帝王切開が行われる場合はどんな時

赤ちゃんが元気で生まれてくることほどうれしいことはありません。しかし、妊娠出産にはトラブルがつきものです。母子ともに少しでも出産のリスクを少なくするために膣分娩が危険と感じたら帝王切開で出産します。

帝王切開とは妊婦さんのお腹を切開する手術をおこない、赤ちゃんを取り出す分娩方法です。
帝王切開は、予定帝王切開と緊急帝王切開の2種類があります。

さてどんなリスクがある場合、帝王切開が行われるのでしょうか?帝王切開について詳しくお話したいと思います。

予定帝王切開

自然分娩(経腟分娩)が難しいと判断され、分娩時のリスクを回避するために、最初から予定を立てて帝王切開で出産するのが「予定帝王切開」です。
あらかじめ手術日を決めて帝王切開が行われるケースは、赤ちゃんに要因がある場合と、ママに要因がある場合の2つに分けられます。

●赤ちゃんに要因がある場合
1.多胎妊娠
双子や三つ子を妊娠した多胎妊娠の場合、それぞれ胎児が小さいために経腟分娩に耐えられない、あるいは第一子の出産後に第二子が逆子になってしまう、などといったリスクがあるため、予定帝王切開になるケースが多いです。

2.巨大児
赤ちゃんの推定体重が4,000gを超えた場合、ママの産道が損傷する、赤ちゃんの肩甲骨が引っかかって難産になるリスクがあるため、予定帝王切開を行うことがあります。

3.前置血管
胎児を包む卵膜の直下に、臍帯血管が走っていることがあります。この臍帯血管がママの内子宮口に面している状態を「前置血管」といいます。前置血管は、破水すると卵膜と一緒に破裂し、出血してしまうリスクがあるため、あらかじめ前置血管とわかっている場合は予定帝王切開です。

4.胎位異常
正常な状態であれば、赤ちゃんは足を上にして、頭から生まれてきます。
しかし、頭と足の位置がひっくり返ったいわゆる「逆子」の状態(骨盤位)や、子宮に対して赤ちゃんの体が横になった状態(横位)などの場合、経腟分娩では赤ちゃんに危険を伴うため、予定帝王切開になることがあります。

骨盤位の種類によっては膣分娩になる場合があります。どんな骨盤位が膣分娩になるのか以前書かせていただいたコラム『【私の出産】逆子と診断されたら~逆子体操の効果~』参照にしてください。

【私の出産】逆子と診断されたら~逆子体操の効果~

●ママ側の要因
1.帝王切開・子宮手術の経験がある
帝王切開での出産経験がある場合、手術で切開した子宮壁のカ所が薄くなっているため、次の出産時に自然分娩をすると子宮破裂などのリスクがあります。また、子宮の病気により「子宮筋腫核出術」などの手術を経験した女性も、同様のリスクがあります。このような場合、子宮破裂のリスクを避けるために、経腟分娩ではなく予定帝王切開を選択することが多いです。

2.児頭骨盤不均衡
「胎児の頭(児頭)と、母体の骨盤の大きさが釣り合っておらず、スムーズな分娩が妨げられる状態」を、児頭骨盤不均衡といいます。赤ちゃんの頭の大きさと比べてママの骨盤が狭いと、なかなか赤ちゃんの頭が産道を降りてこず、難産となることが多いため、X線による骨盤測定と胎児超音波計測の結果次第では、予定帝王切開のスケジュールが組まれます。

3.前置胎盤・低置胎盤
胎盤の位置が正常よりも低く、子宮口をふさいでしまう「前置胎盤」になっていると、分娩時に大量出血を起こす危険性があります。ただし、妊娠初期に前置胎盤であっても、妊娠週数が進むにつれて前置胎盤が治ることも多くあります。前置胎盤の状態が続くと、妊娠中に出血することも多く、ほとんどの場合、妊娠37週頃までに予定帝王切開を行います。また、胎盤が子宮口を覆っていなくても、胎盤の位置が低く子宮口に近い場合(低置胎盤)も、予定帝王切開になる場合があります。

4.感染症・合併症
母体にエイズウイルス(HIV)や性器ヘルペスなどの感染症があり、経腟分娩では胎児に感染する恐れがある場合や、糖尿病や心臓の疾患などの合併症があり、過度な負担をかけられないような場合に、予定帝王切開が選択されます。

緊急帝王切開

もともとは自然分娩を予定していたものの、分娩前や分娩中に赤ちゃんや母体に何らかのトラブルが起きて、早急に赤ちゃんを取り出す必要が生じた場合に行うのが、「緊急帝王切開」です。緊急帝王切開が行われるケースは、予定帝王切開と同様に赤ちゃんに要因がある場合と、ママに要因がある場合の2つに分けられます。

●赤ちゃんに要因がある場合
1.胎児機能不全
妊娠中あるいは分娩中に、赤ちゃんが低酸素症などに陥り、新生児仮死など命に危険が及ぶ恐れがある状態を胎児機能不全といいます。分娩中にへその緒(臍帯)が赤ちゃんの首に巻きついたり、胎盤機能が低下したりして、赤ちゃんに十分な酸素が行き渡らなくなってしまった場合は、危険なのでなるべく早く赤ちゃんを外に出してあげる必要があるため、緊急帝王切開を行うことがあります。

2.臍帯下垂、臍帯脱出
赤ちゃんの命綱であるへその緒が、破水前に赤ちゃんより先に子宮口まで下がってきたり(臍帯下垂)、破水後に腟内へはみ出たりする(臍帯脱出)ケースです。

3.前置血管破綻
胎児を包む卵膜のすぐ下を走っている臍帯血管が、内子宮口に面している状態を「前置血管」といいます。破水のときに、前置血管が卵膜と一緒に破裂し、出血が起きてしまうことがあります。これを前置血管破綻といい、緊急帝王切開が行われます。

4.前期破水
陣痛が来る前に卵膜が破れて、羊水が流れ出てしまうことを前期破水といいます。特に、妊娠37週未満で起こる前期破水の場合、胎児機能不全や子宮内感染などの合併症を引き起こしやすいので、緊急帝王切開を行うこともあります。

●ママ側の要因
1.分娩停止、遷延(せんえん)分娩
お産が始まったものの、陣痛がなかなか強くならず、子宮口も開かないなど、長時間分娩が進まないような場合です。陣痛促進剤などの医療処置の効果がなく、すぐ分娩しないと母体や赤ちゃんに影響があると判断されたときや、経腟分娩では難しいと考えられる場合に緊急帝王切開が行われます。

2.重症妊娠高血圧症候群
妊娠中に高血圧となり、蛋白尿や様々な合併症を引き起こすものを、妊娠高血圧症候群といいます。重症の場合、多くは予定帝王切開ですが、状態などによっては経腟分娩を選択できることもあります。しかし、分娩中に母体の状態が悪化したり、胎児機能不全などが見られたりした場合は、緊急帝王切開に切り替えられることもあります。

3.常位胎盤早期剥離
赤ちゃんが生まれる前に胎盤がはがれてしまうことを、常位胎盤早期剝離といいます。子宮内で大量出血が起こり、母体・胎児ともに危険な状態になることが多いため、すみやかに緊急帝王切開を行います。

4.子宮破裂
過去に帝王切開や子宮筋腫の手術を受けている場合、分娩時に子宮が裂けてしまうことがあります。これが子宮破裂です。なお、自然に起こるケースもゼロではありません。

5.妊婦心肺停止
何らかの理由で妊婦さんが心肺停止に陥った場合、救命措置を取りつつ、並行で緊急帝王切開を行い、胎児を娩出します。

帝王切開のメリットとデメリット(主に予定帝王切開)

○メリット
1.医師の管理のもとで出産するので、安全な分娩ができる
医師が出産につきますので万が一のことが起きても素早く対応ができるだけリスクが少なくなるお産ができます。

2.自然分娩のような分娩時の痛みがない、短時間で分娩できる
計画的に出産が行われるので自然分娩のようにお産に長い時間かかることがありません。

3.予定日が決まっているので準備が楽
陣痛が起こるタイミングを自然に任せる自然分娩とは違い、計画を立てて出産を行うので予定日が決まっています。

○デメリット
1.切開の傷跡が残る
出産のためにお腹を切るので、切開の傷跡が残ります。

2.術後の痛みがある
麻酔が切れるとお腹の痛みが出てきます。

3.退院までに時間がかかる
自然分娩:4〜5日対して、帝王切開:8~10日ぐらい退院までに時間がかかります。

4.手術による感染症リスクがある
手術による感染症リスクはゼロではありません。

母子ともに安全な出産で

私も帝王切開で生まれました。母体の子宮口が4cmひらいていたのに陣痛が2週間たっても来ない、陣痛促進剤を2回使用してもあごを骨に引っかけるなどで回旋異常になり帝王切開にせざる追えない状態でした。帝王切開で生まれましたが、私は生まれた瞬間、元気な産声をあげて母は安心したそうです。今もまだ母のお腹には帝王切開の傷跡があります。

今回は帝王切開で出産する場合を詳しく説明しました。出産は危険をともなうことがたくさんあります。たまに帝王切開で出産したことにがっくりする人がいますが、私は母子ともにリスクが少なくなるうえで帝王切開をする選択をした妊婦さんは勇気があると思います。母子ともに満足が行く方法で分娩方法を医師と話し合いながら決めてください。

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