愛する家族や子どもを守りたいなら禁煙を~タバコは周りの人にとって迷惑です~
子どもは、体が小さく機能も未熟なためタバコの煙の影響を受けやすく、さまざまな病気や障がいを起こします。
特に子どもに影響を与える受動喫煙について考えてみましょう。
タバコの煙の害
1.喫煙者が直接タバコから吸い込む煙(主流煙)
2.タバコが燃焼する時の煙(副流煙)
3.喫煙者の息から出る煙(呼出煙)
喫煙しない人が、この2と3の煙を吸わされることを受動喫煙と言います。
ちなみに、副流煙の有害物質の濃度は、本人が吸い込む主流煙よりも高いことが知られています。副流煙は、低い温度で不完全燃焼するタバコから発生するため、有害物質の濃度が高いのです。
タバコの三大有害物質
1.ニコチン
依存症にさせる作用があります。血管を収縮させ、血液の流れを悪くする作用もあり、動脈硬化を促進させます。
2.タール
たばこのヤニの成分。発がん性物質や発がんを促進する物質が数十種類以上含まれています。
3.一酸化炭素
酸素を運ぶ機能を阻害し、酸素不足を引き起こします。動脈硬化を促進させます。
このように害は、喫煙者だけではなく、周りの家族や非喫煙者にも影響を与えます。さて、どんな影響を与えるのでしょうか?
子どもの健康への影響
気管支炎・喘息(ぜんそく)
妊婦の喫煙は、胎児の呼吸器の成熟を遅らせます。また、出生後も受動喫煙で免疫力が低下するため、子どもは頻回に気管支炎やぜんそくを起こし重症化します。
先天異常・小児がん
妊婦の喫煙は、胎児の遺伝子や器官形成細胞にダメージを与え、さまざまな先天異常を誘発します。また、タバコの発がん性物質により、遺伝子の異常を引き起こし、小児がんの危険を増大させます。
歯肉の黒ずみ・歯周病
親が喫煙者だと、80%近くの子どもの歯肉に黒ずみがみられます。これはニコチンの作用で、末しょう神経が収縮し、歯茎の血流が悪くなっているためです。口内の皮ふは、タールやメラニン色素を吸収しやすく、家族が禁煙しても、すぐにはきれいなピンク色に戻りにくいと言われています。
知能・精神発達への影響
成長の阻害・知的能力の低下
タバコ煙には鉛が含まれており、身長の伸びが悪くなるほか、脳の働きを悪くして知能の低下を招きます。子どもが11歳になった時の知的能力テストで、喫煙者の子どもは、非喫煙者の子どもにくらべ成績が劣りやすくなる、身長も伸びにくくなると言われています。
犯罪者になる確率が高い!?
喫煙者から生まれた子どもは、キレやすく、将来犯罪者になる確率が高いというデータがあります。胎児期の脳がニコチンをはじめさまざまな化学物質によって、何らかの障がいを受けるためと考えられています。妊婦の喫煙や幼少時からの受動喫煙によって、子どもの注意欠陥多動障がい(ADHD)の他者への攻撃的性格が現れやすくなります。影響は特に妊娠初期の喫煙で顕著です。
外で喫煙しても子どもや家族への影響は大きい
屋外で扉を閉めて喫煙する両親の子どもの尿は、非喫煙者の子どもたちにくらべ、2倍のコチニン(ニコチンが体内で代謝されて生じる物質)が出ていました。これは、喫煙する両親のはく息からの受動喫煙が大きな原因だと考えられています。
喫煙者の息からは、タバコを吸った後も長時間タバコに由来する化学物質が出ています。喫煙後の人の息を調べると、高濃度の一酸化炭素(CO)が8時間も確認できます。煙は見えなくても、喫煙者の息からは有害物質が出ているのです。子どもは大人に比べ呼吸回数が多く、親との密接な身体接触が多いため、親のタバコの害をまともに受けます。子どもたちの健やかな成長を願うならば、タバコのない環境を整えていくことが必要です。
愛する人を守りたいならタバコをやめよう
タバコは喫煙者だけではなく、子どもや周りの人々の健康に全くよい影響をあたえません。タバコは自分だけの問題ではありません。愛する子どもや家族を守りたいのであればやめましょう。子どもにタバコを将来、吸わせないために、物心がつくうちからタバコは危険であるものだと言うことをしっかり教えましょう。
外でタバコを吸っているから子どもに煙を吸わせていないので大丈夫という考えは甘いです。喫煙者がタバコを吸ってなくても喫煙後見えない形で有害物質を長い時間放出させているので周りの人は知らないうちにタバコの煙を吸ってしまうのです。
特にタバコを吸う人は体に臭いにおいがしみついていて、近寄るだけでタバコ臭さを感じます。正直半径5mは離れていてほしいと思うほどです。このように、タバコは吸わない人にも迷惑をかけてしまうことを忘れてはいけません。
タバコをやめる方法
タバコがやめらない理由
愛する家族を受動喫煙から守りたいので禁煙しようと決めたけどなかなかやめられないと悩みを抱えている方がいらっしゃるのではないでしょうか。ついまた吸ってしまうのは自分の意志が弱いからではなく、ニコチン依存が原因なのです。
○ニコチン依存性に至るまで
1.脳は、タバコの成分ニコチンが結合すると快感が生じる錯覚におちいります。
2.タバコを吸うと、ニコチンが肺から血の流れによってすぐに脳に達します。
3.ニコチンが脳内で結合すると、快感を生じさせる物質ドーパミンが放出されます。
4.ドパミンが放出されると快感が生じます。さらに、もう1度タバコを吸いたくなります。
5.2から4を繰り返すうちに現れる、イライラなどの離脱症状(禁断症状)を避けるため、喫煙をやめられなくなります。
禁煙を無理なく実施方法
1.2~3日タバコを我慢してみる。
2.禁煙グッズの活用
ニコチンガムや禁煙離煙パイプなどがあります。しかし、使い方を間違えると禁煙が振り出しに戻るので注意をしましょう。
私は、タバコを吸わないのでどれくらい禁煙グッズや禁煙外来が、効果があるのかはわかりません。しかし、何もやらないよりは効果があるのではないでしょうか。
子どもに将来喫煙をさせないための対策
タバコを吸うことにメリットがないことを強い意志を持って伝える。
子どもは興味本意など軽い気持ちでたばこを吸い始め、体への影響を深く考えていない、安易に考えていることが多いようです。保護者の方は、子どもに対してタバコに関する正しい知識を説明してあげてください。また、家庭内でも目に見えるところにたばこを置かないなどの対応も大切です。
親が子どもの前でタバコを吸うことをやめる。
親が喫煙していると、子どもの喫煙率が高くなるという報告があります。子どもは、身近な人がタバコを吸っている姿を見て興味を持ちます。親は子どもの前でタバコを吸うことはやめましょう。
タバコ事体をやめる。
受動喫煙をなくし、家族全員の健康を守るため親も子どももタバコを吸わないことです。
タバコは吸っている人だけに害があるのではなく、周りの人々にも害を与えます。愛する家族や子どもを受動喫煙から守るために、タバコを吸っている人は禁煙しましょう。