「早いうちに〇〇をやると上手になります」と、よく耳にします。

有名なピアニスト、オリンピック選手、英語が上手な女優などがテレビに出ると、「なんでそんなに上手になりましたか?」と必ず聞かれます。
するとほとんどの答えは、「小さい頃からやりました」と言われます。

この様なやり取りを聞くと、人の『想像力が走り出します』ね!

子どもの未来のために

私は、計算が早く出来る人を見ると「子どもの頃からそろばんを習っておけばよかったなぁ」といつも思います。けれど、大人になると、だいたいの人は「自分はもう遅いからね」と言ってあきらめます。

けれど子どもが生まれると、また『想像力が走り出します』。

「いま子どもは1歳で、これから習い事を始めたら世界レベルの〇〇になれるかも!」そう考える人はいるでしょう。
大人は子どもの可能性にかけて夢中になって、習い事を探したり、教材を買ったりもしますね。

「私は〇〇がとても苦手なので、子どもに〇〇を勉強させたい」とは思いません。
なぜなら、「子どもが私と同じツライ気持ちになってほしくない」などと考えるからです。

子どもの英語教師をしていた時に同じ様な理由をよく聞きました。
子どものこと、子どもの将来について考えながら何かをするのはとてもいいことですが、「いい人になれる様に小さい頃から〇〇をやらせたい」という様なポジティブな言葉は一度も聞いたことがありません。

この流れが正しいのであれば、出来るだけ早い時期から何かをするべきですね。
早いうちから子どもに何かを与えた方がきっといいのではないでしょうか。

するべき何かを探そう

その『何か』は、自分の中では絵本です。

出来るだけ早いうちから(生まれて間もない時から、もしくはお腹にいる時からでも)たくさんの絵本を読むべきです!
これから何かを始めようとするとき、習いごと感覚で絵本から色んなスキルが学ぶことが出来ます。

ここでは私が勧める学びの絵本を紹介します。

わかやまけん氏の『白くまちゃんのホットケーキ』
Leslie Patricelli氏の『Potty』
なかのひろたか氏の『およぐ』
佐藤忠良氏の『おおきなかぶ』

これらの作品を子どもと一緒に読むと、食べ物の作り方、物の使い方、新しいやり方、新しい言葉などを絵本から学ぶことが出来ます。

作り方、言葉、やり方は、学ぶほど身になっていきます。

スポーツが上手な人でも、生まれた時から上手ではありません。生まれつき才能を持っている人もいますが、多くの人は毎日毎日練習して上手になって行きます。
心も同じだと思います。

心や思いやりなどの様に目に見えないところでも他のスキルと同じ様に学び、トレーニングすると心がゆたかになります。
優しい、思いやりが持っている人は色んなこと、人、動物などに触れた結果だと思います。子育て中の人には外に出たり、他の人や動物に会うチャンスは少ないと思います。けれど、子どもと一緒に絵本を読むと色んな出会いがあります。

これは心の筋トレになります。子どもも大人も同じです。

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その心の筋トレにオススメの絵本を紹介

動物は怖い、苦手な子どもはたくさんいます。ケイト・ベアビー氏の『ハンナとシュガー』に出てくる女の子のハンナも犬が苦手です。
そんなハンナにある「きっかけ」が起こります。自分とは違う立場にいる人や動物を「思いやる」というのはこういう事なのだろうと学べる絵本です。

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エリック・カールさんの名前を聞くと『はらぺこあおむし』のイメージが強いかもしれませんが、『どこへいくの?ともだちにあいに!Where are you going? To see my friend!』は、「14ひきシリーズ」のいわむらかずおさんとの素敵なコラボ絵本です。
この絵本は、右から読むといわむらかずおさんの絵と日本語の物語で、左から読むとエリック・カールさんの絵と英語の物語です。絵本の真ん中のところでそれぞれの主人公たちが出会い、友達になります。その時に言葉も世界感も関係なく、いわむらさんの絵とカールさんの絵が一緒になって同じページにいます。
最近、海外から家族と一緒に日本に来て暮らしている人が増えています。その子どもたちは保育園、幼稚園、義務教育の場に入ります。
外国人や海外から来たというフレームを外れて、人と人とのつながりや友達の大切さが伝わる絵本だと思います。

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さいとうあかり氏の『おちたらワニにたべられる!』この絵本を読んだとき、自分の子どもの頃を思い出しました。「あぁ、やったやった、こんなこと!」ベッドルームで二つ並んでいるベッドからベッドへ跳んでみたり。跳んだ時に誤って二つのベッドの間に落ちると床に吸い込まれたり、ブラックホールを想像したりして怖くなる…それはまるで空想のサバイバル。
主人公の女の子をその恐怖から救ってくれたのは…。
子どもは一人で頑張らないといけない時もありますが、子どもが不安に感じるとき「大人は見守ってくれているんだ」とか「困ったら大人に聞いていいんだ」と思える安心感を持てるかが大切です。ですから大人は「ちゃんと見てるよ。困ったときには手伝うよ」とか「ちゃんと聞いてるよ。なんでも訊いて」というように役割をしっかり認識しないといけません。

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梅田俊作・桂子氏の『おかあさんもようちえん』の主人公はお母さんです。お母さんは、自分の小さい頃の記憶、得意なことを思い出しながら幼稚園に見学しに行きます。
この絵本を子どもと一緒に読むと、聞いている子どもは「大人も自分と同じ人なんだ」と気づくと思います。「ママとパパにも子どもの頃があったよ」と伝えるのは大事です。そうすることで、子どもが悩んだ時にこの絵本の事を思い出し、「ママとパパも昔、同じ悩み事をしたかもしれない。相談してみようかな」と思ってくれたら子どものつらいことは減るかもしれないし、家の中のコミュニケーションはきっと増えるでしょう。

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絵本を読むことに年齢制限はありません。

「絵本を読むのは何歳まで?」とよく聞かれます。

自分の考えでは、絵本を読むことに年齢制限はありません。
子どもが大きくなると、大人は「もう一人で読めるでしょう?」と思うかもしれませんが、いくつになっても子どもが絵本を持って来て「読んで」と言われたら、読んであげてください。一緒に読んで欲しい気持ちがあるのなら何歳になってもつづけてください。心の筋トレも絵本と同じように年齢制限はありません。ただ、子どもの成長にあわせて、心の筋トレの方法を変えていくようにしましょう

子どもが大きくなっていくといろんなことに出会います。良い事だけではなく悪い事、大変な事もあります。その時にとても力になるのは、大人の支えと思いやりだと思います。イジメや差別の問題は、日常生活の中では意外とよく出てきます。

大人がいない時にも問題は起こります。問題が起こったら、大人がいなくても子どもは「思いやりの道」を選んで欲しいですね。

迷っている時、困っている時、自分の気持ちを理解してもらえないのはとてもつらい事です。大人は全員経験したことあるでしょう。
けれど、多くの子どもはその事をまだ知りません。子どもから見ると大人は違う人なのだと思います。
なので「今は大人だけど、わたしも子どもの時そうだったよ」とか、「困ったら大人は力になるよ」と、この二つのことを子どもに伝えるべきです。それをそのまま伝えても聞いてくれないかも知れません。
その時は絵本の力を借りましょう。そうすればきっと分かってくれるはずです。

このように心の筋トレをつづけると感情豊かな立派な心が育つと思います。

 

 

 

 

いつもの夕方、
家族と一緒に晩御飯を食べて、
片づけをして、
ちょっとゆっくりして、
お風呂に入って、
またゆっくりして、
布団に入って、
子守唄を歌って、
絵本を読んで、
子どもは眠くなって、
ママは「おやすみなさい」と言って眠りに就く。

めでたし、めでたし♪

子育て中のご家庭の夕方のイメージは、映画やドラマでよくあるような「団らん」という言葉が似合うそんな感じでしょうか?

実際は珍しい方だと思います。
どちらかというと、夕方になると家族はバタバタしているケースが多いのではないでしょうか?

自分の小さい頃の記憶の中では、夕方になると「早く〇〇しなさい!」と両親から口うるさく言われる時間になりました。
お母さんはよく、「早く夕飯食べなさい!」、「早く宿題をしなさい!」、「早く寝なさい!」などと言っていました。
これから眠りに向かっているのですが、なんだかマラソンが始まるような気持になったものです。

眠れないのは『ビジー・ヘッド(busy head)』だから

子どもの頃に自分はよく『ビジー・ヘッド(busy head)』になりました。(今でもたまにありますが)

『ビジー・ヘッド(busy head)』
これは専門的な言葉ではなく、寝る前に頭の中が色んなことでいっぱいで、考え始めるとグルグルと回って止まることが出来なくなり、結局朝までずーっと考えて全く眠りに落ちることが出来ないことです。

大人でもビジー・ヘッドになる方は多いと思いますが、小さい子どもも同じようにビジー・ヘッドがあって、そうなると子どもの方が苦しくてツライと思います。大人は何で自分が眠れないか?と、なんとなく分かると思いますが、子どもには多分分かりません。
子どもからすると眠れないなら遊べばいい、動けばいいなどと思うことでしょう。
そうすると大人は「早く寝なさい!」と言うでしょう?これは互いにイライラの元になると思います。
頭と心はスッキリしていないのは、ビジー・ヘッドに原因があると思いますので、それをスッキリさせるためにも寝る前のコミュニケーションタイムは大事にしたいものです

1日の最後のコミュニケーションタイム

寝る前は静かな時間にしないと「ダメ」と思う人もたくさんいるでしょう。たしかに大騒ぎをするのは逆効果になるかもしれません。

よく考えてみると、寝る前の時間は1日の最後のコミュニケーションタイムになります。

ですから、その日にあった嬉しいこと、悲しいことなどを家族で話す何気ない会話で、頭と心をスッキリさせることをおすすめします。そうすると良く眠れる気がするからです。

田上時子さんの『子どもに愛を伝える方法』(築地書館)の本の中では、子どもに愛を伝える方法が5つ書かれています。

その1つに「時間」が有ります。特に寝る前の時間は一番大事ではないかと思います。
テレビを消して、電気をちょっと暗くして、一緒にいる時間。ここではコミュニケーションタイムになります。

この時間に絵本を読んで過ごしてみませんか?絵本は、寝る前の頭と心を穏やかにしてくれます。

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寝る前に心を穏やかにする絵本選び

絵本で、寝る前の頭と心を穏やかにしようとすると「寝る前にどんな絵本を読めばいいの?」となりますよね?
自分考えるオススメの絵本は2種類に分けることができます。

コミュニケーションに役立つ絵本

最近「役に立つ」という言葉をよく目にします。
この前本屋さんに行った時に、ある絵本の帯に「この本読んだら、子どもは絶対ねむくなる」と書いてありました。さらに店の人の手描きポップで「子育てに役に立ちます!」ともありました。それ見ると、手に取り買いたくなりますよね?
忙しい子育ての中、子どもが早く寝てくれるならいいと思いますよね? 時間はかからないし、子どもがスムーズに眠りについてくれるのですから。

ですが自分は、寝る前のコミュニケーションタイムに役に立つ絵本は、本屋さんで見た帯に書いてあるものとは違う感じの絵本だと思います。
絵本を読むと、話が始まり、子どもは言葉を口にしたくなり、より深く知りたくなります。
お互いの事を知るにはコミュニケーションが必要です。
ただ、年齢の違いや子どもによって、出来るコミュニケーションやその仕方は違ってきます。ですから、コミュニケーションに役立つ絵本の選び方はとても大切です。

~おすすめの絵本~

『とりがいるよ』
風木一人・さく たかしまてつを・え(角川書店)

絵と文がとてもシンプルですが、絵を指さしながらコミュニケーションが出来るので、子どもは大好きです。
小さい赤ちゃんでしたら指さしや言葉は出来ないけれど、大人が指さしながら「赤いのがいるね」などを言うと、子どもはそれを吸収していつか同じ言葉を口にすると思います。指さしが出来るようになったら「赤いのはどこだろう?」と聞くことも出来ますね。

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『ねえどっちがすき』
安江リエ・ぶん 降矢奈々・え (福音館書店)

子どもが自分の意見を言えるようになったら、それを聞いてあげることは大切な事なことで、大事な大人の役割です。
日常生活の中では、毎回子どもの意見を聞くのにはすごい時間がかかりますが、寝る前のこの時間にはピッタリだと思います。
読み終わったら「どっちが好きごっこ」をしてみてはどうでしょう?大人は質問をしながら、子どもが今好きな事、嫌いな事など色々学ぶことが出来ます。

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絵本を読んでいる時、子どもから質問があるかもしれません。
物語の途中で答えてもいいですし、物語を読み終えてから答えても大丈夫だと思います。読み手から質問をするのは1度絵本を読み終えてからの方がオススメです。その方が自然に物語の始まり、終わりなどがわかるようになります。

寝る前のリズムや流れがわかる「真似できる絵本」

清水悦子氏の『赤ちゃんにもママにも優しい安眠ガイド』(かんき出版)の中では、小さい時から寝る前のリズムはとても大事だ、と書いてます。大人の方でもお酒を飲みに行ったり、夜更かししたりなどをすると睡眠時間に影響が出たり、寝不足になったり、日常の生活に影響が出ますよね。赤ちゃんや子どももそうです。

以前、赤ちゃんが生まれたばかりの友達の家に泊まりに行ったことがありました。その日の夜中に赤ちゃんが泣いてしまい、友達が私に謝りながら「ジェリー 、起こしてごめんね。けどしょうがないよね。この人は時差ボケさんですから」と苦笑いしながら言いました。
たしかにそうでした!赤ちゃんは寝たいに時は寝る。お腹空いているに時は泣く。自分のリズムを持っています。ただ、この生活リズムがずーとつづくと、家族は前の生活のリズムを戻しづらくなりますよね。

理想的なスケジュールがあって、毎日同じリズムで同じことをするのは1番いいですが、なかなか難しいと思います。だからと言ってスケジュールやリズムの大事さを子どもに伝えるのは相当難しいことです。

自分は小さい頃、お母さんから「野菜全部たべて。大事ですから」と言われても、その意味が分かりませんでした。
「早く寝ないとダメです」も同じです。子どもはまだその言葉の意味が分かりません。

そんな時は、子どもが真似したくなるようなリズム絵本を読むのがオススメです。
子どもは親の真似をすることで、自然と親と同じことをします。言葉では難しく理解できないことも、真似をすることで伝えられることもあると思います。

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~おすすめの絵本~

『こぐまちゃん、おやすみ』
わかやまけん・さく(こぐま社)

時代が変わるといろんなことが変わりますが、やっぱり1番大事なのは、人としての絆です。この絵本からそれは感じられます。絵本の雰囲気は懐かしいけれど、子育てのヒントや子どもが真似したくなる場面がとても多いからです。

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『Goodnight Moon』
Margaret Wise Brown・さく Clement Hurd・え (HarperTrophy)

この絵本のページをめくっていくと絵がだんだん暗くなって行きます。暗くなると言っても、けっして怖いことではありません。むしろリラックスしながら読むことができます。
寝る時間=暗い=怖いと感じる子どもは多いと思います。この絵本は、暗いところがあんまり好きじゃない子どもにも「暗くなっても大丈夫。怖くないよ」とひとこと言ってあげると、自然に受け入れてくれるはずです。
実際に部屋が夕方暗くなる前に、暗さを体験できるのはこの絵本の力です。

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寝る前の時間はとても大事です。家族はそれぞれ自由に過ごします。

これが「正解」やこれは「ダメ」というのはないし、無理矢理に何かをするのもあんまり意味はないと思います。

自分の家族に合う寝る前のリズムと、1日の最後のコミュニケーションタイムを大事にするのは1番大事だと思います。
そうするときっといい夢を見ることができるでしょう。

 

 

 

子どもは可能性の塊。
真っ白な紙、まだ触っていない粘土、買ったばかりのクレヨンと同じです。
いろんな人と出会い、いろんなことを経験して、少しずつ人間のかたちになって行きます。

子どもの可能性を育てること、守ること

ある日、すごい人見知りの子が公園で知らない子と遊び始めたり、苦手な野菜を完食したり、ボタンのシャツを自分でかけられるようになったり。これは全て経験の結果だと思います。

これって、本当にすごいことだと思いませんか?
大人でしたら、ずーっとそのまま変化はしないことでも、子どもは可能性の塊なのでそれらが出来るのだと思います。

子どもは想像力もすごいです。
前の職場で、ある子どもが「丸を2つ描いただけの絵」を、ドヤ顔で私に見せに来たことがあります。

私は、「これ何?」 子ども:…わからないの?

「雪だるま?」 子ども:違う。

「みかんとりんご?」 子ども:違うって…

「だんご?」 子ども:違う!ちがう!

「んー、わからないなぁ。」 子ども:猫だよ!

「…?ヒゲないよ?」 子ども:ヒゲは白いの。

「耳もないけど?」 子ども:耳も白いの。

「鼻は?」 子ども:だから白猫なの!

まさかそんなことを想像しているとは思ってもいませんでした。
子どもの想像力はやっぱり最強レベルです。クレヨンで描いてないところまで、頭の中にはちゃんと描いているのですね。

大人になると、この想像の可能性はどこに消えるんでしょう?

可能性はやっぱり大事です。一番大事かもしれない。可能性がこんなに大事なものだったら、大人の役割は『子どもの可能性を育てること、守ること』なのではないでしょうか?

出来るだけその可能性の泉が乾かないように見守らないと。
けれど、それはなかなか難しいことです。泉を乾かせてしまうものはたくさんありますが、泉の水を増やすものは少ないような気がします。

long term(長い期間)で物事を見てみませんか

可能性を育てる方法は色々あると思いますが、その中で一番の私のおすすめは、絵本を読むことです。

「絵本を子どもに読み聞かせると頭が良くなる」ですとか、「学校のテストの点数が上がる」と言う人がいます。
この話が本当かどうかはわかりませんが、本好きの人はもしかしたら、本当にテストの点数が高いのかもしれません。(私は違いましたが…)

とはいえ、絵本の可能性はshort term(短い期間)で図るのはもったいない気がします。社会がドンドン便利になるとshort termのことばかりに気になり、いつも短い期間で結果を求めてしまうように思います。

自分もそうです。
オンラインで買い物すると「え?届くのは3日間もかかるの!?」のと思う時があります。昔は、もっともっと時間がかかったのに・・・、現代人の悪い癖ですね。

たまには発想を変えて、long term(長い期間)で物事を見てみるのはどうでしょう?

例えば、絵本を読むだけで、普段私たちが経験出来ないことを経験することが出来ます。ソファに座ったままで海外、宇宙、はたまた違う世界まで行くことが出来ます。
ファンタジーからは、色んなことが経験出来ます。場所だけではなく、いろんな人と出会うことも出来ます。
このファンタージーでの経験は、子どもにとってすごく大事なことだと思います。

今すぐ結果は出ませんが、絵本で経験したことはきっと後で役に立つでしょう。

子どもに可能性の種をまこう

この間の、絵本の読み聞かせ会の後のフリータイムの時間に、3歳の女の子が絵本を持って私のところに来て、ピタッと隣に座りました。

「こんにちは。」 女の子:こんにちは。これ読んでほしい。

「いいよ。この絵いいよね。」 女の子:うん、かわいい。

「いくつかな?」 女の子:私、3歳!

「じゃ、年少さんだね?」 女の子:うん、月組。

「おしゃれだね。」 女の子:すみれ組もある。たんぽぽ組も。

「ミカン組は?」 女の子:ないない。昨日ね、豚の丸焼き食べたよ。

「それはすごいね!美味しかった?」 女の子:うん、全部食べた。

「全部!?お腹大丈夫だったの?」

この女の子は、動物がたくさん描かれている絵本を読みながら、ずーっと私との会話を楽しそうにしました。
後でイベントの担当者から聞いた話ですが、その女の子は、家に帰ってからお父さんに「今日はアメリカ人の友達が出来た」と嬉しそうに自慢気に言ったそうです。

私は、色んなところでバイリンガル読み聞かせ講座をやっています。
たまに子どもから「英語上手だね」と言われます。多分、子どもは絵本を出すと国籍や見た目など全部が関係なくなるのでしょう。「絵本が好き!早く読んで!お話が聞きたい!」という気持ちの方が強くなるのではないでしょうか?
これは本当にすごいことだと思います。大人でしたら絶対に緊張するし、この会話は出来ないですよね??

とよたかずひこ氏の『ワニのバルボン バルボンさんのおでかけ』を読むと、絵はとても可愛くて、話は面白く、この絵本の可能性をとても感じます。
バルボンさんの世界では、人間と動物が一緒に住んでいます。動物も人間も仕事をしていますし、お互いにコミュニケーションをとることが出来ます。
怖がることも無く、子どもも大人もワニと同じ世界に暮らしています。普通だとこの設定はホラー映画の様ですが、バルボンの世界ではこれが普通です。平和で理想的な社会だと思います。

「差別はだめ」、「見た目は違ってもいい」、「みんなの心は同じ」などと子どもに教えるのはなかなか難しいことです。

人間は無意識にメディアやまわりの会話からいろんな言葉や意見を吸収して、パズルのように自分を作り上げます。

子どもにバルボンさんの絵本を読んで上げると、バルボンさんが理想とする社会の良いところを吸収出来ると思います。
子どもの可能性の中で種をまくと、芽が出ます。その芽はどんどん大きくなり、大人になると立派な木になります。大人の木は、新しく出た芽を高いところから優しく見守り、芽の成長を見守ります。
そこには理想的な社会が生まれます。 1人ならあまり社会は変わらないと思いますが、大人が優しい気持ちでで子どもとふれあい、小さい頃からたくさんの絵本を読んであげると、次の世代、また次の世代はきっと良い社会の方向へ変わって行くと思います。

これはlong termの結果ですね。

子どもが絵本に出合う可能性を高めるにはどうしたら良いのでしょうか。それは、大人が子どもにたくさんの絵本を読んであげることだと私は思います。

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絵本講師の勉強を始めたころの話です。

自分の読み聞かせに対するイメージは、語り部と紙芝居が混ざっていると感じていました。

物語を語ったり、演じたり、パフォーマンスをすることが読み聞かせだと思っていました。
なので、「本は大好きだけど、そう読まないといけないなら読み聞かせはしたくない」と思ってしまっていました。

同じように、「読み聞かせはこうでなければならない!」と、考えてしまっている方はたくさんいるのではないでしょうか?

大好きな絵本を自分の子どもに読み聞かせたいけれど、読み聞かせのイメージがなかなかハードルが高すぎて悩む人もいると思います。

私もそうでしたが、いろんな人の読み聞かせをしている姿を見て勉強をしました。
読み聞かせは大変だなと思っていた私のイメージを変えたのは、ある絵本の1匹のゴリラでした。

心をこめて読めばそれで十分です。

ルース・ボーンスタイン著『ちびゴリラのちびちび』の絵本を知っている方は、たくさんいると思います。
私は小さい頃から自分で何回も読んだ事がありましたが、他の人に読んでもらったのは、私が31歳の時でした。

絵本講師養成講座の第4回の講義の時に、NPO法人【絵本で子育て】センターの森ゆり子理事長が読んで下さいました。
森ゆり子理事長の読み聞かせを見た私は、「この読み方は良いなぁ。この読み方なら自分も読み聞かせしたいなぁ」と思いました。

理事長の講義の中では、絵本について色々なお話を聞くことが出来ましたが、その中でも読み方についてのお話はとても記憶に残りましたし、心に響きました。

養成講座が終わってから2年後の図書館の読み聞かせ会で、1人のお母さんから質問がありました。今でもはっきり覚えています。
生まれてから6ヶ月の赤ちゃんを抱きながら、とても真剣な顔で「どうやって絵本を読めばいいですか?」と聞かれました。その時、理事長のお話を思い出しながら「心をこめて、絵本を読めばそれで十分ですよ」と答えました。

その答えを聞いたお母さんは笑顔になりました。
緊張感が消えて、赤ちゃんにまで伝わって赤ちゃんも笑顔になりました。

私は「いないいないばあ」を赤ちゃんとやりながら、お母さんと絵本について話をしました。
理事長のお話の中にあった「心をこめて、絵本を読めばそれで十分ですよ」という言葉は、嘘みたいにシンプルだけど本当の話です。

普通に、自然に

その時のお母さんみたいに、読み方について悩んでいる方はたくさんいると思います。

読み聞かせと言っても、読み手はたくさんいます。声優さんや女優さんなどの有名人が読む読み聞かせ、作家さん自身が読む読み聞かせ、幼稚園や小学校の先生やボランティアが読む読み聞かせなど、たくさんあります。

専門家や著名人の読み聞かせは楽しいイメージですが、家の中での読み聞かせとはまた違うと思います。
家の中の読み聞かせに一番大事なのは、私は【絵本の読み方】だと思います。

有名な女優さん、俳優さん、声優さんの読み聞かせを聞くと、普通の人は「上手く読み聞かせが出来るか?」不安になりますよね。
出てくるキャラクターの声を全部変えたり、効果音を使ったり、ある意味舞台でのお芝居のような物になっていますから・・・。

なかには、家の中での読み聞かせでも、そのような読み方をする人がいますが、それは間違えではありません。
ただそれを見ると、読み聞かせのハードルがかなり上がってしまいます。ですから普通に心をこめて読めば十分なのだと思います。

これを聞くと「感情を入れちゃダメ」と思う人もいるでしょう。そんなことはありません。
ロボットの様に感情を入れずに絵本を読む必要はありません。普通に読むと自然に気持ちが入るでしょうから、楽しい時は声が上がると思いますし、怖い時は声は低くなりますし、悲しい時には声色も変わると思います。

家の中での絵本の読み方は、映画の見方と似ているところがあると思います。
映画を最後まで黙って一言も喋らない人もいれば、それとは反対にお喋りながら見る人もいます。

これはとても読み聞かせに似ています。絵本を読みながら子どもの質問に答えたり、コミュニケーションをとる人もいますし、絵本を読み終えてからコミュニケーションをとる人もいます。

読み方にルールや決まり事はないので、ママの思ったとおりにしてみてくださいね!

シンプルに

私は、子どもが読み聞かせの途中で質問してきた場合その場で答えます。そこで気になる所があるのなら、私はすぐに答えた方がいいと思うからです。

これは前回のお話し【K S B】のK(気持ち)に繋がります。
例えば、同じ絵本を子どもが何回も持ってきても、読み手があんまり好きではない絵本であっても、どうぞ心をこめて読んであげて下さい。

それが、相手の気持ちに応えることだからです。

じつは私はにも、あんまり好きではない【ある絵本】があります。
以前、職場にいた子どもがその本を持って来た時に、心の中で「またこれ?」と何回も思いました。そう思いながら中途半端な気持ちで読むと、子どもから「ちゃんと読んでね」と言われるか、その絵本を違う人に持って行ってしまう事もありました。

子どもは色んな場面で敏感だと思います。読み手がピリピリしていると、聞き手に伝わったりします。
出来るだけ「絵本の時間」は落ち着いて、楽しい時間にしませんか?

読み聞かせの時、聞き手は絵を見て話を聞きます。

読み手は心をこめて、文字を読みます。

とてもシンプルなことですが、聞き手と読み手の役割はハッキリしています。
このように考えると、家の中の読み聞かせはもっと楽しいものになって、笑顔も増えることでしょう。

 

 

ジェリー・マーティン

プロフィール
アメリカ、カリフォルニア州出身。
大学で日本語と日本文学を学ぶ。
13年の子ども英語講師の経験。
NPO法人「絵本で子育て」センター認定講師。全国で「バイリンガルおはなしかい」絵本講座を開催。
「えいごのじかん2」、「えいごのじかん3」(鈴木出版)のバイリンガル絵本シリーズの英訳担当。
小澤俊夫のむかし話大学を卒業。
「セサミストリート」絵本(イマジネーション・プラス)シリーズの日本語訳担当
「セサミストリート」絵本シリーズの日本語訳担当

 

 

 

絵本を読んでいる時間は楽しいはずなのに、何を読もうか絵本選びで悩んでしまいイライラしてしまう方がたくさんいると思います。
絵本選びは難しいから「あ〜、もういいっ!」と思って、絵本を読む前に絵本を読む気持ちをなくしてしまう経験ありませんか?

もちろん絵本選びは大事ですが、私の考えではもっと大事なのは絵本の時間の【KSB】です。

【KSB】って?
そう思った方が大半だと思います。

ここでは、絵本が子どもたちの記憶に残る『宝物』になるように、絵本の時間の【KSB】についてお話しします。

【KSB】とは、Kは「気持ち」、Sは「スキンシップ」、Bは「バランス」のことです。

まず大事なのは、『気持ちのK』。

絵本を読む時、心を真っ白にして、新しい気持ちで読むのが大事です。
たとえ子どもが同じ絵本を何回も何回も持って来て「もう一回読んで!」と言ったとしても、出来るだけまたゼロのところから読み始めてあげて下さいください。

大人は「なんでまたこれなの?」や、「違うのにしましょうよ」などと思うかもしれませんが、子どもはその絵本が大好きなのです。子どもに聞いても、なぜその本が好きなのか?理由は答えないかも知れないし、聞く必要もないと思います。
子どもはその絵本が好きだから手に取って、読み手の所に持って来ています。手に取るのはとても大事なことだと思います。
この頃から子どもには、自分の意見や好みが出て来ます。長い間シンプルな絵本しか手に取らなかったのが、もっと内容が複雑な絵本を持ってきたり、もうちょっと長い絵本を手に取るようになったりと。
その行動は、子どもにとって大きな成長のステップのひとつなのです。

子どもの成長はそれぞれなので、その子どもによって本を読み進むスピードは違います。無理やり子どもを大人の読むスピードに合わせさせる必要はありません。
逆に大人が子どもの読むスピードに合わせた方が良いと思います。

「マイペース」はあまり良いイメージではないかもしれませんが、子どもにとっては大事なことだと思います。

次にとても大事な、『スキンシップのS』。

スキンシップはとても大事です。
毎日ハグをしたり、抱っこしたり、オムツを変えたり、一緒にお風呂に入ったり、一緒に過ごし体を触れ合う時間、スキンシップは大切なコミュニケーションです。

特にまだおしゃべりができない赤ちゃんは、コミュニケーションをとるのが難しいと思っている方がたくさんいます。私の考えでは、絵本の時間もスキンシップをとる時間です。
読み聞かせは、一人の読み手が子どもの前にいて、片手で絵本を持ちながら読む、そんなイメージが強いと思います。例えば、それは図書館、学校、読み聞かせのイベントなどです。
家での読み聞かせは、子どもをひざの上に座らせたり、隣に座ったり、布団の中などで行うのが一番良いと思います。本の持ち方や、声の出し方は特に気にしなくて良いと思います。

心を込めて、生の声で読めばそれで十分です。たくさんのインプットが大切だと思います。
言葉でも、愛情でも。

最後に、『バランスのB』。

絵本の時間ではバランスも大事です。
絵本講師の勉強の中では「主食絵本」と「おやつ絵本」という絵本のわけ方をしています。

主食は体の成長に大事です。同じように「主食絵本」は心、想像力、絆を育てますが、こればっかりだとちょっと重い感じがします。

そんな時は「おやつ絵本」。おやつは美味しいし、気分転換になりますがあんまりお腹に残りません。
「おやつ絵本」の代表的な”しかけ絵本”は、あまり読み聞かせに良くないと言う方がたくさんいます。ですが、私の考えでは、子どもでも大人でもしかけ絵本でも、絵本を好きになるきっかけになるのでしたら、それでも良いと思います。

「おやつ絵本」がダメだとか、「主食絵本」が良いとかではなく、バランスを取って両方読むのが一番良いです。
例えば、寝る前に1冊の「主食絵本」を読み終えましたら、もう1冊は「おやつ絵本」を読むことを私はおススメします。
おやつ絵本は同じようにすごく笑ったり、反応が大きいですが、心に残るかどうか?それはまた別の話です。

皆さんの生活、子育て、考え方はそれぞれ違います。
これが良い、これがダメというのはとても難しいです。ですが、私の考えでは毎日、たった3、4分間で親子の絆をもっと深めることが出来るのは、絵本だけだと思います。

子どもは、親から絵本を読んでもらった記憶が消えることはないと思います。その記憶は子どもの一生の宝物にるでしょう。

絵本を通して、親子の時間を大切にしてください。

 

ジェリー・マーティン

プロフィール
アメリカ、カリフォルニア州出身。
大学で日本語と日本文学を学ぶ。
13年の子ども英語講師の経験。
NPO法人「絵本で子育て」センター認定講師。全国で「バイリンガルおはなしかい」絵本講座を開催。
「えいごのじかん2」、「えいごのじかん3」(鈴木出版)のバイリンガル絵本シリーズの英訳担当。
小澤俊夫のむかし話大学を卒業。
「セサミストリート」絵本(イマジネーション・プラス)シリーズの日本語訳担当
「セサミストリート」絵本シリーズの日本語訳担当