歩けるけど身体が不自由な子ども達〜軽度脳性麻痺とは〜

みなさんは『脳性麻痺』と聞くとどのようなイメージが浮かびますか?

〝車椅子?〟

〝寝たきり?〟

「よく知らないけど、寝たきりの人もいるのかな?身体の障害だよね?車椅子とかかな?」

正直な所、私にはそんな漠然としたイメージしかありませんでした。

2年前までは…。

息子が『脳性麻痺』と告げられた私が、皆さんに知ってほしい『脳性麻痺』への理解と知識をお話しします。

 

見た目は他の子と変わらない。

突然ですが、私には2歳の子どもがいます。

とっても活発で、公園に行けば広場でかけっこして、ジャングルジムに登ったり、滑り台を滑ったり。

高い所に登るのも、走りまわるのも大好きな、元気いっぱいの男の子です。

でも、そんな元気いっぱいな息子は、『脳性麻痺』なんです。

息子が脳性麻痺だとわかったのは1歳の時。

病院でのMRI検査で異常が見つかり発覚しました。

妊娠中〜出生後1ヶ月間に起こったなんらかの原因により右脳が損傷し、左半身に麻痺があります。

それがわかったからといって、治療できる病気ではないので基本的には理学療法や作業療法で機能訓練をするしかありません。

先程も記した通り、息子は歩けるし走れる。
ジャンプだってできます。

一見、他の2歳の子どもと変わらない。
おそらく側から見ても、彼が脳性麻痺だと気付く人は少ないと思います。

 

自然にできる動作ができるようにはなりません。

なので、人に息子に障害がある事を伝えると必ず驚かれるんです。

それと同時に必ず言われる事があります。

「でもよかったね。障害が軽くて。」

悪気なく、自然に出てくる言葉なんだと思います。

でも私はそれを聞く度に、複雑な気持ちになるんです。

もちろん、息子より症状の重い方は沢山いらっしゃいます。

脳性麻痺の症状は様々なので、それぞれ大変な思いをされる事もあると思います。

でも、息子も決して楽々自然に動けるようになったわけではないのです。

「座る、立つ、歩く、走る。」

本来なら成長と共に自然にできるようになる動作。

でも、息子の場合、左半身が自分の思うように動かないので自然にできるようにはなりません。

何度も、何度も練習します。

もちろん本人には、練習という感覚はなかったと思いますが。
(子どもの機能訓練は遊びの延長で訓練するのがほとんどです)

それでも、泣いて嫌がった事もあります。

今は理解も進んできて、「もう終わる?あと一回だけ?」なんて、言ってくる事もあります。

本人なりに、ちゃんとしなきゃいけないんだと納得して、頑張っているんでしょうね。

だから、彼が今できる一つ一つの動作には彼の努力が詰まっているんです。

 

息子の居場所を探す日々。

もちろん親である私も全力でサポートしています。

いいと思う事は全て取り入れ、スイミングをはじめたり、病院での訓練を増やせないので他にできるところを探したり、鍼治療を取り入れたり。

特に、毎晩のマッサージとストレッチは欠かせません。

そんな事の全てが、今の彼の動きに繋がっているんだと思います。

最近ではもっぱら就園に向けての練習ですが、年齢があがるにつれて課題も難しくなり、着替えや靴の脱ぎ履きなど、左手の器用さを求められる動作では行き詰まってしまうんですよね。

そんな事もあってか、先の事を考える事も増え、息子の将来が不安になる日もあります。

息子のような軽度の脳性麻痺だと『障害者の中では健常者。健常者の中ではやっぱり障害者。』

これじゃ、どこにも居場所がないんじゃないか。

どちらにいても生きづらいんじゃないか。

そう息子の将来を案じて涙した日もありました。

息子のような軽度麻痺の子達のコミュニティは少なく、情報もなかなか入ってこない中、相談相手もいないので、息子の子育てに孤独を感じる事もありました。

でもそれと同時に、この世の中で、この環境で、息子に生きていく力をつけてあげなくてはいけないと強く感じるようにもなりました。

 

『脳性麻痺』を知って理解してください。

だから皆さんにも知って欲しい。
障害が軽いからこその苦悩もあると。

親切にして欲しいとは思いません。

でも、知っていてほしいのです。

歩く、走る。

その一つ一つの動作が大変なんだという事。

だから、集団の中では少しだけみんなに遅れをとってしまうかもしれない。

うまくできない事もあるかもしれない。

それでも、急かさず、怒らず、あたたかく見守ってくれると嬉しいです。

本人から助けてほしいと声をかける事もあるかもしれません。

その時は、見た目では大変さが伝わりにくいかもしれませんが、そっと力を貸してあげてくださいね。

 

この記事を書いた人

TOPICS