こんにちは!サイエンスコミュニケータのくもMです。 私は奈良県を中心に身近な科学を通じて、皆様の学びを遊びに変えていくため、サイエンスショーや実験教室を各地で開催したり、京都や奈良で子ども科学実験教室を運営しております。 ここでは親子で楽しめる実験を毎回紹介しています。もし、初めてご覧の方は以前のものも読んでみて下さい。 そして、今回ご紹介する実験は探偵気分になれる実験です。ブラックライトを使って『光るもの』を探し出しましょう。

準備するもの

準備するものはブラックライトです。
ブラックライトはネットや実験器具を扱っている一部の雑貨店などで購入することができます。ただ、ブラックライトを買うのは少しハードルが高いなという方にお勧めなのが、100円ショップで売られているシークレットペンです。 こちらのシークレットペンは透明なインクで文字を書き、ペンの上部についているブラックライトを当てると光って文字がみえるという物。ただ、右側のブラックライトに比べると、見つけれるものは限られてきますので、たくさん探したいという方はお手頃なハンディタイプのブラックライトを購入することをお勧めします。

ブラックライトで光るものを探してみよう

それでは、ブラックライトを様々なものに当ててみて、どんなものが光るのか試していきましょう。 まずはトニックウォーターにブラックライトを当ててみましょう。トニックウォーターは炭酸水に柑橘類などの果皮のエキスと糖を入れたもので、スーパーでも買うことができる透明な飲み物です。 ※今回は容器を移し替えております。
本当に↑このような透明な飲み物が光るのか?ブラックライトを当ててみます。
とっても綺麗に光っていることが分かります。美しい青色なので、見ていると涼しく感じますね。同じようにシークレットペンについているブラックライトでも試してみましょう。
シークレットペンについているブラックライトでも青く光っていることが分かります。トニックウォーターにはキニーネという物質が含まれており、ブラックライトを当てると、このキニーネが光るのです。 実はブラックライトを当てると光る飲みものは他にもあります。それは栄養ドリンクです。栄養ドリンクにはビタミンB2が含まれているので、光ります。トニックウォーターや栄養ドリンク以外に光る飲み物や食べ物が他にもあるので、ぜひ、ご自分でも探してみて下さい。 もちろん、ブラックライトを当てて光るのは食べ物や飲み物だけではありません。他にも色んな所で見つけることができます。では、探してみましょう。 ※ここから先はシークレットペンについているブラックライトでは確認することができません。 まずは年賀状。
送られてきた年賀状にブラックライトを当てると、このようなバーコードが出現しました。 これは住所をバーコード化することで機械に読み込ませ、振り分けを自動化しているのです。普段は目に見えませんが、ブラックライトを当てることで確認することができます。 では、次はお札にブラックライトを当ててみましょう。
ハンコの部分が光っているのが分かります。これはお札の偽造を防止するために特殊な発光インキを使っているからなのです。このハンコの部分以外にも光るところがあるのでぜひ、探してみて下さい。 このように身近なものにブラックライトを当てると光るものがありました。まだまだブラックライトを当てると光るものは身の回りにはたくさんありますし、私たちの体にだってあるのです。どうでしょう。探してみたくなったのではないでしょうか?

どうしてブラックライトを当てると光るの?

ブラックライトを当てると光るものはたくさんありましたね。そもそもブラックライトとは何なのか?説明していきましょう。

ブラックライト

ブラックライトは目に見えない『紫外線』を出すことができるライトです。 私たちの周りには光が溢れており、その光が目に入ってくるので、色を認識することができるのですが、全てが見えているわけではありません。 人間の目で認知することができる光は限られており、紫から赤の範囲(可視光)だけなのです。 ⇩可視光
そして、紫よりも波長が短い光が紫外線であり、私たちの目には見ることができません。一方、赤よりも波長が長い光は赤外線と言います。読んで字のごとくですよね。 ブラックライトはこのような目に見えない紫外線を出すライトということなんです。 では、なぜ紫外線を当てると光るものがあるのでしょう?

蛍光物質

太陽の光やブラックライトライトなどの光が当たると、光る物質を『蛍光物質』と言います。 そんな蛍光物質に光を当てると、光を吸収してエネルギーが高い状態になります(励起状態)。
そして、この高い状態のままではいれないので、再び元の安定した状態(基底状態)へと戻ります。
安定した状態に戻る時に光を出しながら戻るので、蛍光物質は光るのです。

蛍光物質でノーベル賞

日本各地の沿岸部で見られるオワンクラゲというクラゲは刺激に応じて生殖腺を発光させることができます。そして、この発光を不思議に思い研究された方がいました。 その方こそがノーベル化学賞を受賞された下村脩先生です。 下村脩先生はオワンクラゲが光る謎を解き明かすべく、たくさんのオワンクラゲを捕まえて研究を続けました。そして、1962年に緑色蛍光タンパク質(GFP)の単離・精製に成功し、このタンパク質に紫外線を当てると光るということを発見したのです。 発見されたこのタンパク質はその後、たくさんの研究者によって研究、応用されたことで、これまで難しかった生命活動を停止させない状態での小さな生命現象の観察を可能にしました。この技術は生命科学の研究に大きく貢献したのです。 その結果、下村脩先生は2008年にGFPを世界で初めて単離・精製した功績が認められ、ノーベル化学賞を受賞されました。 下村脩先生は始めこのタンパク質が応用されるとは思っておらず、純粋に好奇心で研究をされていたそうです。このような功績は基礎研究がいかに大切であるかということ、そして身の回りには大発見が隠れているかもしてないということを教えてくれます。 ぜひ、皆様もまずは身の回りの不思議に目を向けていろいろと調べたり、実験してみて下さい。そうすれば、実はまだ解き明かされていない謎は溢れているということに気付くはずです。 皆様に良い学びがありますように。

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こんにちは!サイエンスコミュニケータのくもMです。

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ぜひ、この記事を通じて学ぶ楽しさを感じて下さい!

今回のテーマは『構造色』。色素を使ってカラフルな色を作るのではなく、CDの裏のようにキラキラした虹色をチョコレートに再現します。

とっても綺麗で簡単に作れちゃうので、皆様もお家で挑戦してみてください。

準備するもの

準備するものは以下の通りです。

・ブラックチョコレート
⇒テンパリングが上手くできれば、ミルクチョコレートでもできます。ブラックチョコレートだと失敗しにくいです。

・分光シート
⇒Amazonなどのネットショップで1000円ほどで購入可能です。

・温度計
⇒割れないようにデジタルの温度計がおすすめです。

あとは湯煎できるようにボウルを用意すれば、虹色に輝くチョコレートを作ることができます。温度が重要ですので、必ず温度計は用意してくださいね。

虹色のチョコレートを作ろう

それでは、早速虹色に輝くチョコレートを作っていきましょう。

まずはチョコレートを溶かしていきますが、この時、注意すべきことが3つほどあります。

A. 必ず湯煎でチョコレートを溶かしてください。直火でチョコレートを溶かすと、温度が上がり過ぎてチョコレートが変質し、固まりにくくなってしまいます。

B. 湯煎しながら溶かすのですが、水分がチョコレートの方に入ってしまわないようにしましょう。水分が入ってしまうと固まりにくくなります。

C. 温度をしっかりと測りながら操作を行ってください。適当にすると味だけではなく、見た目も悪いチョコレートになってしまいます。

以上のことをしっかりと守り、手順通りに行えば必ずうまくいきますので、頑張って下さい。

1、 55℃でチョコレートを溶かしましょう。

このように温度が55℃でもしっかりと溶けてくれます。温度が上がり過ぎた時は湯銭から出し、ボウルの底をしっかりとタオルで拭いてください。そうすることで温度変化を抑えることができます。

2、 しっかりとチョコレートが溶けきったら、次は湯銭から水に移し替えて、かき混ぜながらチョコレートの温度を26℃まで下げていきます。

3、 26℃まで下がったら10秒程度かき混ぜます。そして、一度冷やしたチョコレートの温度を31℃に再び上げます。

なぜ、また温度を上げるのか?それはチョコレートの味と見た目を良くするためです。この操作をテンパリングと言います。

チョコレートにはいくつかの結晶の形があります。その結晶の中でも口どけが悪い結晶と口どけが良い結晶があるのです。

溶けた状態から温度を下げていくと、この両方の結晶ができてしまいます。そこで行うのがテンパリングです!

口どけの悪い結晶は約28℃で溶けてしまう一方、口どけの良い結晶は約33℃まで溶けないので、この差を利用して口どけの良い結晶だけを残します。

そして、口どけの良い結晶が残れば、それが結晶の核となり、全体が口どけの良い結晶になってくれるのです。

31℃になったら30秒ほどしっかりとかき混ぜて下さい。口どけの悪い結晶は溶かしてしまいましょう。

しっかりと混ぜればチョコレートの準備は完成です。

4、 このチョコレートを分光シートに流していきます。

分光シートは表と裏があるので気を付けて下さいね。少しだけ滑りの悪い方が表です。必ず表側に流すようにしましょう。

5、 チョコレートを分光シートに流し終えたら、冷蔵庫で1時間冷やします。そして、これで完成です。

このように虹色に輝くチョコレートを作ることができました。見る方向によって虹が見えたり、見えなかったり、色んな色を楽しむことができます。

手順の中でわからないことがあれば、動画(この記事の一番最後)で確認してみて下さい。

どうしてチョコレートの表面に虹が見えたの?

色素を混ぜたわけでもないのに、チョコレートの表面に様々な色が現れていますよね。いったいどうしてなのでしょうか?

それは、チョコレートに小さな凹凸できて、その凹凸が光を分けてくれたからです。CDの裏側はとてもキラキラしてますよね。まさにこれと同じです。

今回は虹色に輝くチョコレートを作るのに使った分光シートには、見えないくらい小さな凹凸があります。

ここに光がやってくると、光の中に隠れていたたくさんの色が分けられて、虹が見えるのです。

そして、ここに溶かしたチョコレートを乗せました。

そして、冷蔵庫で冷やすことでチョコレートは固まりました。その結果、チョコレートの表面にも同じように凹凸ができてチョコレートの表面で光が分けられて虹ができたのです。

構造色は色素が出す色とは違ったとても綺麗な色ですよね。見る角度によっても色が見えたり見えなかったりするのも面白いところです。

身の回りにはたくさんの構造色が溢れている

実は身の回りにはたくさんの構造色が溢れています。例えば、CD、シャボン玉や蝶の羽、タマムシ、魚、クジャクの羽など様々な生き物たち、などが構造色を持っているのです。

特に生き物の構造色は美しいですよね。色素はその生き物が亡くなってしまうとどんどん分解されて行き、その色は薄まってしまいます。

しかし、構造色の場合、亡くなってもなお構造が維持されている限り、その輝きを失わずにいられるということがとても素敵ですね。

人々は昔から構造色に惹かれていたということは飛鳥時代の仏教工芸品である玉虫厨子やベルギーの王宮の天井に使われたタマムシを見れば分かります。

ぜひ、皆様の周りでも構造色を探してみて下さい。きっと新しい発見があるはずです。

構造色のチョコレートは簡単に作ることができるので、構造色を身近に感じて下さい。

皆様に良い学びがありますように。

 

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この記事を通じて学ぶ楽しさを感じていただければ嬉しいです。

連載させていただいて5記事目となる今回のテーマは『静電気』。

静電気と言えばドアノブを触ったり、人と触れ合ったりする時にばちっときて痛い思いをしたことがある人も多いはずです。

しかし、今回は痛くない静電気を使うみんなを驚かすことができるような楽しい実験を伝授しましょう!

準備するもの

準備するものは以下の通りです。

・PPひも
・塩ビパイプ
・キッチンペーパー
・(ビニール手袋)

塩ビパイプは長風船でも代用することができますが、塩ビパイプの方が上手く浮かばせることができるのでおすすめです。ホームセンターなどに行けば安く手に入れることができます。

長すぎたり太すぎたりすると持ちにくいので大きさは重要です。

長すぎる場合はカットしましょう。

また、キッチンペーパーは擦って静電気を溜める用なので、無くても服で擦ったりすることで代用は可能です。いろいろなもので試してみるのも面白いと思いますよ。

どんなものを使えば静電気が溜まるかな?

※うまくいかない時はビニール手袋をつけて試してみましょう。静電気が手から逃げてしまうのを防いでくれます。

クラゲを作っていこう

①ますはPPひもを適度な長さでカットします。写真では約40 cm。もっと長くしても大丈夫です。好きな長さで挑戦しましょう。長くすればするほど大きいクラゲができるよ。

②カットしたPPひもをちょうど真ん中でくくりましょう。バランスが大事です。

↑写真のようにしっかりとくくってくださいね。

③次はくくったPPパイプを両側から割いていきましょう。できるだけ細かく裂く方が上手く飛ぶし綺麗に見えますよ!

この時に髪のくしを使ったりするとすぐにできますが、手で頑張って割いた方が綺麗です。

↑これくらい割くことができれば、十分です。では、このクラゲを浮かしてみましょう。

クラゲを浮かしてみよう

早速クラゲを浮かしてみましょう。浮かす方法は簡単です。

まずはクラゲを↓の写真のように束にしてからしっかりと擦っていきます。

しっかり擦って静電気を溜めていきましょう!

しっかりと擦ることができたらクラゲの準備はOKです。

うまく静電気が溜まっているとクラゲはふわっと開いてくれます。

次は塩ビパイプもしっかりと擦ります。

クラゲと塩ビパイプを擦れば準備はOK。

あとは空中でクラゲを放ち、塩ビパイプを近づけてみましょう。

クラゲが手に引っ付いてくるのでうまく空中に放ってくださいね。

このように空中にクラゲが浮いてくれます!大きいものを作ればすごい迫力。

みんなはうまく操ることができるかな?やってみましょう。

どうしてクラゲは浮くの?

うまくクラゲを浮かせることはできましたか?

では、どうしてクラゲはふわふわと浮いてくれたのでしょうか?

それは静電気のおかげなんです。

では、静電気って何なのかを説明していきましょう。

静電気

このように下敷きを使って髪の毛を持ち上げた経験は誰しもがあると思います。

これこそ静電気が関係しています。なぜ髪の毛が持ち上がるのかを考えれば、クラゲが浮く理由も見えてきますよ。考えていきましょう。

私たち人間もそうですし、下敷きなどすべての物質はプラスとマイナスの電気を両方持っています。

では、下敷きで頭を擦ってみましょう。

すると、マイナスの電気が下敷きの方に溜まっていくことになります。この溜まった電気こそが静電気です。

下敷きにはマイナスがたくさんあるので、マイナスよりになっていますよね。

しかし、髪の毛の方はどうでしょう?プラスの方が多くなっているではないですか。

その結果、マイナスとプラスで引き合い髪の毛が下敷きで持ち上げられることになるのです。

クラゲが浮く理由

では、どうしてクラゲが浮いたのでしょうか?

クラゲを浮かせるにはクラゲと塩ビパイプの両方に静電気を溜めましたよね。

つまり、どちらもマイナスになるので、マイナスとマイナス、反発し浮くということなのです。

冬場は乾燥して特に静電気が発生しやすく、厄介なものだとばかり思っている方も多いかもしれません。

しかし、使い方を身につければ、楽しく学べる道具に早変わりするんですよ!

ぜひ、皆様も静電気クラゲマスターになって下さい。

※この実験は湿度に大きく左右されます。湿度が高い時には部屋を除湿したり、湿度が低い時期を見計らって挑戦しましょう。

 

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今回のテーマは『アイスクリーム』

 

皆様アイスクリーム好きですか?好きですよね!

実はそんなアイスクリームは簡単にお家で作れちゃうのです。

今回はアイスクリームをお家にもあるものを使って作りながら、そして食べながら科学を学んでいただこうと思います!食べることも立派な学びです。

それでは早速作っていきましょう。

準備するもの

準備するものは以下の通りです。

・氷:大量
・塩:大量
・牛乳:100 mL
・生クリーム:100 mL
・バニラエッセンス:2, 3滴
・砂糖:15 g
・チャック付きの袋大、小

※1人で食べるには多い量です。ご注意ください。

作り方

1.まずは小さい方のチャック袋に牛乳と生クリームを1:1で入れましょう。今回は100 mLずつとしています。

2.バニラエッセンスを2, 3滴、砂糖を15 g加えてしっかりとシェイクしましょう。砂糖をしっかり溶かしてね。

3.しっかりと砂糖が溶けたら、大きなチャック袋に氷をたくさん入れましょう。

4.氷を入れたところに塩をたくさん入れます。※大さじ4杯ほどで十分です。

5.氷と塩を入れた大きなチャック袋にアイスクリームの材料を入れた小さなチャック袋を入れます。※しっかりとチャックが閉まっていることを確認してください。

6.あとはシェイクするだけ!みるみるうちに硬くなっていきます。※とても温度が下がるのでタオルを巻いて振ることをお勧めします。

7.アイスクリームは完成です。

さらに詳しい作り方を知りたい方は一番下の動画をご覧ください。

どうしてアイスクリームができたの?

冷凍庫にアイスクリームの材料を入れて置いておいてもそんなにすぐにアイスクリームはできません。また、カチカチでアイスクリームとは程遠い存在になってしまうのではないでしょうか?

しかし、今回の作り方ではあっというまにアイスクリームができましたよね。なぜでしょうか?解説していきましょう。

融解熱

大きなチャック袋にはたくさんの氷と塩を入れましたね。そうするとみるみる温度が下がっていったはずです。

皆様も感じることができたと思います。

一体どうして氷に塩をかけると温度が下がっていくのでしょうか?

通常、0℃になると水は氷になりますよね。このように氷になることを凝固、逆に氷が水になることを融解と言います。

今回、大事になってくるのは「融解熱」。融解熱とは固体が溶けて液体になる時に必要な熱量のこと、つまり氷が水になる時に周りから奪う熱のことです。

これは氷や水を水分子の粒として考えることでイメージがつきやすくなると思います。

氷(固体)の状態では水分子はあまり動いていないので、お互いに強く引き合っています。しかし、水(液体)の状態では水分子はお互いに引き合える程度に揺れ動いている状態です。

みんさんもそうだと思うのですが、揺れ動くにはエネルギーが必要ですよね。まさにこれと同じで、氷の状態の水分子が周りからエネルギー、つまり熱を受け取ることで水になることができるのです。

つまり、温度が下がるのは塩をかけることで氷がどんどん溶け、周りから熱を奪っていくからということですね。

凝固点降下

氷に塩をかけていくと氷の一部分が溶けていって温度が下がっていくことはわかりました。

しかし、思い出してください。水は0℃になると氷になってしまうんですよね?

氷に塩をかけると-10℃は軽く超えていきます。何が起こっているのでしょう。

これは塩が水に溶けることで『凝固点降下』が起きているのです。

簡単に説明すると、水に塩が溶けることで氷になりにくくなっているということ。つまり、凝固点が降下している、0℃で凍るはずなのに-20℃でも氷にならないようになってしまったということです。

塩が水分子が集まってこようとするのを邪魔しちゃうんですね。

その結果、0℃でも凍らなくなる+氷が溶けて温度が下がる ことでどんどん温度が下がっていきました。

実はこの凝固点降下は身近なところにも利用されています。

冬、道路に白い粉が撒かれているのを見たことがありませんか?

この白い粉の正体は塩化カルシウムと言いまして、塩と同じ働きをしてくれるので道路が凍らなくなるのです。

次の冬には意識して観察してみてください。

凝固点降下の動画⇩

冷やされ方の違い

氷に塩をかけるとどんどん温度が下がっていく理由は分かっていただけたかと思います。

しかし、アイスクリーム作りには更なる科学が隠れています。

冷凍庫の設定温度は約-18℃ですが冷凍庫に入れてもこんなにすぐにアイスクリームができないし、なんならカチカチになってしまいますよね。なぜでしょう?

それは冷凍庫と今回の冷やし方の違いに答えがあります。

冷凍庫は冷たい空気が物を冷やしますが、今回はどうでしょうか?水や氷が直接冷やしていますよね。

空気の方が分子が少ないので、冷やすのには時間がかかってしまうのです。冷えるのに時間がかかるということはゆっくりと氷になるということです。

すると、1つ1つの氷の結晶が大きなものとなり、カチカチになってしまいます。

一方、アイスクリームは急激に冷やされて作られるので氷の結晶が細かくなり、柔らかくなるのです。

また、この冷やされ方をイメージするにはサウナで考えるとわかりやすいと思います。

90℃のお湯に手を突っ込んだら火傷してしまいますよね?しかし、90℃のサウナに入っても火傷しません。

これも同じで、空気の方が分子が少ないので火傷しないのです。

アイスクリームを作るだけですがたくさんの科学が詰まっていますよね。

視点を変えてみると色んな所に繋がっているということがわかると思います。

ぜひ、美味しいアイスを食べながら身近に溢れる科学を学んでみてください。

 

 

 

こんにちは!サイエンスコミュニケータのくもMです。

奈良県を中心に身近な科学を通じて、学びを遊びに変えていくためサイエンスショーや実験教室を開催しています。

記事を通じて学ぶ楽しさを感じていただければ嬉しく思います。

ということで今回はみなさんも大好きであろうマヨネーズを自作しながら、科学を学んでいただきます!

マヨネーズにはお酢と油が入っているのですが、お酢と油って混ざりましたっけ?

油とお酢を同じコップに入れてみて下さい。すると2層に分かれ全然混ざらないはずです。

一体どうしてマヨネーズでは混ざっているのでしょうか?

今回はそんなことを考えながらマヨネーズを作っていきましょう。

準備するもの

準備するものは以下の通りです。

・油 180 mL
・たまご 2個
・お酢 大さじ1杯
・塩 小さじ1杯
・マスタード 少々

※結構量が多くなるので半分量でも良いかもしれません。

作り方

1.まずは卵黄だけを取り出します。白身は水分が多いので取り除きましょう。

2.お酢、塩、マスタードを入れてかき混ぜていきます。お酢と卵黄がしっかりと混ざるまでかき混ぜてください。

3.しっかりとお酢と卵黄が混ざったら、油を入れていきます。ここで注意しないといけないのが、油は10回くらいに分けて入れるということです。本来ならば混ざらないものを混ぜるので、慎重にいきましょう。

混ぜては入れる。混ぜては入れるを繰り返していくとどんどんマヨネーズになっていきます。

↑このような状態になれば完成です!

自作のマヨネーズはあっさりしていてとても美味しいですよ!私はきゅうりと一緒にいただきました。ぜひ、皆様も作って食べてみてください。

どうして油とお酢が混ざるの?

お酢と油

下の写真のように油とお酢をコップに入れても2層になってしまうのでうまく混ざりません。

しかし、マヨネーズは全く分かれることなく綺麗に混ざっていますよね。

一体どうしてなんでしょうか?

それは卵にレシチンという脂質の一種が含まれており、これが「界面活性剤」として働いてくれるからです。

レシチンとは何なのか?そして、界面活性剤とは?順番に説明していきましょう。

レシチン

生き物たちの体は細胞からできています。

ニワトリの卵も細胞であり、卵1つがものすごく大きな細胞なのです。

最初はみんな1つの細胞。人間も初めは1つの細胞としてはじまり、分裂して37兆個もの細胞の塊となります。

そう思うとびっくりしませんか?

そんな細胞には外側と内側を仕切るために膜があります。

この仕切りを細胞膜と言い、細胞膜は細菌から植物、そして人間まですべての生き物が持っているもので、細胞膜の主成分が『レシチン』です。

界面活性剤

ではなぜ、細胞膜の主成分であるレシチンが油とお酢を混ざるようにしてくれるのでしょうか?

レシチンは両親媒性分子と言って、下の図のように油と仲が良い構造(疎水基)、そして水と仲が良い構造(親水基)の2つを持っているからです。

細胞ではレシチンは油同士が仲が良い構造を向け合い、内側も外側も水と仲が良い膜を形成しています。

また、レシチンはどちらとも仲の良い構造を持っているので、下の図のように油を取り囲むことで「ミセル」というものを作り、お酢や卵の水分と混ざるようにしてくれます。

 

このように本来混ざらないものを混ぜてくれる物質を界面活性剤と呼びます。

界面とは水と油のように異なる物質が接している面のことであり、この面を仲良くするように活性化してくれるので界面活性剤というわけ。

図を見ればレシチンが油と仲の良い構造を油に向けて、逆に水と仲の良い構造を外に向けることで2つを繋げてくれているということがわかると思います。

また、油と水がこのような界面活性剤によって混ざることを乳化と言うので覚えておいてください。

マヨネーズはレシチンがうまく2つを混ざるよう仲介してくれていたので、綺麗に混ざっていたんですね。

 

他にも身近なところに界面活性剤は使われています。

それが洗剤です。洗剤のラウリン酸などの分子も同様に界面活性剤として油を取り囲んでくれるので、油汚れを落とすことができます。身の回りには界面活性剤が溢れているのです。

 

皆様、美味しいマヨネーズは作れましたか?

普段当たり前のように買っているものを自分で作ってみると面白い気づきがあったりします。

ぜひ、自分で作って考えてみてください。食べることもまた学びに繋がります。だって食べ物にもたくさん科学が詰まっているのだから。

 

 

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今回は簡単にお家でもできる『美しい実験』をご紹介していこうと思います。

実は私たちが普段目にする白い光にはたくさんの色が混ざっています。

ロウソクとCDを組み合わせることで、そのことを確かめることができるんです。

お家でも簡単にできるとっても綺麗な実験ですので、ぜひやってみてください。

※火を使う実験なので、お子様は必ず保護者の方と挑戦してください。

準備するもの

準備するものは以下の通りです。

・ろうそく(3号以上の大きなロウソク)
・ロウソク立て
・CD
・火をつけるもの

たったこれだけで美しい実験ができます。

ロウソクは大きいものを使用した方が良いです。3号の大きさがあればOK。

実験

それでは、実験していきます。

ロウソクをロウソク台に立て、部屋の電気を消して火をつけていきましょう。

あとは、ここにCDをかざすだけです。

すると

このようにとても綺麗な色のグラデーションができます。

とても綺麗ですよね。

距離を変えれば

近づけたり、遠ざけたりすることで色が変わります。

どうして色がみえるの?

色は光であり、光の波長によって色は決まります。

白い光はいろいろな色が混ざっているから白くみえるのですが、光の波長が短い、つまり細かい波ほど紫に見えて、波長が長い波ほど赤く見えるのです。

私たちが見ることのできる範囲の光の波長は約380~780 nmのものまでと言われており、この範囲の光を『可視光』と呼びます。

そして、紫よりも短い波長は目に見えませんので、紫外線と言います。反対に赤よりも長い波長は赤外線と言うのです。

どちらもきっと聞いたことがあるはずです。

もちろん、見える波長の範囲は人によって個人差があるので、人よりも短い波長の光を見れる人や長い波長の光を見れる人もいます。

ここでもう一度さっきのCDの写真を見てみましょう。

光が分けられて様々な色、虹が見えています!とても綺麗ですよね。

ではなぜ、このような綺麗な虹ができるのでしょうか。

どうして虹ができるのか?

白い光にはいろいろな色が混ざっていると言いました。

CDの表面にはピットと呼ばれるとても細かく小さなくぼみが規則正しくたくさん並んでいます。

このピットを読み込むことでCDを再生することができるのですが、ここに光が当たると、下図のように色が分かれてしまします。

このような光をわけるものを『回折格子』と呼んでいます。

色によって分かれる角度は異なり、分かれた色同士が強め合ったり弱め合ったりすることで様々な色が見えるのです。

また、CDを遠ざけたり、見る角度や位置によって色が変わって見えましたよね。これは、目にやってくる光が反射する角度が変わるからです。

いろいろな角度や位置で試してみましょう。どんな色がみえるかな?

構造色

このように美しい光を見れる構造は人が作り出したCDのようなもの以外にもたくさんあります。

タマムシを見たことがあるでしょうか?

とても美しい色をしていると思いますが、あれも色素ではなく構造色によるものなのです。

その美しさから国宝にも指定されている飛鳥時代の仏教工芸品である「玉虫厨子」の装飾に用いられていたといわれています。

また、蝶や鳥の羽など生き物たちはこの構造色で美しい色を出しているものが多くいるのです。

現在、塗料や化粧品などにもこの構造色を応用しようという研究もされており、見る角度によって色が変わる車とかが生まれるかもしれません。

本当に楽しみですよね。

周りにいる生き物たちの色が色素によるものなのか?それとも構造色によるものなのか?ぜひ調べてみてください。

 

 

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今回は音にまつわる実験をご紹介していきましょう。

私たちは人それぞれ、違った声を持っています。

そして、そんな声は普段目で見ることはできません。もし、見えてしまえば色んな人の声がこちゃごちゃして大変そうですが・・・。

しかし、今回は見えない声を見る実験!

声で模様を作り、色んな人と比べてみましょう。

お家でも簡単にできる実験です。チャレンジしてみてください。

実験装置を作ろう

準備するもの

準備するものは以下の通りです。

・ボウル
・厚手の黒いビニール袋
・ビニールテープ
・ハサミ
・塩(さらさらのもの)

黒いビニール袋は100円ショップでも手に入りますが、破れやすいのでホームセンターなどで手に入る厚手の物を使用した方が良いです。

この黒いビニール袋をボウルよりも少し大きめのサイズにカットします。

だいたい直径の大きさよりも10 cmは大きくしてください。小さすぎても大きすぎても後で困ります。

作っていこう!

まずは黒ビニール袋をボウルにかぶせていきます。かぶせてから、下の写真のように縦方向にビニールテープを止めていきましょう。

しっかりと黒ビニール袋を伸ばしながらテープを貼っていってください。しっかりと伸ばさなければ綺麗な模様を作ることはできません。

また、対角線上に交互に貼っていくと綺麗にビニール袋を張ることができますよ。

どんどん貼っていきましょう。裏向きにして貼っていくと貼りやすいです。

ここまで貼っていけばひとまずOKです。

表に向けて黒いビニール袋がピンと張れているか確認しましょう。

うまく張れていれば、太鼓のような音が鳴るはずです。

しかし、このままではまだまだ張りがたりません。もっともっと張らなければうまく声の模様を作ることはできないのです。

つぎは、ビニールテープを周りに巻いていきましょう。

この時注意することは、写真のようにビニール袋の膜が張ってあるおもて面から離して、少し下の部分から巻いていくということです。

最低3周は巻いた方が良いので、下の方から巻いていきます。

テープは重ならないように引っ張りながら巻いていきましょう。

これで完成です!さっきとの違いは写真ではわからないかもしれませんが、叩いてみるとすぐにわかります。

音がさっきよりも響くようになったはずです。

それでは実験していきましょう!

実験

塩をまいておこう

実験装置は完成しましたが、このままここに声をかけても音の模様を見ることはできません。

そこで、どのご家庭にでもあるであろうものを使います。

それは、塩です!さらさらしたタイプのものを使用してください。

写真のように表面にまんべんなく塩をまいていきましょう。少なすぎると綺麗に見えないので、多めに巻くことがポイント。

もうこれで準備は万端です。

塩は落ちてしまうので、トレイなどを下にひいておくことをお勧めします。

それが無いと塩まみれになってしまいますよ!

声をかけよう!

それではこちらに思いっきり声をかけて下さい。

小さな声ではだめです。

おもっいっきり大きな声で、「あーーーーー!!!」と声をかけてあげるのがポイントです。

また、ただ声をかけるのではなく、少し両手で口を覆って音が出る範囲を狭めてあげるとより綺麗な模様を見ることができます。

声をかけるとこうなります。

まんべんなく広がっていた塩が、模様のようになりました。

何だかお花みたいではないですか?

この模様は人によってそれぞれ違います。私のはこのような模様になりましたが、皆様のはどんな模様になるでしょうか?やってみてください。

どうして模様ができるのか?

声は振動

私たちの声は喉にある声帯という部分が震えることで出ています。

自分ののどに手を当てて、声を出してみてください。そのことは簡単にわかるはずです。

そして、その声帯の震えが空気を揺らし、その振動が耳に届くので音として聞こえるのです。

また、人によって声が違うのは、人それぞれ声帯の長さや厚さが違いますし体格も違うからで高い声の人や低い声の人がいますよね。

男性の声帯は女性よりも長く厚くなるので、声が低くなるのです。のどぼとけが出ているのはそういうことです。

声は振動であるということはお分かりいただけたかと思いますので、なぜ、それが模様を作るのかを解説していきましょう。

模様ができるのはなぜ?

ボウルに向かって声をかけると、空気を伝わってその振動はボウルに到達します。

すると、その振動はピンと張った黒いビニール袋の膜を揺らすことになり、揺れは膜表面で下のように波となります。

この波は上下に揺れることになります。すると、揺れている部分と揺れていない部分があるのがわかりますか?

青まるで囲まれたところは揺れていませんよね。

ではここでもう一度、声の模様を見てみましょう。

このように塩があまりない部分と塩がたくさんある部分があります。

塩があまりないところは膜が揺れた部分であり、波の部分。反対に塩がたくさんある部分はちょうど波と波の間の節の部分なのです。

だからこのような模様ができるのです。

この模様は人によって違うといいましたが、それは、人によってこの波の間隔が異なるからです。

この波の間隔が狭いと音は高く聞こえ、広いと低く聞こえます。これを波長が短い、長いと言うのでぜひ覚えておいてください。

また、このように声でできる模様をクラドニ図形と言います。

あなたの声の模様はどんな風になりましたか?

色々な人の声を比べてみましょう。

 

 

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