東経135度のまちにある明石天文科学館へ行こう。

時計を見ると今、何時何分かすぐわかります。そのような時間はどのようにして決められているのかみなさんは考えたことがありますか?その答えがわかる場所は明石天文科学館です。今回は明石天文科学館がどんな場所がコラムでお話ししたいと思います。

明石天文科学館

明石市立天文科学館(あかししりつてんもんかがくかん)は、兵庫県明石市にある、宇宙や天文学をテーマとした博物館です。1番館の玄関横を通る子午線上に漏刻が設置され、また「JSTM」(Japan Standard Time Meridian=日本標準時子午線)と表示された時計塔があります。この塔は東経135度の日本標準時子午線の直上に建設されており、日本標準時子午線を示す標柱の役割もあります。

展示内容

○なぜ日本標準子午線は東経135度になったのか。
●子午線とは

古い時代から方位や時刻を十二支で表わしました。方位については、真北を「子」、真南を「午」と呼びましたが、子午線とは「子」と「午」の方角、つまり真北と真南を結んだ線という意味です。したがって、子午線は、任意の地点を通る南北線のことであり、地球上であり、地球上には無数にあります。
一般に、明石を「子午線のまち」といいますが、その意味は「日本標準時の基準となる東経135度子午線上のまち」という意味です。

●世界時と日本標準時

上記の図は北極の真上から見た地球とします。地球自転を反映として、星も太陽も地球のまわりをまわるように見えます。地球は1日に1回転するので、1時間で地球全周(360°)の1/24(15°)をまわります。このため、経度15度で1時間の時差が生じます。
本初子午線上の時刻を世界時(U.T.)といい、経度差15度おきに1時間ずつ時差をもつ時刻を世界各国の協定にもとづき使用することが決められていて、これを経帯時といいます。日本では世界時と9時間差のある時刻を日本標準時として採用しました。これは、東経135度子午線上での時刻です。

●地方時と標準時

13世紀頃からヨーロッパでは太陽が真南に来る時(太陽南中時)の時刻を決める基点とするようになりました。このような時刻を地方(太陽)時といいます。世界時と日本標準時の説明のとおり、経度が15度へだたると地方時に1時間の時差ができます。
上記の図は日本国内の地方時の差を表わしたもので、北海道の東端と九州の西端とで約1時間の時差があります。日本で鉄道の敷設が始まったばかりの明治初期には、東京に始点を持つ鉄道は東京時刻で運行し、京阪神間の列車は大阪時刻で運転されていました。
このように、交通や通信技術の未発達の時代には、地方時を使用して何ら差し支えはありませんでしたが、国内の鉄道がすべてつながって直通列車が運行され、地方時では不都合が生じ、世界的に協定された標準時の制定が必要になってきました。日本では東経135度の線を日本の標準子午線としました。

○時のギャラリー
時計と暦の2つのコーナーで、人間と時との関わりについて学べる場所です。

●月の満ち欠け

月の満ちかけを体験できる参加体験型装置があり、自分で触って「月の満ち欠け」を学ぶことができます。

●三球儀

地球は、自転軸(地軸)をいつも決まった方向に23.4度傾けているので、軌道上を公転するにつれて、北半球と南半球への日光の当たり方が変わってきます。このために季節変化がおこります。三球儀では、その様子や、日食や月食のおこる様子を見ることができます。

●初期の時計
日時計、砂時計、ロウソク時計などを展示します。

日時計の展示は日時計広場で展示しています。明石海峡を望む景色の良い屋外空間で太陽のめぐみを感じることができます。多種多様な日時計が展示しています。自分の影で時刻が分かる人間日時計や、いろいろな形の日時計で時刻を知ることができます。

●親時計

明石天文科学館のシンボルでもある塔時計を制御している親時計。この時計は、独立行政法人情報通信研究機構のテレホンJJYから電話回線で時刻情報を受信して、自動的に補正するようになっています。

塔時計は、明石市のシンボルのひとつです。

○天文ギャラリー
太陽系、銀河系・宇宙、宇宙開発の3つのコーナーで、天文・宇宙について学べる場所です。

●太陽系

太陽系の惑星の姿やさまざまな太陽の姿を映像で見ることができます。室内中央の太陽系儀で太陽系惑星の公転周期を観察しましょう。

●銀河系

私たちの太陽系はどこにあるのでしょうか?銀河系で探して見ることができます。

○天文サロン
情報検索装置、書籍、ワークショップをとおしてより深く学ぶことができる場所です。ワークショップをおこなえるテーブルや、天文や科学に関する書籍や雑誌、天文ナビゲーション(情報検索装置)などを設置し、展示室で生じた疑問を解消したり、ワークショップをおこなったりと、多目的に活用している場所です。

○らせん階段

●宇宙カレンダー
1階から14F階のらせん階段には、ビッグバンから人類誕生までの約137億年を365日におきかえたカレンダーで、宇宙の歴史を見ることができます。

●88星座
3階から14階のらせん階段には、全天に輝く88星座をすべて見ることができます。今まで知らなかった星座たちを見つけて見ましょう。

1階から14階まで登るのはかなり体力がいりますので階段を登りながら見るのではなく、1階から14階までエレベーターで登って14Fから1Fへ階段を降りながら見ることをおすすめします。

展望室

13・14階に展望室があります。日本標準時子午線の標識になっている高塔をエレベーターであがることができます。展望室は、360度の大パノラマで、すばらしい眺望が楽しめます。世界で1番長いつり橋の「明石海峡大橋」(全長3,911m、主塔と主塔の間の長さが1,991m 平成10年4月5日開通)を眼前に見ることができます。
そのほかにも明石海峡を航行する船や淡路島、播磨灘とそこに浮かぶ島々、明石の町並み、六甲山系の山々、西神ニュータウンの高いビル群を見ることができます。

プラネタリウム

明石天文科学館のプラネタリウムをみる代金は、展示室の観覧料に含まれています。展示室の観覧料とは別にプラネタリウムの観覧料をいただくことが多い科学館が多いのですが、明石天文科学館は、観覧料を払うだけで、プラネタリウム・展示室・展望室すべてが利用できます。

プラネタリウム番組は、幼児や小学校低学年を対象とした子ども向けのキッズプラネタリウム、乳幼児(0~4歳くらいまで)のお子さんと保護者の方を対象としたベビープラネタリウム、素敵な生の音楽と満天の星を気軽にお楽しみいただくプラネタリウム、一般人を対象にした一般のプラネタリウムがあります。

ベビープラネタリウムは、実施日の1カ月前から前日17:00までの期間までに予約が必要です。定員(250名)まで、先着順で電話か館のウェブサイトより申込をしています。

ベビープラネタリウムの申し込み

ベビープラネタリウム

太陽望遠鏡

太陽望遠鏡は、クーデ式の太陽観測専用の望遠鏡です。口径25cmの主鏡で拡大された白色光の太陽像を映します。

キッズルーム

惑星をモチーフにしたボールをちりばめたボールプールや幼児用絵本などを置いた書棚も設置しています。小さな子どもたちも宇宙に親しみながら遊べ、赤ちゃんを連れたお母さん用に、授乳室もご用意しています。展示物を見ることにあきて子どもが退屈したらキッズルームに立ち寄ることをおすすめします。

明石天文科学館がどんな施設かお分かりいただきましたか。なぜ日本標準子午線は東経135度になったのか疑問に感じましたら明石天文科学館に足を運んでみてください。

 

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