子育ての見方!「貸してあげる」楽しさを学べる【クヌギくんのぼうし】

「貸して」「だめ!」大切な物を人に貸すって難しい

兄弟がいる場合、「1番上の子が1番手がかかる」「上の子はマイペース」「下の子は要領が良い」などとよく言われますよね。皆さんのご家庭はどうでしょうか。我が家は3人兄弟なのですが、見事にこの通りになっています。

長男はもう小学生なのに、3人の中で1番幼いなと感じることもしばしば。部屋の電気を消さない、靴下脱ぎっぱなし、マンガ出しっ放し…何度言ったら分かるのか。本当にマイペースです。

自分のものを兄弟に貸すこともなかなかできなくて、それはワガママ真っ盛りの3才の次男がそうだからかもしれないのですが、クレヨンやブロックなどのおもちゃや本は「貸して」「だめ!」「貸して」「だめ!!」「なんで!?」「だめ!」を繰り返し、結局弟たちが泣くことに。これが続く週末はぐったりしてしまいます。

幼い弟たちと同じ視点に立つな!と思ってしまうのですが、私自信、子どもと同じ視点に立ってわあわあ言ってしまうこともあるので、なかなか難しい事ですよね。大切な物を貸したくない気持ちも分かります。とは言え、もう少し何とかならないものか…。そこで選んだのが「おそらの絵本」の「クヌギくんのぼうし」です。

「貸して」「いいよ」ができたら楽しい!を教えてくれる「クヌギくんのぼうし」

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「クヌギくんのぼうし」は、クヌギくんが大切にしている帽子を貸してあげることで、友達が増えていくお話しです。

主人公のクヌギくんは大きな丸いクヌギのドングリ、仲良しのコナラくんとミズナラちゃんは、それぞれちょっと細長いコナラとミズナラのドングリです。3人ともドングリの「ぼうし」をかぶっています。

クヌギくんは帽子をとても大切にしているのですが、ある日風に飛ばされてしまった帽子を見つけてくれた鳥さんに「かぶらせて」と言われます。クヌギくんは悩むのですが、みんなを背中に乗せて空を飛んでもらう代わりに帽子を貸してあげます。次にネズミさんにはリボンと引き替えに帽子を貸してあげます。最後にトカゲさんには見返りなしに帽子を貸してあげることができ、みんなで楽しく遊ぶことができます。

クヌギくんは毎回、帽子を渡したくない気持ちも大きいのですが、「みんなで楽しく遊びたい」という想いから、そこを一歩乗り越えて自分の大切なものを貸してあげることができるのです。

時折入る効果音が登場人物の気持ちをよく表現していて、しょんぼりしているトカゲさんの効果音が流れたときには子どもたちから「あぁ-…」と共感のため息が。お話しの世界にしっかり入っている様子でした。

後日、「貸して」「だめ!」「見せて」「だめ!」が兄弟間で繰り広げられている時に「クヌギくんはさぁー」と割って入ったのですが、長男に「あーうんうん、はいはい」と軽くあしらわれてしまいました。

やはり小学生ともなるとこの手のやり方は通用しないのかなあと悲しく思っていたのですが、少し時間が経った後に様子を見てみると、問題となっていた絵本を3人で仲良く眺めていました。「クヌギくんのぼうし」が少しは心に残っていたのかな?たまたまかもしれませんが、とても嬉しい出来事でした。

お友達に「貸して」と言われたら思い出して欲しい「クヌギくんのぼうし」

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『絵本を読んで登場人物の気持ちに寄り添うことで、たくさんの他者の気持ちを知ることができる。それが「心の豊かさ」を育む』という内容のコラムを読んだことがあります。その通りだなと思い感動した文章だったのですが、「クヌギくんのぼうし」の「おそらの絵本」は効果音があることで登場人物の気持ちに共感しやすくなっていると感じました。

「クヌギくんのぼうし」は、共感する気持ちをしっかりと育み、先の楽しみのために目の前の気持ちを乗り越えることを教えてくれます。友達や兄弟から大切なものを「貸して」と言われた時に、葛藤はあるでしょうけれど、このお話を思い出して「貸してあげたら楽しく遊べるな」と気持ちよく貸し借りができるようになればいいなと思います。

普段なかなか物を貸せない長男にも、幼稚園で初めての集団生活が始まったばかりの次男にも、ちょうどいいお話しでした。伝わっているといいな。

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