「季節を楽しむ喜び」のヒントが絵本にある!

暑さが長く続いたと思ったら、短い秋が訪れ、そして突然やってきた本格的な冬。夏と冬が長く、春と秋が短くなったことにより、四季の国であるはず日本の二季化が進んでいるとも言われています。そんな昨今だからこそ、我が家では自然に触れることや、季節の行事をできる限り大切にしています。

今回は、中学生の長女が小さい頃に購入した絵本をご紹介。今は幼稚園の年長になる次男と一緒に読みながら、季節毎の行事の楽しさや、自然を楽しむヒントについて教えてもらっている一冊です。

絵本の中で世界中を探検できる!

文:すとう・あさえ
絵:さいとう・しのぶ
出版社:のら書店

1月から12月まで、それぞれの月の行事やその時季の虫や植物、遊びが描かれています。例えば植物であれば、それを使った遊びも詳しく紹介している点が大きな特徴。

行事の由来から、その時季にどのようにして過ごすのかまでを、画と文章から詳しく知ることができます。子どもだけでなく、大人の私も知らなかった情報も盛りだくさんなので、一緒に読みながら親子で夢中になれる内容です。

細かい部分まで緻密に描かれた画に目が釘付け!

この絵本の素晴らしい点が、細かい部分まで実に緻密に描かれている画にあります。例えば正月には、大きな鏡餅が飾られた床の間のある和室にあるこたつの上におせち料理が並び、家族全員着物を着て、子どもはお年玉をもらって喜んでいたり・・・。まるで自分の子どものころの写真を画にしたかのような光景に、どこか懐かしさも覚えます。

描かれている行事の光景は、昭和の時代には当たり前にあったものばかり。次男の知っている鏡餅は、雑貨屋さんで購入した手のひらサイズの置物で、こたつは自宅にないため、実物を見たこともありません・・・。たこあげをしたことはありますが、羽根つきはしたことがないので、テレビで羽子板を見て「これは何?」と聞いてきたことも。子どもたちに昔ながらの行事の光景を、きれいな画を見ながら丁寧に教えてあげることができて、教えている私の方もほっこりとした気持ちになれます。

自然で遊ぶことの楽しさにも出会える

特に大きな行事はないけれども、秋を感じさせてくれる10月が次男の好きなページ。どんぐりでの遊び方だけでも見開き2ページにわたって描かれていて、いつも興味津々に見ています。その中に書かれていたのが、どんぐりだけでも数種類とあるいうこと。その中でも気になっていた、丸くて大きいくぬぎのどんぐりの実物を公園で見つけたときには大喜び。

ぞうむしがどんぐりの中にいることも、この絵本を読んで学んでいたので、「このどんぐりには穴があいているから、ぞうむしが潜んでいるんだよ」と家の中ではなく、玄関先に置いてまるで宝物のように扱っていました。

幼稚園児でもYouTubeを見て、iPadを使いこなし、ゲームで遊ぶことが当たり前になっている今、それを超える遊びはないのかな、と思うときも・・・。ゲームが決して悪いものとは思っていませんが、こうして自然を感じる遊びは「どうやったら自分で楽しいことをつくりだせるか」という創意工夫の大切さも教えてくれます。

この絵本の中に登場する落ち葉の美しさと遊び方を見て、公園に行くと葉を夢中で拾うように。ある日、ボソっと「どうぶつの森(ゲーム)で花や生き物を拾うのも楽しいけれども、本物の方がひとつずつ色も形も違うからもっと楽しい」と発言した次男。この一言に、大人の私も本物を見て触って季節を楽しむ良さに、ハッと気付かされました。

今年特に感じた秋の短さ。そんな昨今だからこそ、季節を感じさせてくれる貴重な時間を大切に。今年は家族5人のスケジュールの合う週末があったので、勢いで京都の紅葉を見に行きました。伝統ある日本の文化と自然の美しさのコラボレーションは圧巻。次男もこの絵本で葉の種類に関してもしっかりと予習していたので、「絵本にあったいろはもみじだ!」と秋の自然の美しさを肌で体験してくれたようです。

行事の意味を知ることで家族の絆も深まる

この絵本を見て、小さいころの長女と、正月用のしめ飾りをつくるワークショップに参加したことがあります。そのしめ飾りには「年神様を迎える神聖な場所をしめす意味があり、12月28日までに飾るものなのだ」ということもこの絵本で子どもと一緒に学びました。

また「大掃除」のページからは、大掃除は12月13日から28日の間にするものと知り、それ以来我が家では13日になると少しずつ始めるようにしていたのですが、今年は驚くことに、次男が「12月13日からお掃除するんだよ」と教えてくれました。そして、家族総出でする大掃除の画を絵本で見た次男は、13日の翌日の土曜日に家族みんなでやることを提案してくれたので、いつ以来でしょうか、家族全員で1日かけて大掃除を実行。わいわい言いながらも自分の住む場所を、家族全員で行うことの爽快感。次男の一言で、絵本に出てくる「家族で行事を楽しむこと」の良さを、私も再認識できました。

年長さんになった次男とは、今年は少しレベルアップして、この本に載っているそれぞれの食材の意味を確認しながら、一緒におせち料理をつくる予定。季節を感じることは素敵なことだと、子どもたちに少しずつ伝えることを目標にしていましたが、気付けば自分も知らなかったことや、行事を行うことの大切さをこの絵本から学んでいます。クリスマスに大晦日、お正月とさまざまな行事が続くこの季節にこそ、ぜひ親子で読んでもらいたい一冊です。

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