2人目・3人目の妊娠。待ち望んでいた夫婦にとってはもちろん、思いがけない妊娠であったとしても、喜ばしく幸せな贈りものであることでしょう。しかし2人目以降の出産では初産とは異なり、かならず向き合わなくてはならないひとつの課題があります。

それは「上の子をどうするか」ということ。

産院にもよりますが、自然分娩による出産にかかる入院期間は最低でも4日〜5日ほど。また、妊娠中に切迫流産等の危険性があれば、長期的な管理入院を言い渡される可能性もあります。

ママが上の子のお世話をできないときに、上の子の育児を誰がどのように行うのか……。それは、2人目以降の妊娠がわかった時点で、まずはじめに考えなくてはならない重要な課題なのです。

今回は、筆者の体験談も交えつつ、2人目出産を乗り越えるためのポイントを紹介していきます。

ママだけでは乗り切れない?!2人目の妊娠生活

初産のときはママも体ひとつの身。肉体的・精神的にもある程度の自由があるため、おなかの子を優先して日々の生活を組み立てることができます。

しかしながら2人目以降の妊娠生活においては、どうしても上の子のお世話があるために、ママも無理をしてしまいがち。つわりが重くなったり、上の子の抱っこなどでお腹が張りやすくなってしまったり、ときには「子宮頸管が短くなっているから安静にするように」と医師から指示を受けてしまったり……。

周囲のサポートが得づらい環境では、妊娠中のトラブルが起こりやすくなってしまう場合があります。

2人目以降の妊娠中に起こりやすいトラブルとは

上の子の年齢などによっても異なりますが、2人目以降の妊娠生活で起こりやすいトラブルには、次のようなものがあります。

◆抱っこ等によるお腹の張り・腰痛
◆上の子の食事介助やオムツ替え等によるつわりの悪化
◆上の子の赤ちゃん返り
◆ママの精神的な不安やストレスの増加

仕事に育児に家事に……と無理を続けていると、ときには切迫早産など妊娠生活そのものが危うくなってしまう可能性もあります。

「2人目以降の妊娠・出産はママだけでは乗り切れないもの」と割り切って、積極的に家族や行政のサポートなどを仰ぐように心がけましょう。

【上の子の対応候補1】ママの実家に預ける

妊娠中に困ったとき、また出産の入院時に上の子のお世話をお願いする先として、まずママの実家の両親が挙げられるでしょう。

比較的近くに実家があり、育児に対して協力的であれば、ママがもっとも安心して上の子を任せられる強力なサポーターになってくれるはずです。

妊娠中に困った際や、入院時にママの実家に上の子を預けるメリットには次のようなものがあります。

【ママの実家に上の子を任せるメリット】
◆ママとの報・連・相がスムーズ
◆信頼して子どもを任せることができる
◆子どもの育児についての情報をある程度理解している
◆金銭的な負担が少なくて済む

妊娠中のトラブルや陣痛はいつ起こるかわかりません。また、万一の場合には、ゆっくりと引き継ぎ事項を説明している暇もありません。日頃からコミュニケーションを取っているママ自身の実家であれば、比較的安心して上の子を預かってもらい、ママは療養や出産に専念できるでしょう。

いっぽう、次のようなデメリットもあります。

◆実家が遠い場合にはお願いできない
◆パパとのコミュニケーションが難しい
◆自治体が異なる場合には保育園への託児ができない
◆親しいからこそママのストレスになる場合も……

パパを通じてではなく、ママと直接のやりとりが増えることで、ママがしっかり休めないこともあるでしょう。また、育児に対して助言や指摘をしてくる場合には、ストレスを感じるママも少なくありません。

また、実家の祖父母が就労している場合には、日中の預け先がなくなってしまいます。仕事を休んでもらったり、自宅に来てもらったりと、対応に工夫が必要になるケースもあるでしょう。

【上の子の対応候補2】パパの実家に預ける

ママの実家が遠く、パパの実家のほうが近いという場合には、パパの実家に上の子を預けるのもひとつの方法でしょう。

【パパの実家に上の子を任せるメリット】
◆ママの不在時にパパとの報・連・相がスムーズ
◆実家で対応に困ったときには、パパとの連携が取りやすい
◆パパと実家との連絡になることが多いことからママが体を休めやすい
◆金銭的な負担が少なくて済む

上の子を預かってもらうのは、ママが妊娠中に安静を言い渡された場合や出産の入院時。ママの不在時にパパが直接連絡を取りやすいという点は大きなメリットになるでしょう。

いっぽうで、次のようなデメリットも考えられます。

◆実家が遠い場合にはお願いできない
◆ママに情報が伝わらずに不安に感じることがある
◆自治体が異なる場合には保育園への託児ができない
◆義実家に子どもを預けるということ自体に不安やストレスを感じることも……

ママにとって、パパの実家の生活環境は、日頃から密に接していないとわかりづらいもの。

これまでにあまり接点を持ってこなかった義実家に上の子を預ける場合には、不安を感じることもあるでしょう。

また、実の両親でないために、上の子を預けることに対して気を遣ってしまうというママや、入院中などに義両親と上の子のことでやりとりすることがストレスになっていまうというママも多くいます。

パパとの連携をしっかりとった上で、不安やストレスなく上の子を任せられるよう、工夫する必要があるでしょう。

【上の子の対応候補3】認可保育園+パパに頼る

「パパ以外に頼れる人がいない!」という場合には、日中認可保育園等を利用し、パパの帰宅後は自宅での育児をお願いするという方法も考えられます。

子ども・子育て支援新制度の開始に伴い、現在認可保育園等に子どもを預けるには「保育の必要性の認定(支給認定)」が必要となりました。この認定を受けるための条件(保育に欠ける事由)には、保護者の就労だけでなく、子どもの母親が妊娠中であるか、または出産後間がないことも含まれています。
(※おおむね産前6週、産後8週を条件にする場合が多いですが、国が定める基準に基づき市町村が基準を定めるため、条件が異なる場合があります)

下記の条件を満たしていれば、日中は保育園に上の子を預け、パパが働きに出ることができるでしょう。
◆必要な手続きを取り、保育の必要性の認定を受けていること
◆保育園の定員のに空きがあること

日中は資格を持った保育士さんに子どもを見てもらえること、また夜間は自宅という安心できる環境でパパが育児を担当してくれることから、ママにとって安心感のある選択ではありますが、場合によっては保育を必要とする時期に希望する園が定員となってしまうケースや、パパの勤務時間と保育が可能な時間が合わず、保育園に預けることが難しいケースもあります。

自治体の保育課などに相談のうえ早めに適切な預け先を検討しておくことが必要なだけでなく、場合によって保育園のお迎えからパパの帰宅までは祖父母にお世話をお願いするなど、臨機応変な対応方法を検討することが大切です。

【上の子の対応候補4】認可外保育施設やファミリーサポート等を利用する

認可保育園に空きがない場合や、保育園の預かり時間よりもパパが長く働いていて、お迎え時間に間に合わないという場合には、認可外保育施設や、自治体のファミリーサポートの制度を利用するという方法もあります。

【認可外保育施設とは】
児童福祉法における保育施設に該当しながらも、自治体の認可を受けていない保育施設のこと。会社のオフィス内での預かりや夜間保育など、独自の保育サービスを展開しているところが多くあります。ベビーシッターなどの居宅訪問型保育事業もこれに該当します。

【ファミリーサポートとは】
地域において育児や介護について助け合う会員組織です。 育児などの援助を受けたい人と、援助を行いたい人とが会員となり、ファミリーサポートセンターが会員同士を依頼条件に基づき両者のマッチングを行います。依頼を行ったり援助を行うには自治体への登録が必要となります。

これらのサービスは、たとえば認可外保育施設に日中上の子を預け、ファミリーサポートにお迎えとパパの帰宅までのお世話をお願いする、休日出勤の日のみ一時的な保育を依頼するなど、パパの仕事の都合にあわせて柔軟に利用できますが、いっぽうで次のようなデメリットもあります。

◆利用料金が高額になることがある
◆かならずしも保育士の資格を保有したものがお世話をするわけではない
◆ファミリーサポートの場合、提供会員の自宅等で保育を行うため、パパの送迎の負担が重くなることがある
◆保育時間が長くなることや日々異なる環境で保育されることで、子どもが不安を感じる可能性がある

場合によっては、パパが早退や欠勤する際の収入減よりも、保育施設・サービスの利用料の負担増のほうが大きくなってしまうこともあるので、パパの職場と話し合い、できるだけ金銭面の負担やパパの心身の負担が少ない方法を検討する必要があるでしょう。

【上の子の対応候補5】子ども同伴での入院が可能な産院を探す

事情があり、家族にも保育園等の施設にも上の子をお願いすることができないというケースには、子ども同伴での出産・入院(子連れ出産・入院)が可能な医療機関を探すという方法も考えられるでしょう。

医療機関によっては、保育士が常駐し、ママの分娩の間や安静が必要な際にお世話をお願いできる場合や、上の子の食事サービスがある場合もあります。

入院にかかる費用が高くなる、産後のつらい時期に上の子の面倒を見なくてはならないなどのデメリットもありますが、本当に頼る先がないときには、非常に助かるサービスでもあります。

離婚やパパの単身赴任、両親の不在などで誰も頼れず、保育施設の利用も難しいという場合には、検討してみるとよいでしょう。

ただし、子連れ入院の場合には個室への入院が基本となるため、早めに入院の手続きを行う必要があります。妊娠後期になってから転院を検討しても、すでに空きがない……という可能性もあるため、なるべく早めに転院をし、子連れ入院ができるように必要な準備を整えておきましょう。

【体験談】計画出産+実家の支援+パパの努力で出産を乗り切る

ここまで、「2人目の妊娠・出産に際して上の子をどうするか」ということについて、お伝えしてきましたが、最後に筆者の体験談を紹介します。

筆者の場合、2人目の誕生時に上の子は1歳3ヶ月。年子での出産です。育休取得後に職場へも復帰し、認可保育園は利用していましたが、出産時には短時間保育への切り替えが必要なうえ、主人は販売職で夜間や土日も出勤……。とてもパパだけに上の子を任せられる状況ではありませんでした。

実家は遠方ではありませんでしたが、父はおらず、母はフルタイムでの就労中だったため、気軽にお世話をお願いすることもできません。

そこで利用したのが「計画分娩」です。

計画分娩とは、あらかじめ決めておいた日程で産院へ入院し、陣痛促進剤等を使って計画的に出産を行うこと。筆者の場合には、入院日を土・日前の金曜日に設定しておき、上の子の保育園のお迎え〜日曜日の夜までをおばあちゃんが、日曜の夜から火曜までを主人が担当することにしました。水曜の退院予定日には、主人に上の子を保育園に送り届けてもらい、おばあちゃんには有給を取ってもらって、退院を手伝ってもらうことに。

分娩の経過が計画通りに行かなかった場合には入院期間の延長も考えられましたが、結果、ほぼ計画どおりに出産することができ、経過も順調だったため、予定どおり退院。退院後におばあちゃんに上の子のお迎えに行ってもらいました。

可能な限り、家族の仕事に支障を与えず、かつ上の子の精神的負担を減らすためには、考えられるなかでベストな選択ができたと思っています。

妊娠の経過等によっては計画分娩ができないこともありますが、2人目以降の出産の場合には、計画分娩もひとつの手段として検討してもよいかもしれません。

筆者より

上の子の育児をしながらの妊娠・出産は、思うようにいかないことも多いもの。上の子とお腹の子、どちらも大切だからこそ心配事や不安も大きく膨らんでしまいがちです。

しかし、ママが不安な気持ちでいるとその心情が子どもたちにも伝わってしまいます。だからこそ、安心して妊娠生活や出産と向き合える環境を整えることが不可欠なのです。

上の子も下の子も大切。だからこそいざというときに上の子をどうするのか、ママが安心し、納得できる方法をしっかり検討しておきましょう。

読者の皆さまの妊娠生活・ご出産が、幸せであたたかなものでありますように……。

おおむね2歳ごろになると、多くのパパ・ママが対応に悩んでしまう「イヤイヤ期」。ささいなことにも抵抗を示し、なにかとあれば泣きわめく……その姿は、「魔の2歳児」と称されるほど。そんなイヤイヤ期真っ盛りな2歳児の言動のなかでも、とくに保護者を戸惑わせるのが「パパ嫌い!」「ママ嫌い!」という言葉です。

愛する我が子からのそんなひとことがパパ・ママに与えるダメージは大きく、「自分の育て方が悪かったのだろうか……」「これってもしかして愛情不足?」と悩んでしまう方も多いのではないでしょうか。

今回はイヤイヤ期に多い「パパ・ママ嫌い!」が生じる原因と、その言葉の裏に隠された本当の意味を紐解いていきます。

親を深く傷つける「パパ・ママ嫌い!」という言葉

おもちゃやお菓子を買ってもらえなかった、いたずらをして叱られた……そんなふとしたきっかけで子どもから放たれる「パパ嫌い!」「ママ嫌い!」という言葉。はた目から見れば「あらあら、ご機嫌ナナメなのね」と一見ほほえましくも見えますが、子育てをしている当事者からすれば、とてもショッキングなひとことです。

はじめのうちは「子どもの言うことなのだから」と気に留めずにいられても、「嫌い」「大っ嫌い!」などと何度も繰り返し言われると、パパもママもストレスが溜まり、ついイライラしてしまいがちです。

「そんなことを言わないの!」「嫌いなんて言う子はパパもママも嫌いです!」などとつい声を荒げてしまい、あとになってひどく落ち込んでしまう……そんな経験があるパパやママも少なくないのではないでしょうか。

あまりに「嫌い」と言われる頻度が高かったり、言われている期間が長かったりすると育児に対して自信をなくしてしまい、頭の片隅に「愛情不足」の4文字がよぎってしまうことも……。

しかし、子どもが「嫌い!」と言う原因は、決してパパやママの愛情不足や育て方の問題ではありません。ここからはその原因について、くわしく紹介していきましょう。

【原因1】自我の発達

乳児期から幼児期に入って間もない子ども達は、まだ「自己」と「他者」とがこの世に存在するということを理解していません。しかし、おおよそ1歳半から3歳ごろまでの間にそのことを認識し、自我を徐々に発達させていきます。

「パパ・ママ嫌い!」という発言がもっとも多くみられるのは、この自我の芽生え・発達期においてでしょう。

これまでお世話をしてもらうという“受け身”の生活であった子どもが、やりたいこと・やりたくないことをはっきりと主張するようになる……しかしながら危険なことや補助が必要な部分は、親としてその要求をすべて受け入れるわけにはいきません。それゆえに大人との意識の乖離が生まれ、それが「イヤ!」「嫌い!」という表現として現れるのです。

「パパ嫌い」「ママ嫌い」という言葉が出ることは、子ども達の自我がきちんと発達してきている証拠。必ずしもその行動を悪いものとして捉える必要はありません。

【原因2】未発達な言語能力

もうひとつの原因として挙げられるのが、言語能力の未熟さです。個人差はありますが2歳頃にもなると言葉はがずいぶん発達してきて、2語文を上手に話せるようになる子も出てきます。

しかし、まだ自分の抱いている感情を言葉で完璧に表現したり、要求を細かく言葉で伝えることはできません。「自分はこうしたい」「これは今はしたくないんだ」そんな気持ちをどうにか言葉で表現したいけれど、うまくできない……。そこで出てくるのが「嫌い」という言葉です。

言葉をうまく扱い、感情をコントロールすることのできる大人であっても、他者に自分の気持ちを説明するのはとても難しいことでしょう。ときには最適な表現を絞りだすよりも前に感情が高ぶってしまい、安易な言葉を口走ってしまった経験は、誰しもが持っているのではないでしょうか。

まだ語彙が少なく、その使い方を習得している段階の子ども達は、いわばそんな葛藤に常にさらされている状態です。「嫌い」という言葉を使えば、大人たちが強い反応を示してくれる。自分のことを見てくれる……。それを経験から知っている子ども達は、自分の気持ちを分かってほしいがために「嫌い」という言葉を発するのです。

【原因3】試し行動

試し行動とは、「自分のことをどれだけ大切にしてくれるのか」「こんな悪いことをした自分でもパパやママは認めてくれるのだろうか」ということを試すために、わざと大人を困らせるようなことをすること。周囲の人との信頼関係を築いていく「イヤイヤ期」の頃によくみられる行動です。

この「試し行動」が生じることにはさまざまな理由があります。大人たちの愛情をはかってみたい、気を引くための方法がわからない、環境の変化に対して不安をかかえている……。しかしその行動には「信頼関係を築いていきたい」という子ども達の気持ちが隠れています。

パパやママに対してわざと「嫌い!」という言葉を使う場合には、甘えたい存在だからこそ愛情を確かめたい、自分のことを見てほしい、どんな自分であっても認めてほしいという心情が表れているということが考えられます。

「パパ・ママ嫌い!」への上手な対処法とは?

では、さまざまな原因から生じる「パパ・ママ嫌い!」に対して、保護者はどのように受けとめ、行動したらよいのでしょうか。ここからは「嫌い!」に対する上手な対処法を紹介していきます。

【対処法1】子どもの気持ちを満足させる
先に紹介したとおり、「嫌い」という言葉の裏には子ども自身の「こうしたい・これはしたくない」という感情と、今おかれている状況とのミスマッチがあることが考えられます。

だからこそ、たとえば「遊んでいないでご飯を食べなさい!」と叱るのではなく、あらかじめ時間的な余裕をもって声掛けをし、遊びがひと段落したところで食事に誘う、1枚の服を「着なさい!」と与えるのではなく「これとあれ、どちらのお洋服が着たい?」と選択肢を与えてあげるなど、子どもが満足して次の行動に移れるように工夫するとよいでしょう。

【対処法2】気持ちを代弁してあげる
言葉が未熟なために「嫌い!」という言葉が出てしまっている場合には、子どもの気持ちをきちんと言葉にして伝えてあげることも大切です。「もっと遊んでいたかったんだね」「これじゃなくてこっちの洋服がよかったんだね」など、「嫌い」の理由を言語化してあげたうえで「そういう時は『嫌い』じゃなくて『○○して』って言えばいいんだよ」と、子どもの欲求を言葉でうまく伝える方法を教えてあげましょう。

教えたからと言ってすぐにできるようになるわけではなく、ある程度根気が必要ですが、「こういうときはこう言えばいいんだ」ということを子どもが学んでいくきっかけになるはずです。

【対処法3】それでも「大好きだよ」と伝える
「嫌い!」と言われるとカッとなり、とっさに「じゃあパパも!」「ママも!」と言ってしまいそうになることもあるでしょう。しかしここはぐっとこらえて。

「○○くんは嫌いでも、パパ/ママは○○くんのことが大好きだよ」と伝えてあげましょう。

どんな自分であっても認めて愛してくれる存在がいる……そのことは、子ども達に心の安定をもたらし、子どもの自己肯定感を高めることにもつながります。「嫌い」と言う回数を減らすために役立つだけではなく、子ども達のこれからの心の育ちにとっても大変意味のある経験となるでしょう。

【対処法4】ときにはあえて反応しないことも……
とはいえ、なにかあるたびに言い放たれる「嫌い」の言葉に対し、常に冷静に穏やかに対応することはとても難しいことです。

また、子どもがパパやママの気を引くために「嫌い」という言葉を使っている場合は、紹介してきた対処法を用いてもなかなか状況が改善しないということもあるでしょう。

もしも「嫌い!」という言葉と真正面から向き合うことがつらくなってしまった際は、思い切って強く反応することをやめることもひとつの方法です。「そういうことを言われると悲しいよ」と、声色や表情を大きく変えずに淡々と伝える、そして感情が高ぶってしまいそうなときには、ほんの少し、子どもと距離をとってみましょう。

すると子ども達は「この方法ではパパやママの気持ちを自分に向けることはできないんだ」ということが徐々にわかってきます。「嫌い
」という言葉がパパ・ママを悲しませるということも理解できるようになってくるでしょう。

あなたの子育てはあなただけのもの

核家族化や地域のつながりの希薄化により、現代の子育ては孤独なものになりがちです。いっぽうで世の中には情報があふれ、どの情報が正しいのか、どのように解釈すればよいのか、悩んでしまう場面も多くあることでしょう。また、周囲のなにげないひとことが、悩んでいる保護者の心を傷つけることも少なくありません。

我が子の「嫌い」という言葉を受けて周囲から「愛情不足なんじゃないの?」「もっと一緒に過ごす時間を作ってあげたほうがいいのでは?」と言われることもあるでしょう。インターネットで情報を探すなかで、自分の子育てに自信がなくなってしまうこともあるかもしれません。

しかしながら、あなたの子育てはほかの誰でもない、あなただけのもの。保護者であるあなたも、お子さんもこの世にたったひとりの存在なのですから、マニュアルどおり、ほかと同じように育児が進められるはずがありません。

どうかお子さんを信じ、ご自身の子どもに対する愛情に自信を持ってください。そのことは「嫌い」を解消するために、もっとも大切な土台となることでしょう。

執筆後記

今回は子どもの「嫌い」という言葉の原因や対処法を紹介してきましたが、そんな筆者にも2歳と1歳の年子の男の子がいます。

ちょうど下の子もイヤイヤ期に差し掛かり、毎日2人から「嫌い!」の嵐……。仕事に家事にてんてこまいのなかでストレスが溜まり、適切な対処をできないこともあります。

しかし、筆者個人としては「それでもいい」と思っています。だって、パパやママだってひとりの人間ですから。

必死に子育てをしているがゆえに、ときにはうまくいかないこともある。でもそれでも愛情をもって前に進もうとする……その姿勢を見せることも、ひとつの「子育て」なのではないでしょうか。

子ども達の「嫌い」という発言を減らすには、多くの時間が必要です。ときには悩んだり深く考えることをやめ、息抜きをしながら、気長に取り組んでいきましょう。

この記事を読んでくださったパパ・ママの育児生活が、有意義で幸せなものであることを願って……。

大切な母子手帳を汚れや折れから守ってくれる「母子手帳ケース」。妊娠中から出産後まで長く愛用するものだからこそ、お気に入りの一品を選びたいものですよね。

しかし、母子手帳ケースには複数のタイプ・サイズがあるうえ、いまではインターネットを通じて多くのデザインの商品を購入できるようになりました。選択肢が多いぶん「いったいどんな母子手帳ケースを選べばいいんだろう……」と迷ってしまうママも多いのではないでしょうか。

今回は母子手帳ケース選びでお悩みのママ向けに、母子手帳ケースに必要な機能や商品選びの際に覚えておきたいポイントなどを、たっぷり紹介していきます!

そもそも母子手帳ケースって必要なの?

ではまず、母子手帳ケースの必要性についてチェックしていきましょう。

自治体から母子健康手帳の交付を受ける際には、透明なクリアケースを一緒にもらえることも多く「母子手帳ケースって必要なの?」「わざわざ買うまでもないのでは……?」と思っている方もいるかもしれません。

しかし、妊娠中はそう思っていても、出産したあとに「やっぱり必要」と購入するママも多くいます。

それには次のような理由があります。

【母子手帳ケースが必要になる理由】
・出産後、母子手帳とともに持ち歩くものが増える
・子どもをかかえるとバッグの中を探すことも大変
・パパやばあば・じいじに子どもを任せる際申し送りが面倒

出産前はママも身一つで動けるため、妊婦健康診査に必要な診察券や問診票、母子手帳もさほど苦労せずに管理できるでしょう。しかし産後はそうはいきません。

受診する医療機関によって違う診察券、健康保険証に乳幼児医療証(マル乳医療証)、お薬手帳に予防接種の問診票…これらをぐずる子どもをあやしながら、さっと手元に用意する必要があります。

とくにパパの仕事の関係上、ママ一人で育児の負担を背負うことが多い、いわゆる「ワンオペ育児」の家庭の場合、子どもの急病の際や遠方まで出向かなくてはならない乳幼児健診の際など、大きなマザーズバッグの中から必要なものを探し出すのは非常に手間がかかります。

上の子がいる場合や、双子など複数の子どものお世話をしている場合には、その手間はもっと大きくなりますし、出産後に職場復帰するママの場合には、ときにパパや祖父母に医療機関への受診をお願いしなくてはならないケースもあるでしょう。

そんなときに母子手帳ケースがあれば、必要なものを一緒に収納しておけるかけでなく、ママ以外に子どもを任せる際にも、ケースごとまとめて渡すだけで済むため管理がとても楽になります。

忙しい子育て中の日々のなか、ママが心にゆとりをもって生活するためにも、母子手帳ケースは大変役立つ育児グッズのひとつだと言えるでしょう。

では、母子手帳ケースを選ぶ際にはどんなことに注意すればよいのでしょうか。

ここからは、ママとなった皆さんがご自身にピッタリな母子手帳ケースを選ぶためのポイントを紹介していきます。

【ポイント1】母子手帳&出産後の持ちものに合わせたサイズを

母子手帳ケースの購入を検討する際には、まず自治体から交付される母子健康手帳のサイズを確認しておく必要があります。

じつは母子手帳のサイズは地域によってまちまち。自治体によって主に次のサイズの手帳が交付されます。

【母子手帳のサイズ】
・Sサイズ……A6判(タテ14.8cm×ヨコ10.5cm)
・Mサイズ……B6判(タテ18.2cm×ヨコ12.8cm)
・Lサイズ……A5判(タテ21.0cm×ヨコ14.8cm)

もっとも一般的なのはお薬手帳などと同様のA6判・Sサイズですが、近年「もっと書き込みのしやすいサイズの手帳にしてほしい」等の要望から、MサイズやLサイズの手帳も増えてきています。

場合によっては同じ自治体でも「上の子はSサイズの母子手帳だったのに、上の子はMサイズの手帳が交付された」ということもありますので、母子手帳購入はかならず交付される母子手帳のサイズを確認してからにしましょう。

また、妊娠がわかってすぐに母子手帳ケースの購入を検討する方が多いかもしれませんが、その際注意したいのが「妊娠中と出産後の持ちものの量はおおきく異なる」ということ。

妊娠中に必要な機能性だけを考えて母子手帳ケースを選んでしまうと、産後に「必要な持ちものが入らない!」「使い勝手が悪い……」ということにもなりかねません。

【妊娠中に母子手帳ケースに入れて持ち歩くもの】
・母子健康手帳
・健康保険証
・診察券
・妊婦健診問診票
・妊婦健康診査助成券(補助券)
・お薬手帳
・エコー写真
・医療機関の支払い控え
・産科医療補償制度登録証
・入院予約控え
・筆記用具
・お守り等

【出産後に母子手帳ケースに入れて持ち歩くもの】
・母子健康手帳
・健康保険証(本人・子ども分)
・乳幼児医療証(マル乳医療証)
・診察券(本人・子ども分)
・予防接種問診票
・乳幼児健診問診票
・お薬手帳(本人・子ども分)
・医療機関の支払い控え(本人・子ども分)
・筆記用具
・お守り等

産後すぐは、赤ちゃんの定期健診だけでなく、ママの健診や体調不良による医療機関への受診も増えるため、健康保険証や診察券などを母子でまとめて管理する機会も多いでしょう。

また、自治体によりますが、予防接種の問診票が綴られた冊子は母子手帳よりも大きいサイズで作られていることが多く「せっかく母子手帳が入るサイズのケースを購入したのに、問診票の冊子が入らない!」というケースも多くあります。

妊娠中よりも出産後のほうが母子手帳ケースに収納するものが増えること、また母子手帳よりも大きなものを管理する可能性も意識し、ジャストサイズよりも少し大きめのケースを選ぶとよいでしょう。

【ポイント2】ジャバラタイプかブックタイプか

つづいて、母子手帳ケースのタイプについてチェックしていきましょう。母子手帳ケースはおもに次の2種類のタイプに分類されます。

・ブックタイプ
・ジャバラタイプ

ブックタイプは左右に開くタイプのケース。サイドをファスナーで開閉するものが多く、カードポケットやペンホルダーなどがコンパクトに収まっています。

ブックタイプの母子手帳ケースには、次のようなメリットがあります。
・軽量で薄型のものが多く、かさばらない
・見開き型で、どこになにがあるかが一目でわかる
・ファスナー式なので中身が落ちにくい

ただし、マチ幅が狭くポケットが少ないために収納力に欠ける点は、ブックタイプの母子手帳のデメリットとなります。子どもが複数人いる場合など、何冊も母子手帳を入れると厚みが出てしまい、ファスナーが閉まらない……ということもあるでしょう。

また、子どもを抱っこした状態でファスナーを開閉するのは思ったよりも大変なもの。医療機関の受診では、子どもが泣きぐずることも多いため、開閉のしにくさがストレスとなることも考えられます。

いっぽう、ジャバラタイプはケースのサイド部分がジャバラ状になっており、カードポケットや小物類を入れておくファスナー付きポケットなど、豊富な収納力が特徴の母子手帳ケースです。

そのメリットは次のとおりです
・収納力があり母子手帳だけでなく家族分のお薬手帳などをまとめて持ち運べる
・カードポケットの数が多く、保険証や診察券などをたくさん収納できる
・ボタンやマグネットで開閉するものが多く取り出しやすい

収納力の面ではブックタイプを大きく上回りますが、その分厚みや重さが出るため、バッグの中でかさばりがちなのが難点です。

このように2つの母子手帳ケースのタイプには、それぞれメリットとデメリットがあります。

ケースに入れる手帳の数、カード類の枚数、ほかにも予防接種の問診票など収納しておきたいものの有無、また普段使用するバッグの容量などに応じて、適したタイプの母子手帳ケースを選ぶとよいでしょう。

【ポイント3】汚れに強い素材のものを!

母子手帳ケースには、やわらかい面素材や、撥水加工を施したキャンバス生地、ナイロンなどさまざまな素材を用いた商品があります。

デザインなどに注目してしまうと見逃がしがちではありますが、素材に着目することは母子手帳ケース選びにおいて大変重要です。

子どもが大きくなるにつれ、ママやパパの持ちものにも関心を示すようになってきます。また、ジュースやお菓子、クレヨン等の画材などで、汚されてしまう可能性も高くなります。

母子手帳ケースを汚されてしまった場合、芯材などが使われていると水洗いができません。長く愛用するためにも、ふき取るだけでも汚れが落としやすいナイロン素材のものがオススメです。

【ポイント4】カードポケットや小物入れにも注目

子どもの診察券は小児科だけにとどまりません。皮膚科、耳鼻咽喉科、整形外科……診療科が増えれば、それだけ診察券の数も増えていきます。

また、ときには通帳や印鑑などの貴重品を母子手帳ケースに入れて持ち運ぶこともあるでしょう。

そのため、カードポケットが何枚分あるのか、多目的ポケットがどれだけついているのかなど、購入前にチェックしておくとよいでしょう。

【ポイント5】子どもの人数によって選び分けよう

子どもが複数人いる場合、母子手帳の冊数だけでなく、お薬手帳や診察券など、荷物も子どもの人数に比例して増えていきます。

そのため「1人目のときには十分だった母子手帳ケースも、2人目が生まれると容量不足になってしまい、買い換えることになった」というママも少なくありません。

一人ひとり母子手帳ケースを分けて持ち運ぶという方法もありますが、オムツや着替えなど多くの荷物があるなかでは、少しでも軽く、かさばらない方法で荷物を管理したいもの。

母子手帳ケースを選ぶ際には、現在の子どもの人数や家族計画も視野に入れたうえで検討するとよいでしょう。

【ポイント6】厚さや重さが負担にならないように

母子手帳ケースには、さまざまな素材や仕様があるため、その厚みや重さもまちまちです。

中綿が入って手触りのよいもの、がま口タイプのもの、ラインストーンや金属のタグ等装飾がついているものなど、見た目に魅力的なデザインであっても、いざ使ってみると厚みがあってかさばる、母子手帳等を収納した際に重さが気になる……ということにもなりかねません。

母子手帳ケースを選ぶ際には、できる限り実物を確認し、厚みや重量感などを事前にチェックしておくとよいでしょう。いちど現物を手に取って確認しておけば、インターネット等で商品を選ぶ際にも役立つはずです。

【ポイント7】お気に入りのデザイン・ブランドを

母子手帳ケースを選ぶ際のポイントとして最後にご紹介するのが、そのデザインやブランドです。

似たような機能性の母子手帳ケースの場合、どうせならば自分の気に入ったデザインのケースを選びたいものですよね。

母子手帳ケースというと、あまりデザイン性の高くないものを想像してしまいがちですが、現在は人気のファッションブランドとのコラボレーションなども多く、オシャレなものが多く販売されています。

商品選びに迷ってしまったら、デザインの好みを最終的な判断基準とするのもよいでしょう。

長く使えるものだからじっくりと選んで

母子手帳は、少なくとも子どもが小学校に就学するくらいまでは、肌身離さず持ち歩くものであり、母子手帳ケースはママが長年愛用することになるアイテムのひとつです。

また、子育てがひと段落したとしても、ご自身の健康保険証や診察券、お薬手帳などを管理するのに大変役立つものでもあります。

何年も後になって振り返れば、不安と期待でいっぱいだった妊娠期、右も左もわからずに奮闘した赤ちゃんのあの頃、離乳食を食べてくれなくて悩んだ日々、叱ってしまった夜に寝顔を見ながらこぼした涙……さまざまな思い出が胸によみがえってくることでしょう。

母子手帳ケースは、そんな子育ての毎日を一緒につむいでいくものなのです。

長く愛用するものだからこそ、皆さんもじっくり検討してお気に入りの一品を見つけてくださいね!

執筆後記

筆者の場合、1人目の妊娠・育児中にはブックタイプの母子手帳ケースを使っていました。しかし2人目の妊娠がわかり、荷物が増えたことをきっかけにジャバラタイプの母子手帳ケースに買い換えました。

自分で気に入ったデザイン・大きさの商品を選んだため、2人の育児中の今、大いに活躍してくれています。

いっぽう、使わなくなってしまったブックタイプの母子手帳ケースも、入院時に手渡された書類や医療用リストバンド、使わなくなった補助券の冊子などを保管するのに役立っています。

母子手帳の持ち歩きだけでなく、診察券やカード類の管理や保管など、さまざまな使い方ができる母子手帳ケース。

今回紹介した内容が、皆さんの母子手帳ケース選びに少しでも役立つことを願っています。