【ママ対談】子育てママとしてどう働く?②/声優日向さくらさん
寝かしつけタイムに活躍する、スマートフォンを使った絵本プロジェクター「おそらの絵本」に、以前からご希望の声が数多く寄せられていた、便利な自動読み聞かせ機能が増えました。この声優を担当した一人、日向さくらさんと子育てやお仕事についてお伺いしたお話を、全2話でお届けしています。
【声優 日向さくら】さんってどんなひと?
ナレーター、声優、司会などのお仕事をこなす子育てママ。「子育てをしながら声の仕事がしたい」という想いから2019年に自宅に収録ブースをつくり、在宅で声の仕事ができる環境を整えた。スマートフォン専用プロジェクター「おそらの絵本」での声優を務める。
1話目ではお仕事と子育てを両立しながらも、やはり同じように「子育てあるある」な悩みをもつ日向さんのお話を伺いました。
今回は最終話です。ぜひ最後までお楽しみください。
「松倉」
ところで、日向さんは子どもの頃から声のお仕事を考えていたわけではないのですか?
「日向」
はい、子どもの頃は考えていなかったです。ただ、ある体験が強烈に思い出として残っていて。
小学3年生のとき…だったかな…。学校に劇団の方がきたんです。その時、体育館で初めて演劇というものをみました。それがすごく楽しかったんですね。
「松倉」
小学校の時に劇団が来て劇をみせてくれていましたね!私もワクワクしていたのを覚えています。
「日向」
短大に入学するまでは声の仕事とは別の進路を考えていたんです。でも短大在学中に自分は本当は何がやりたいのかと悩んだ時に、その演劇を観て感じた熱を思い出したんです。「私は声のお芝居がしたい」と声優を目指し、短大卒業後に上京し、まずは声優養成所の扉をたたきました。
養成所というのは、文字通り「養成する場」であり、お仕事をいただく場ではないんです。発声、滑舌などの基礎や、演技の技術、知識をまずは養成所で学んだんです。
…残念ながらその養成所の上にある事務所には所属できませんでした。その後、他の事務所に所属することができ、声のお仕事をはじめました。
「松倉」
養成所に入れたからその後事務所にも所属できるという訳ではないのですね…
声優の世界の厳しさの一部を知った気がします。
「松倉」
それでは次に、私の興味本位でお伺いします。声のお仕事をされていると、子どもとの遊び方や日常の中で声色をかえて子どもとやり取りするなど、子育てで便利なことがあったりするものですか?
「日向」
うーん、私は特にはないですね。逆にうまく読んでやろうと思うのを抑えなきゃいけないと思っていました。
「松倉」
え!?それは意外でした!あえて変えていなかったんですか?
「日向」
そうですね。「読み聞かせは、感情を押し付ける読み方をしちゃダメ」とインターネットの記事などに書かれていたので…※1
「松倉」
ありますね。子どもの想像力に影響するかもといった内容ですね。
「日向」
私はどうしても悪い人は悪い声を出そうとかしちゃうので、それを抑えるのが難しいんです(笑)
「松倉」
私思いっきり声変えてしまってます(笑)
「日向」
ですので「おそらの絵本」も、キャラクターであまり声を変えすぎないよう、子どもが想像できる余地を残して読むことを意識しました。
正直どっちがいいのかわからないんですけど。声を変えて読むのも面白いと思うんですけどね。
「松倉」
日常にアニメがありふれていたりするので、結局はその選択も親にゆだねられてしまうのかもしれませんね。
「松倉」
ちなみに、それを意識しだしたのはお子さんが何歳くらいの時ですか?
「日向」
最近ですね。それまでは、そのキャラにあわせて抑揚をつけて絵本を読んでいたんです。例えば「ももたろう」なら、それこそ元気いっぱいに。
でもあんまりそれをやると寝なくなっちゃうんですよね。興奮しちゃうのか、絵本を読みながら寝るというのが、うちの子の場合全くなくて。
「松倉」
それはプロならではの悩みなのかもしれないですね!
「日向」
自分がキャラに合わせて読むのが楽しいんですよね(笑)
子育てに私の声の仕事が役立ったとかはあまりないですけど、息子の声を販売しています。子どもと触れ合う時間ができるし、私の仕事を子どもが体験してくれるのが嬉しいです。
「松倉」
へーっ!子どもの「わーい!」みたいな感じの声とかですか?
「日向」
そうですね。いろんなバージョンで録っています。以前は月1くらいのペースで録音していました。
音声販売のサブスクに親子で録音した声を置いているんです。
「松倉」
そうなんですね!すごい!
「日向」
今は簡単に録音できるから、子どもの声っていっぱい売っているんですよね。
「松倉」
そうなんですね…知らなかったです!
「日向」
でも子どもなのでバタバタしちゃって雑音が入っちゃったりするので、同じセリフをいっぱい言ってもらって、いいのを選んで。みたいな感じです。動かないで―!みたいな(笑)
「松倉」
子どもはどうしたってじっとしてくれないですもんね!
私も子どもの写真撮るのにすごい連写しちゃうので、すぐ300枚とか500枚になってしまって選ぶの大変で…
「日向」
たまに「ぼくの声売れた?」って聞かれます。自分の声が世に出ていると理解しているんですよね。売れたら子どもにお小遣いとして、全部あげてるんです。
「松倉」
それはいいですね!ちょうどお金の感覚も養えそうです。
「日向」
でもちょっとしかないから。「はい、12円ね」とか。子どもに「ガチャガチャできる?」って言われて、まだできないよって(笑)
本当は私の手間賃とかあるんですけど、売れた分は一緒に確認して、全部渡しています。自分で稼いだお金でガチャガチャをするのが、息子の小さな目標です。
「松倉」
頑張らないとなんですね(笑)
そうやってお金を受け取っていろいろ学んでいくのもママの環境ありきですね。自分が作った”自宅スタジオ”という仕事環境の中で、子どもにもいつもと違う体験をさせてあげられるのはとても良いことだと思いますし、私も一つでも多く子どもにいろんな体験をさせてあげたいです。本人が大きくなった時に覚えているかは別ですが(笑)
「日向」
そうですね、経験は宝、ですね。
子どもにはいろんな経験をしたうえで、自分の道をみつけてほしいと思っています。なんでもいいんです。「自分の声が売れてガチャガチャが1回できた」とか、小さな成功体験を積み重ねながら自信をつけて、成長していってほしいです。
「松倉」
本当にそうですね。そのように成長していってくれると嬉しいですね。
ちなみにおそらの絵本で声優をしていただいたことで、日向さんのお仕事になにか変化はありましたか?
「日向」
そうですね。私は普段、企業さまの製品紹介や事業紹介といったお仕事が多く、子どものために絵本を読み上げる、というのははじめての経験でした。子ども向けのお仕事を増やしていきたいと思っていますので、実績として今後の活動にアピールしたいと思っています。
「松倉」
今回のご縁で、日向さんの今後の活動に少しでもお手伝いが出来ているようで嬉しいです。
今後の展望などはあるのでしょうか?
「日向」
今後も、幅広く声の仕事をしていきたいと思っています。
子どもが小学生にあがって私も働ける時間が増えてくると思うので、スタジオ収録や司会業など外へでる仕事を徐々に増やしたいです。また、宅録環境も家族との大切な時間のために今より良いものにして大事にしていきたいです。
「松倉」
今後の日向さんのご活躍が楽しみです!
今回は貴重なお時間をいただきありがとうございました。
「日向」
こちらこそありがとうございました。
※1…感情を込めずに読み聞かせをするという件について
あくまでインターネット上に広がる情報のひとつであり、必ずしもそれが正しいという訳ではありません。お子さんによって、また場面によっても異なりますし、感情を込めた読み聞かせをすると良くないということではありません。
全2話で、日向さくらさんと「ママとしてお仕事と子育て」についてお話させていただきました。
業界ならではの厳しい現状や、その中でも子育てとお仕事を両立されたお話はとても興味深く、子どものお金との関わり方も、日向さんならではのアイディアでとても面白かったです。
子どもに関連したお仕事もしていきたいとお話していた日向さん。今後のご活躍が楽しみです。