガドゥー)
遠山彬彦さんが代表を務め、「遊び・笑い・成長する」を企業理念とし
オリジナルカードゲーム、ボードゲーム製作及び、遊びを通じた研修Plearningのオーダーメイド製作運営を行う
代表作 かなカナ/2018年グッドデザイン賞・2020年キッズデザイン賞受賞
http://www.dig-a-doo.com/
ママが子育てに自信がないのはなぜなのか?について小川先生に詳しく教えていただきました。
今回はママの立場として、心に刺さる言葉がたくさんで、しっかり胸に刻まなければ・・・と感じました。また、無意識に刷り込みのような現状になっている女性の立場に少し衝撃を受けました。
次回は、遊ぶ様子からどんな子どもなのかが知れる「小川式:見守り手帳」が、教育家小川大介先生のどんな経験とノウハウからから誕生したのかを伺います。
次回もぜひお楽しみください。