「親子の時間研究所」で連載コラムを担当している研究員の上野里江さん。

そんな上野さんの子育て術が詰まった『連載コラム がんばりすぎない育児』 全10話。
読んでくださった方も多いと思います。

今回は、子育てのプロフェッショナル 上野さんにママの悩みを相談してみました!

上野さんの笑顔あふれるコミュニケーション術で、ママの悩みを解決します。


ママの悩み 赤ちゃん時期の悩み

~東京都 Iさん 30歳~

育児と自身への悩み

出産前は赤ちゃんに会えるのを毎日楽しみにしていたけど、いざ出産して家に帰ってからが大変で、なかなか泣き止まなかったり、寝てくれなかったり、家事も育児も上手くできない。
何もかも上手くいかない状況に私は、この先大丈夫なのかと不安になってしまいます。
私は子育てできるのでしょうか?

ご相談、ありがとうございます。

 

赤ちゃんのいる生活が始まったのですね。

 

私も出産前、赤ちゃんが産まれたら毎日笑顔で幸せで!なんて思っていたら、現実は寝不足でフラフラになり、我が子は泣いてばかりで、思わず一緒に涙。

何で泣き止まないの?私が悪いの?と自分を責めてはイライラしていました。

 

あなたの今の不安な気持ち、よくわかります。

 

でもね。

 

お母さん一年生ですもの。

 

何でも初めてのことは難しいけど、繰り返しているうちに出来るようになっていく。
子育ても同じだと思うのです。

 

 

赤ちゃんと一緒に母になる

私がお母さん一年生の時のこと。

 

赤ちゃんの頃から怖がりだった息子は、お風呂に入れようとすると大暴れ!私はひとりで息子を支えることができなくて、ベビーバスを置いたテーブルはびしょびしょになる始末。泣きたいのは私のほうよ!と、息子に怒ってもどうにもならず…。
仕方なく夫が帰ってくるのを待って、2人がかりでお風呂に入れていました。

 

その後、どうしたら暴れないかを先輩ママに聞いたり、調べたりして、ガーゼを身体に巻くと落ち着くことを発見。毎日繰り返しているうちに息子もだんだんお風呂に慣れていき、何より私も気持ちに余裕が持てるようになっていきました。

 

「赤ちゃん自身も、色々な初めてのことに慣れるまでは大変なんだろうなぁ」と思います。

 

初めはどうなることかと不安でいっぱいだったけど、毎日の繰り返しの中で赤ちゃんと一緒に母になる。

振り返ると、そう思います。

 

大丈夫!

赤ちゃんが泣き止まないのも寝てくれないのも、あなたのせいではないのです。

 

 

頼ることは甘えではない

母親なんだから、ちゃんとやらなきゃ!

母親なんだから、がんばらなくちゃ!

と、ひとりで抱えず周りにいる家族や使えるサービス(保健所や子育て相談など)をどんどん頼ってくださいね。きっと喜んで力になってくれると思います。

 

本当の意味で「自立」というのは、人に助けを求めたり頼ったりすることが出来る、ということだと思うのです。

頼ることは甘えではないのですよ。

 

 

あなたの笑顔のために

 赤ちゃんがいると自分の時間は持てないし、やりたいこと、やろうとしたことがことごとくさえぎられてしまいますよね。
私は、泣き続ける息子を布団に投げたくなることもありました。(もちろん投げてはいませんが…)

そんな毎日は、知らない間にストレスが溜まってしまうこともあるようです。

 

ある時、私は夫にお願いしてひとりで買い物に出かける時間をもらいました。ひとりで街を歩くのは久しぶり、自分の買い物をするのも久しぶり。息子のことを気にしながらも気持ちがリフレッシュしたのを覚えています。

 

赤ちゃんがいるから…と、すべての時間を赤ちゃんに使うのではなく、あなたが笑顔になることを少しずつ実現することが、赤ちゃんのためにも家族のためにも大事なことなのではと思っています。

 

不安なことも困ったことも、ひとりでなんとかしようとがんばらないでくださいね。

あなたの周りには、あなたと赤ちゃんの成長を見守っている人が必ずいますよ!

 

まとめ

大丈夫!

赤ちゃんの成長と一緒にあなたも一歩ずつ母になっていくから。

不安な時、困った時は、ひとりで頑張らずにまわりを頼ってね。

ママになって体験することは、全て初めての経験です。できなくても自分を責めないでくださいね。

 

 

●プロフィール
保育・子育てアドバイザー
上野里江
HP:http://smiley-ai.com

アメブロ https://ameblo.jp/mamavita-ai/

保育士歴30年。保育園、幼稚園、子ども園で3000人以上の親子と関わり、その後3年間療育に携わる。
子どもに関わる大人を元気に笑顔に!をモットーに、コミュニケーション講座や相談を行なっている。

 

上野研究員のコラムはこちら

 

 

保育・子育てアドバイザー 研究員の上野里江です。

今回は『がんばりすぎない子育て』コラム第10作目!

私が子育てで一番大切にしている『親子で笑い合う』ことについて。

 

どんなに優しいあなたでも、毎日子どもと向き合っているとイライラして怒りたくなることがありますよね。言った通りにはならないし、何回言っても分からないし…

でもね。

子育てのゴールは子どもの自立。

子どもを何とかしようと頑張るより、子どもと一緒に楽しんだほうが親子の時間は豊かになる。
そんな実体験から、ユーモアは子育てに大事だなぁ~と感じています。

そこで今回は、親子で笑い合うってどうやるの?
そんな声にお応えする『実践編です』!

 

YES/NOでは答えられない会話をしよう

毎日の会話の中にユーモアを取り入れて…
とはいうものの、忙しい時に冗談なんて言っていられませんよね。

「おはよう」
「早くご飯食べて!」
「まだ着替えてないの?」
「ほら、行くよ!」「アレ、持った?」などなど。

これは、我が子が小さい頃の私の声がけ。

「指示」と「確認」ばかりだったなぁと、今さらながら反省しています。

子ども側から見てみると「はい」って返事しないと怒られる~!って、感じていたことでしょう。

「親子で笑い合う」からは、ほど遠かったあの頃。
子どもために、という気持ちで頑張っていた私ですが、子どものためにはなっていなかった!

親子の信頼関係って、親子なんだからあるに決まっていると思っていたら大間違い。
子どもは、お母さんの言葉や態度に傷つき、あきらめ、拒否することもあることを知り、日々の積み重ねこそが親子関係を作っていくのだと、あらためて気づきました。

そこで「指示」と「確認」を、「一緒に~しよう!」に変えて

「早くご飯食べよう~」
「一緒に着替えよう~」

と声をかけると、子どもたちの笑顔が増えたように感じました。

さらにここで、YES/NOで答えられない会話をたくさんするように心がけました。

「今日楽しかった?」と聞くと、子どもは「うん、楽しかった」と答えますよね。会話はすぐ終わってしまいます。

そこで「今日一番楽しかったことはな~に?」と聞くと、「えっと、公園で遊んだこと!」なんて答えてくれて、その後も「公園で何して遊んだのが一番面白かった?」と、質問を重ねていくと、身振り手振りで楽しかったことを伝えてくれるようになったのです。

子どもはお母さんに自分の話を聞いてもらうことが大好き。

でも、聞かれないとなかなか自分からは話さないものなのです。

子どもの興味のあること、行きたいところ、食べたいものなど。子どもの話すことはすべて?をつけて聞いてみる。

さらに、子どもの発想を面白がって「へ~っ、そんなこと考えてるんだ」とうなづいたり、あいづちを打ったり、時には女優になってオーバーリアクション(これもユーモア!)で話を盛り上げていくと、きっと笑い合えること間違いなしです。

お母さんのビックリした顔を見ると子どもは嬉しくて、得意になって話し続けます。

子どもが自分の話を安心して話せる、ということは心の成長にも繋がっていきすよ。

モアイに会いたい…

息子が6歳の頃。
TVで見たのがきっかけだったのか?息子はイースター島のモアイに魅せられて、モアイのことで頭がいっぱいになりました。

モアイのどこが何が息子の心に響いたのかは分かりませんが、6歳の息子にとってあの大きなモアイ像は不思議な憧れでいっぱいだったようです。

その年のクリスマスは「モアイの写真集が欲しいです」とサンタクロースにお願し、自作「モアイにあいたい」という鉛筆で描いた紙芝居まで作った息子。
一緒に楽しまなきゃもったいない!と私にもスイッチが入り、息子のモアイ熱のおかげでそれまで知らなかったモアイの歴史などを知りました。

思い起こすとあの頃、何よりも楽しかったのが息子とたくさん会話をしたこと。

「モアイって顔が違うね!どれが好き?」
「もしも、モアイ会ったら何話したい?」
「モアイが動いたらどうなるのかな?」
「おみやげはどんなものがあるのかな?」
「ひとりで行くの?ママも連れてって~」などなど。

YES/NOでは答えられない会話をすることで、息子が何を考えてどんなことを感じているのか?ということがとても良く伝わってきました。

何を言っても大丈夫、という安心感が積み重なると、それは信頼感になり、親子で笑い合えるようになっていくのだと実感しました。

子ども自身、質問に答えながら自分の気持ちに気づいていくようにも感じた親子の会話。子どもにとって、お母さんとの会話はコミュニケーションのはじめの一歩になっているようです。

安心感と信頼感が増えると、子どもは心から安心します。
するとそこには、たくさんの笑いが生まれますよ!

 

スキンシップは心をくすぐるユーモア

笑顔を見ているだけでこちらも癒される赤ちゃん。赤ちゃんを笑わせるには面白い顔したりくすぐったりしますよね。

そんな赤ちゃんは、知らない人にもニコニコ笑顔を振りまいてくれるのですが、だんだんと成長し子どもになると本当に楽しい時や面白い時しか笑わなくなります。知らない人に声をかけられても、ニコリともしないのは成長している証拠。
子どもって、愛想笑いはしないのです。

そこで、大きくなってきたら『スキンシップ+心をくすぐるユーモア』の出番です!

お母さんの普通の顔を見て、「怖い」「怒ってる」と感じる子もいると聞いたことがあります。普通の顔をしてるだけで怖い顔なんて失礼しちゃうわ!とも思いますが…

やっぱり笑顔が一番ホッとするのでしょうね。

そこで、笑顔になるのに効果的なのが、スキンシップ+ユーモア!

 

例えば、背中に文字や数字を書いて当てっこする遊びは、くすぐったくて面白い!

ジャンケンやあっち向いてホイ!にらめっこなども道具なしで笑える遊び。

「♪せっせせ~のよいよいよい♬」で、手をつないで一緒に歌うと自然と笑顔が溢れます。

お母さんと笑い合う時間は子どもにとって一番のリラックスタイムになるのです。

5歳、6歳になったらダジャレの面白さも分かるようになるので、知恵を絞って子どもにウケるダジャレを考えてみるのもいいですね。
面白いこと考えているだけでニヤニヤ笑うようになったら、あなたは上級者!

子どもを笑わせるって、先に自分が笑うことからはじまります。笑いは伝染するのです。

是非、身近にたくさんある笑えるネタを拾い集めてみて下さいね。5分でもOKです。子どもと一緒に楽しんでみて下さい!

 

失敗を笑い飛ばそう

時々、財布を忘れて買い物に出かけてしまう私。レジに並んで「はっ!」と、財布がないことに気づき、慌てて品物を元に戻して家に帰る…
子どもたちには「何やってるの~?」「信じられない」と呆れられています。

そんな時は、財布を忘れてゆかいな~♪と、歌ってごまかします。
「サザエさんと同じじゃん!」と突っこまれて一緒に笑う。ホッ。

駅の階段を上っている時、前から駆け下りてくる人にぶつかり、足を踏み外して落ちそうになった私。とっさに、目の前にいた人のリュックをつかんでしまった…!そのリュックの人がグッと踏ん張ってくれたから助かったけど、びっくりした顔で振り返ったのは若いお兄さん。
恥ずかしくて平謝りの私。そんな話を子どもたちにすると「恥ずかしい~」「でも、落ちなくて良かったね」と、笑ってくれてホッ。

失敗も失態も?ネタにして笑ってしまうと、その時は大変だったけど何とかなるものだと思えてきます。

子どもたちがこの先の人生で、大変なことや思い通りにならないことに出会った時、真剣に向き合うことは大切だけど、深刻にはならないで欲しいなという願いを込めて。

ユーモアで笑い飛ばすことの大切さを伝えていきたいと思っています。

 

正しさより楽しさを

以前保育園で、3歳の男の子のお母さんが連絡帳に書いてきた今でも思い出すエピソードがあります。

その男の子の家は平屋の一戸建て。ある日のお散歩で友だちが「アレ、ボクのお家だよ」と、マンションを指さしました。それを見た男の子は「わぁ、大きなお家。いいなぁ~」と思ったようで、保育園の帰り道お母さんに尋ねたそうです。

「何でボクのお家は小さいの?」「○○君のお家は、お城みたいに大きいお家なんだよ!」と。

お母さんは何のことだかサッパリわからなかったのですが、友だちのマンションの前を通りかかり「ここ、○○君のお家」「ボクも、こんな大きなお城みたいなお家がいい!」と言うのを聞いて、「お城」とは「マンション」のことだとわかったそうです。

そこでお母さんは、男の子にマンションの説明を始めました。

「あれはね。お城じゃなくてマンションって言うのよ。○○君のお家は、あのマンションの中のひとつのお部屋だけで、あのマンション全部が○○君のお家じゃないのよ」「きっと○○君のお家より、あなたのお家のほうが広いと思うわ」などなど…

男の子は、お母さんの話に頭の中が混乱してしまったようで「お城がいい~!」と道で泣き出してしまったとのことでした。

この話あなたは、どう感じますか?

お母さんは何も間違ったことは言っていないのです。正しいことを教えているだけですものね。

でも、男の子の気持ちを考えてみると、どうでしょう?
男の子の思いは、受け止めてもらっていないかも?と私は感じます。

マンションのことを「お城」と表現した男の子の感性も、受け止めてもらっていない。

お母さんは正しいことを教えているだけですが、子どもが求めているのは正しい答えではなく「そうだね」「お城みたいだね」「ママもお城に住みたいわ~」そんな楽しい会話をしたかったのでは?と思います。

もちろん、正しいことを教えるのは大切です。
でも、もしかしたらそのお母さんは、日々時間に追われて子どもとの会話を楽しむ気持ちの余裕がなかったのかもしれません。

正しさと楽しさ…

本当は、楽しく正しいことを伝えられたら一番いいのかも。それにはやっぱりユーモアだ!そんなことを思った私です。

あなたは、どう思いますか?

 

お母さんの通信簿

今から6年前の冬。小学生だった息子と娘は冬休みを2人で過ごしていました。私が仕事から帰ると「今日は、ママにいいものあげるね!」と娘。

「はい」と手渡してくれたのは「つうしんぼ」

自分達が小学校でもらってきた通信簿を見ながら、線を引いて項目を作って、私に「つうしんぼ」を作ってくれたのです。

何とも、そんなことを思いつく2人に笑ってしまったのですが、その評価がまた面白い!

娘の考えた評価軸には

「パパへのやさしさ」
「りょうりのこと」
「やっぱり元気か」

なんてものがあり、おおむね「よくできる」に〇

息子の考えた評価軸には

「言葉使いが正しい」
「相手の理解しやすいように話す」という項目があり、ABCの「C」がついていました。

さらに「しつこく、うるさい」に〇がついていて、厳しいダメ出し!
きっと、私の言うことに納得がいかなかったり、分かってもらえない!と思うことがあったのでしょうね。

ちょっぴりムッとしたのですが(笑)、そんな評価を私に伝えることができるようになったんだと思うと、なかなかやるねぇ~と感心しました。

娘から「やまんばのように怖い」と言われた私が、機嫌のいいお母さんを目指して、自分の弱いところもダメダメなところも見せながら奮闘していたあの頃。イライラして子どもとぶつかることも多々あったけど。

子どもに育ててもらって、母として成長させてもらってる…
子育てって、自分育てでもあるんだなぁ、と実感しています。

息子と娘からもらった通信簿。

ユーモアにあふれた2人からのメッセージは宝物です。

 

ユーモアは技術

ユーモアは持って生まれたものではない、と私は思います。
漫才や落語も、ちゃんと計算された笑いを作っていますものね。

「あの人、ユーモアセンスがあるよね!」と言われる人は、顔の表情が豊かだったり、たとえば話が上手だったり、日々の積み重ねで身についた笑いの技術を持っているように感じます。

同じ物事を見ても、感じ方や捉え方は人それぞれ違うのですが、ユーモアのある人は笑えるほうに、楽しいほうに捉える技術が身についているのだと思うのです。

ということは…今からでもユーモアを身につけることは出来る!

だって、ユーモアは技術ですから。

自分がいつも使う言葉に「だって」「でも」「どうせ」という3Dの言葉がないかチェックして、マイナスの言葉をプラスに変換。

「まるで~のようだね」「きっと~になるよ」といった言葉を口にしてみると、何だか自分自身も楽しくなってきます。

物事の事実はひとつでも、どう捉えるかはその人次第。

ユーモアは、親子関係だけでなく自分自身の人生も豊かに楽にしてくれます。
さらに、笑いは免疫力を高める効果がある!という実験結果もあるとのこと。

確かに。

「絶対にうちの子はインフルエンザにかかりません!」「笑ってる人にウイルスは入ってこない!」という私の言葉を信じている?息子と娘。隣の席の子がインフルエンザになっても、学級閉鎖になっても、ホントにかからないのです。

もしかしたら、ユーモアが身体にしみ込むと風邪も引かなくなるかも?ね。

 

子育ての今を楽しんで!

母になって16年。

トナカイの衣装を着て笑っていた息子も16歳。

あの頃は、クリスマスの歌を一緒に歌って踊っていたなぁ~。サンタクロースを信じてプレゼントを本気で喜んでいたかわいい2人。

時々我が子の小さかった頃の写真を見ては、いま目の前にいる思春期真っ只中の息子と娘を愛おしく思う私。
あの頃は、こんなに大きくなるなんて想像もしていなかったなぁ。

我が子が小さかった頃の悩みや不安…色々あったけど、何とかなって今があるように思います。

失敗も困ったこともあったけど、取り返しのつかない失敗なんてないのかも?とも思っています。

まだうちの子は小さいから、なんて思っているあなた!
子どもって、あっという間に成長しますよ~。

だからこそ、今、笑い合える楽しい時間を過ごしてくださいね!

身体の成長と共に心が成長する乳幼児期は、何かが出来ることより大切なのが安心感。
日々の笑い合う時間の積み重ねが安心感になり、親子の絆になり、子どもの生きる力になっていく。

それにはまず、お母さん自身が楽しいと思う時間を過ごしてくださいね。

お母さんの笑顔が、子どもの笑顔の元ですから!

 

 

このコラムがあなたの子育てにお役に立てたら幸いです。

 

 

●プロフィール
保育・子育てアドバイザー
上野里江
HP:http://smiley-ai.com

保育士歴30年。保育園、幼稚園、子ども園で3000人以上の親子と関わり、その後3年間療育に携わる。
子どもに関わる大人を元気に笑顔に!をモットーに、コミュニケーション講座や相談を行なっている。

 

 

 

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保育・子育てアドバイザー 研究員の上野里江です。

子どもと一緒にいると、思わず笑ってしまう…そんなことってありませんか?
誰かを笑わせようなんて子どもは考えていないと思うのですが、遊んでいる様子や子どものひとことにニヤッとなったりアハハとなったり♪

子どもって、ユーモアセンス抜群だなぁ~と、いつも思います。

そのユーモアこそ、私は生きる力だと思うのです。
日常の中で、親子の会話の中で、ユーモアがあふれていたら素敵ですよね!

今回は、そんな「ユーモアのある子育て」をテーマにお届けします。

 

笑いのツボはどこにある?

保育士時代、0歳から6歳の子どもたちと関わってきた私。
何よりも子どもたちの笑顔が見たくて、どうやったら笑ってくれるかな?をいつも考えていたように思います。

0歳の赤ちゃんは、積み木を積んで高くなったところで倒れるたびに大笑い。

にらめっこで変顔したり、いないいないばあっ!って、顔見せるだけで大笑い。

1、2歳になると会話も楽しめるようになってきて、そこにあるのに「アレ?ないね~?」と、わざと探すふりなんかすると、冗談が通じてケラケラ笑い。

3、4歳になると、よく考えるようになるから笑いも高度になってきて、クイズやとんち、ナンセンス絵本でワッハッハ笑い。

5歳を過ぎるころから、大人みたいな冷静さや複雑なことを考える力もついてきて、子どもだましでは笑ってくれなくなるけれど、勝負ごとや不思議なことには興味津々。心が動くと思わずニヤリ。

年齢によって笑いのツボは進化していることを実感しつつ、何歳になっても子どもの笑顔は、見ている私が癒されているように感じていました。

子どもに限らず、笑いがあるとその場の空気が和むというか、温かくなりますよね。

反対に、緊張してカチカチに固くなっていると、その場はピリピリした空気を感じることもあります。

子どもが笑っている、というのは、それだけでその場が安心できる場だということ。
子どもの心が育つために一番大事なのが、この安心感。

 

あなたは毎日、子どもと笑い合っていますか?

 

ごっこ遊びはコントみたい!

3歳ごろから盛んになる見立て遊びやごっこ遊び。子ども同士のやり取りを聞いていると、思わず笑ってしまうことばかり。

お医者さんごっこでは…

「どうしましたか?」

「お腹が痛いんです」

「じゃぁ、注射します」

「え?注射?」

「泣かなかったら、シールあげます」

「えー?」

「泣いてもシールあげますよ」

この会話、いつも病院で泣いてもシールをもらっているからかな?なんて思いながらニヤリ。

 

お店屋さんごっこでは…

「いらっしゃいませ、ジュース屋さんです」

「オレンジジュースください」

「すいませーん、売り切れです」

「じゃぁ、リンゴジュースください」

「あっ、売り切れです」

「え~?じゃぁ、何がありますか?」

「それが、自動販売機が壊れて…今日はおしまいです」

「はぁ??」

お店屋さんじゃなかったのかい?なんて、ツッコミをいれたくなるような会話。

 

子ども同士のやり取りって、時にコントみたいにおかしくて…それでいて、会話が成立していてトラブルにならない。笑いは敵をつくらないのですね!

大人同士もこんなユーモアを持ってコミュニケーションを取っていったら、笑顔が溢れるだろうなぁ~
そんなことを思いながら、私は子どもたちの仲間に入りたくて、少しでも子どもたちに近づきたくて、ナンセンス絵本やとんち話の読み聞かせをよくしていました。

笑いは伝染するといいます。ひとりの笑顔がまわりに伝染してみんなが笑顔になる…ステキですよね!

 

感情を育てるって?

子どもを育てていると、何かが出来るようになったり、知識を身につけたりすることに意識が向いてしまいがちですが…

0歳~6歳までの乳幼児期で一番大事なことは、感情を育てることだと私は思っています。
生まれて間もない赤ちゃんは、快・不快の感情を泣いたり笑ったりして表現し、それをお母さんが受け止めることからコミュニケーションが始まります。

成長と共に、恥ずかしい・悔しい・うらやましいなどの複雑な感情も芽生えてきて、人との関係の中で自分の感情とどう向き合っていくかが、成長のカギになっていきます。

我が家の息子は小さい頃、人前に出ると恥ずかしいという感情でいっぱいになり、顔を真っ赤にしていました。
その当時の私は、「~でなければならない!」という思いに縛られていたので「恥ずかしがっている場合じゃないでしょ!」と、息子の感情を否定しては、がんばることを強制していました。

今思うと、ホントにひどいことをしていたなぁと、息子に申し訳ない気持ちでいっぱいです。
私が何を言っても変わらない息子の姿に、感情を否定することはプラスにならないと学びました。

それから、どんな感情も「そうだね」と受け止めていく、まさに私にとっての修行が始まりました。

人との関わりの中で様々な感情を味わって、それを誰かに受け止めてもらうことで、自分は自分でいいんだと思えるようになっていく。
子どもの感情をまるっと受け止めていくことが、感情を育てること、心を育てることだと、我が子との関わりを通して実感しました。

そして、そうやって感情が満たされたところにユーモアも生まれるのでは?と、感じるようになりました。

辛いとか悲しいという感情も、ちゃんと受け止めた上で、ユーモアで笑いに変えられたら!
どんなことでも乗り越えていく力になりますよね!

ユーモアって、そんな力があると思うのです。

息子は高校生になった今でも、相変わらず恥ずかしがり屋です。でも、「恥ずかしいからやらない」ではなく「恥ずかしいけどやってみる」に、少しずつ心が成長してきたかなと、見守っている今日この頃。

いつか将来、結婚したいと思う女性に出会ったら、息子も激変したりして!

そんなことを老後の楽しみにしている私です。

 

ユーモアで乗り超えた夜

仕事と子育てで走り回っていたあの頃…
ある日、大きな台風の影響で電車が止まってしまい、仕事帰りの私は途中で足止めされて帰れなくなってしまいました。

娘が小学一年生、息子は三年生だったと思います。家に電話をすると、外の風雨の音が怖くて「ママ、早く帰って来て!」と娘の泣きそうな声。「テレビは全部台風のニュースばっかりなんだよ」と、息子の心細い声。私も飛んで帰りたいけど帰れない状況で「遠回りでバスで帰るから。2人で仲良く待っててね」と伝えるのがやっとでした。

なんとかバスを乗り継ぎ、いつもの倍時間をかけてようやく家にたどり着いた私。「ただいまー」と部屋に入ると、そこにあった光景は…

なんと、ティッシュペーパーで作ったてるてる坊主が、窓にいくつも貼り付いていたのです!

「雨が止むように、いっぱい作った!」

「兄ちゃんが、作ろうって言ったの。色んな顔にしたんだよ」

「てるてる坊主作ってたから、怖くなかったよ」

そう言って笑う2人を見て、私も大笑い。
2人で心細かっただろうに…でも、そんな時に楽しいことを考えて、2人で笑いながら過ごしていたなんて、すごいじゃん!

笑いながらもなんだか泣きそうだった私。

ユーモアの力、2人の心の成長が嬉しくて…
ティッシュのてるてる坊主にマジックで描いた顔…今でもはっきり覚えています。

 

一休さんの教え

私が尊敬する偉人といえば、あのとんちで有名な「一休さん」。
有名なとんち話はいくつもありますが、私がすごい!さすが一休さん、と思ったのは亡くなる前に書いた手紙のお話です。

「どうしても困った時に開けなさい」という言葉とともに残した手紙。亡くなって数年後に寺の存亡がかかるほどの問題が起き、困った弟子たちが手紙を開けると…

そこに書かれていたのは

「大丈夫、心配するな。なんとかなる」

という言葉だったのです。

この言葉に弟子たちは、唖然として笑いだし…この手紙のおかげかどうかは?ですけど、問題は無事に解決したとのこと。

「大丈夫、心配するな。なんとかなる」

迷った時や困った時、この言葉を口にすると元気が出て、なんとかならないことはない!と笑顔になる私。
この言葉は我が家の座右の銘になりました。

あなたにとって、力が出る言葉、笑顔になる言葉は何かしら?
まぁ、学校のテストの前に「大丈夫、心配するな。なんとかなる」と言ってる我が子は信用ならないですが…ね。

 

ユーモアは心の栄養

保育園で出会った子どもたちの中には、いつもイライラして心が乾いているような子が時々いました。

とても忙しそうな両親。子どもに求めていることがたくさんあって、いつも出来ていないところを指摘する会話。そこには、笑いはなかったように思います。

子どもは、結果を求められることがプレッシャーになったり、安心できる場がなかったりするとイライラしてしまうのでは?心の栄養が不足しているのかも?と私は感じていました。

がんばっているのに結果が出ないとイライラしますよね。ですが、子どもも大人も同じです。

そんな時、小さな失敗はネタにして笑い飛ばしてしまう、笑う理由がなくても笑いを作っちゃう、子どもと同じ目線に立って同じ気分を味わっちゃう…
そうやって家庭の中に笑いがあると、子どもは安心してイライラしなくなるのでは?と思います。

ユーモアは心の栄養!

子どもの言葉には、あちこちに笑いが隠れているので、会話の中でそれを見つけて一緒に楽しめたらいいですね。

あなたの笑いのツボは何かしら?子どもと共通の笑いは何かしら?
日々の出来事を面白がって見てみると、大変な子育てもネタになる…そう思います!

今日はどんなことで笑えたかな?

 

次回は、ユーモアのある子育て『実践編』をお届けします!

 

 

 

●プロフィール
保育・子育てアドバイザー
上野里江
HP:http://smiley-ai.com

保育士歴30年。保育園、幼稚園、子ども園で3000人以上の親子と関わり、その後3年間療育に携わる。
子どもに関わる大人を元気に笑顔に!をモットーに、コミュニケーション講座や相談を行なっている。

 

上野研究員のコラムはこちら

 

 

 

上野さん監修の自立を促すしつけシリーズ


自然とくつを揃えたくなる「くつおきシール」


手洗い・うがいがしたくなる「ねんどせっけん付き絵本」


じぶんでゴミを捨てたくなる「ぽいぽいどうぶつ」

 

 

 

 

 

 

 

保育・子育てアドバイザー 研究員の上野里江です。

子どもが2.3歳になると、お箸の練習はどうしたらいいですか?とか、食べながら立ち歩くのを何とかしたい…など、食事に関する相談が増えてきます。子どもの成長と共に、身につけての欲しい食事のマナーって、色々ありますものね。

そこで今回は、食事のマナーとしつけについてお届けします。

ちゃんと出来るようにしなくては!と心を鬼にして教えているお母さん、一緒に考えてみましょう。

 

「いただきます」と「ごちそうさま」

保育園で、ことばを覚え始めたばかりの0歳児を担当していた時のこと。

「いただきます」と声をかけて離乳食をパクリ、ニコニコしながらほっぺたを触って「おいしい」を表現する子、食べたくないと首や手を振って「イヤイヤ」をする子、お腹がいっぱいになると両手を合わせて「ごちそうさま」をする子。

0歳児の子どもたちでも、一人一人の感じ方や表現がこんなにも違うものなんだと思いました。

そんな毎日を繰り返していたある日。とても食欲旺盛な女の子が、お皿をピカピカにして食べ終えると満足顔で「ゴリリッター!」と叫んだのです。
初めは何を言っているのか分からなかったのですが…
「ゴリリッター!」と言いながら手を合わせたのを見て「あっ、ごちそうさま?」と気づいた私。

「ゴリリッター!」は「ごちそうさま」
0歳の女の子が初めて「ごちそうさま」をことばで発した瞬間でした。

食べる前には「いただきます」
食べ終わったら「ごちそうさま」

そのことばは食事の一部になっていたのですね。

教えなくても、大人から繰り返し聞くことばは、自然と子どもの心に届くのだと実感。
子どもは身近な大人を見て、聞いて成長していく。子どもの姿は、まるで自分を映している鏡だわぁ…
そう思うと身の引き締まる思いがしました。

満足そうにニコニコしながら「ゴリリッター!」と叫んだ女の子の姿。初めての「ごちそうさま」を聞くことができて、うれしかったのを覚えています。

食事のあいさつ…あなたは、笑顔で交わしていますか?

 

食事のマナーは、何のため?

私自身、我が子が3.4歳の頃「お皿に手を添えて!」「口の中に食べ物が入っている時はしゃべらない!」など、
食事のマナーを身につけなきゃ!と、口うるさく言っていた時期がありました。

でも、そもそも食事のマナーって、何のために身につけるのでしょう?

赤ちゃんが手づかみでぐちゃぐちゃにしたり、顔中ベタベタになったりしても、その姿は微笑ましくもあります。
「何やってるの!」「こぼさないで」なんて、誰も言わないですよね。

それは、赤ちゃんが夢中になって食べるのは嬉しいことで、食事のマナーより赤ちゃんの食べたい気持ちを大切にしたいからだと思います。

そんな赤ちゃんから少しずつ成長すると、子どもは誰かと一緒に食べることが楽しい!と感じるようになってきます。

誰かと一緒に食べる、みんなでおいしく食べる。食事がお腹を満たすだけでなく、コミュニケーションの場になってきた時に、初めて食事のマナーが大切になってくるのではないでしょうか?

食事のマナーは一緒に食べる人への気配り、とも言えるかもしれませんね。

 

食べ方より意味を伝えよう

自分以外の人の気持ちを理解すること、気を配ることが食事のマナーなのではないでしょうか。

そう考えると、私は口うるさく言っているだけで、何のためにそのマナーを守るのか?ということを伝えていないことに気がつきました。

そこで、「口の中に食べ物が入っている時、しゃべるとどうなる?」「一緒に食べている人は、どう思うかな?」など、質問をして一緒に考えてみることにしました。

3.4歳頃の子どもは、自分以外の人の気持ちを想像したり、理解しようとしたり、心が成長する時期でもあります。

注意された時だけちゃんとやる、という感じだった我が子も、繰り返し一緒に考えていくうちに少しずつマナーの意味が分かってきたようでした。

子どもに食事のマナーを教えるということは、気配りを教えるということ。
やり方より意味を伝えることが大事だとあらためて感じました。

すぐに出来るようにならなくても大丈夫。

心の成長と共に身についていくのが食事のマナー。
大人がお手本を見せながら、気長に伝えていきましょうね!

 

子ども同士だからこそ育つもの

保育園の幼児クラスになると、給食の配膳を子どもたちが手伝うようになります。お皿の並べ方や箸の向きなど、食べる人が気持ち良く食べられるように気を配ることを経験します。

友だち同士「あー、これはお皿の絵が見えるように置いてね」「あっ、これでいい?」と声をかけ合い確認しながら準備をする子どもたち。

そして、友だちと一緒に食べる時間は、おしゃべりを楽しみながらのコミュニケーションの時間。

マナーとは?なんて固い話をしなくても、友だちのことを見ながらいいところは認め、されて嫌なことはしない、ということを子ども同士で学び合う場になっている食事の時間。

どんなことも、経験をすることで身についていくのだなぁ…と、子どもたちの成長を感じるたびにそう思います。

 

お箸の持ち方どう教える?

突然ですが、あなたの「利き手」は右?それとも左?

私の「利き手」は右なのですが…
実は私、3歳までは左利きだったということを母から聞かされたことがありました。

昔は、何が何でも右利きにしないと!という風潮があったのでしょうね。お箸を右手で持つ特訓をしたそうです。

その頃の記憶はないのですが、小学生の時、箸が上手く持てずにバッテンになってしまっては怒られたのを覚えています。

そして、今でもコンプレックスになっているのが、ペンの持ち方。変なクセがついてしまって、大人になった今でも美しく持てないのです。
もしかしたら、利き手ではない右手でがんばっていたからでしょうか?大人になっても、クセはなかなか直らないものです。

そんな私なので、我が子に箸の持ち方や鉛筆の持ち方を教えられる自信はなく、お手本にもなれず…。

でも、だからこそきちんと持てるようになって欲しいという思いも強く、どうしたらいいのだろう?と、悩みました。

箸もペンも、毎日のように使うもの。
大人になると「育ち」や「人となり」が出るとまで言われてしまう、大切な習慣のひとつ。

持ち方をしつけないと…でも、どんな「しつけ」をしたらいいのかしら?頭を悩ませました。

 

「しつけ」は間違えを直すことではない

お母さんはみんな、子どもにちゃんと「しつけ」をしなくちゃ!と思いますよね。

「しつけ」は大事だけど、どうやったらいいのだろう?

私なりに色々考えてみました。

 

縫い物をする時、「しつけ糸」を使うことがありますよね。「しつけ糸」は、まっすぐに縫えるように、違うところを縫わないように導いてくれるもの。
間違えたところを直す糸ではないですよね。

子どもの「しつけ」も同じだと思ったのです。

直すのではなく導く。
出来ないことを厳しく言ってきかせることではなく、将来子どもが、人として大切なことを自分で出来るように導くこと。だから、出来るようになるまで繰り返しやり方を教えていく、伝えていくことが大切なのではないでしょうか。

私自身が厳しく持ち方を直された結果上手く出来ない今があるので、無理に出来ないことをがんばらせるのはやめようと思いました。

 

そして、我が子が自分から「箸を持ちたい!」というのを待って、私も一緒に持ち方の練習をすることにしました。

箸を一本だけ持って、中指と人差し指で挟んで動かしてみたり、小さなものを摘まんでみたり…

ちゃんとやらせようとするとイライラするけど、すぐには出来ないものなのだ、と思っていると、少しの進歩がうれしくて自然と褒めことばも出てきました。

子どもって、繰り返しやっているうちにコツをつかんでいくのですね。いつの間にか、ちゃんと持てるようになっていた箸。

私も子どもたちのおかげで、何とか美しい箸の持ち方を習得。
でも、ペンの持ち方はなかなか克服できず…

「しつけ」の在り方、大切さをつくづく実感しています。

 

食事は楽しく!

食事のマナーやしつけは大切だけど、食事は楽しく!が何よりも一番大切だと私は思っています。

「しつけ」をするのは母の役目!と、子どものことを思うからこそ厳しくなる気持ち。

ちゃんとできるようにさせなきゃ!今出来ないと大人になって困るからと焦る気持ち。

私もそう思っていたので、よくわかります。

でもね。

厳しくしなくても、小さな出来た!を積み重ねて、繰り返し伝えていくことで習慣って身につくのだ!と子どもから学び、笑っていられるようになった私。

「しつけ」は厳しくしなくても、笑いながらでもできるのです。

「おっ、今日は背中が伸びてて姿勢がいいね」「いつもお箸の持ち方がきれいだね」と出来ていることをことばにして伝えると、子どもはうれしくて同じことを繰り返します。

お母さんが笑ってくれるとますますうれしくて、ちゃんと出来る自分になりたい!と思います。
そして、知らない間に出来るようになっていることが増えていきますよ。

 

食事は楽しく!

 

是非試してみて下さいね!

 

 

●プロフィール
保育・子育てアドバイザー
上野里江
HP:http://smiley-ai.com

保育士歴30年。保育園、幼稚園、子ども園で3000人以上の親子と関わり、その後3年間療育に携わる。
子どもに関わる大人を元気に笑顔に!をモットーに、コミュニケーション講座や相談を行なっている。

 

上野研究員のコラムはこちら

 

 

 

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保育・子育てアドバイザー 研究員の上野里江です。

毎日の食事、楽しんでいますか?
食欲の秋。「お腹空いた~」「これ、美味しいね!」と、親子の会話も弾む秋。
食事は、子どもの身体を育てるのはもちろん、親子で、家族で、楽しい時間を過ごす時に欠かせないものですよね!

食べることは生きること。
心を満たしてくれる食事について、一緒に考えてみましょう。

 

おふくろの味って?

子どもが大好きなカレーライス。
私が小さい頃、母が作ってくれた定番カレーは「ひき肉カレー」でした。
カレーと言えば、「ひき肉カレー」で育った私。大人になるにつれてビーフカレーやチキンカレー、キーマーカレーやグリーンカレーなど、様々なカレーの味に出会い、世の中にはこんな美味しいカレーがあったのか!と、色々なカレーを自分で作ることにも挑戦してみました。

でも、自分が母になり、我が子に初めて作ったカレーは、あの「ひき肉カレー」でした。

私の母が作ってくれたあの味…無意識のうちに私の中で、カレーといったら「ひき肉カレー」になっていたのでしょうか?
これって、おふくろの味っていうのかしら?

「ひき肉カレー」は、私の家族の定番カレーになりました。

この味、この料理を食べると思い出すあの頃…そんな、小さい頃から食べているものはなんだかホッとしたり、安心したりしますよね。
きっとそれには、食卓での会話だったり、笑顔だったり、心が満たされた思い出が詰まっているのだと思います。

あなたにとってのおふくろの味は、何かしら?

 

心に残る食の思い出

ちょっと記憶をたどってみて下さい。あなたが小さかった頃のこと…

運動会…家族みんなで食べたお母さんが作ってくれたお弁当。
誕生日…お料理が並んだテーブル、家族みんながお祝いしてくれたあの日。

記憶の中に、どんな食べ物がありますか?
きっと何歳になっても、食べ物と結びついた思い出は心の中にずっと残っていますよね。

私の記憶にも、秋の運動会前日に母が栗の皮をむく姿、そして当日家族で食べた栗ご飯のおにぎり。
誕生日には、私の大好きなリンゴの入ったスパゲッティサラダ…
思い出すと、当時の気持ちまで蘇ってきます。

母の愛、家族の愛情を感じる思い出に支えられて今の自分があるのだなぁ…と思うと、食事は身体を育てるだけでなく心を育ててくれるものだと思うのです。

「食生活」って、家庭ごとに違いがあるからこそ、その家庭ならではの料理や食べ方は家族だけのうれしい共通点。大人になると懐かしい絆を感じますよね。

我が子にも「これを食べると思い出す」そんな思い出の一ページを残してあげたいなぁ、と思う今日この頃です。

 

子どもが食べないのは母のせい?

「うちの子、好き嫌いが多くて」「お菓子ばっかり食べて、ご飯を食べないんです」
そんなお悩みを聞くことがあります。我が子には、何でも食べる元気な子に育って欲しいというのは、世の中のお母さん共通の願いですよね。

私もそう思います。

でも、何でも食べさせなくては!と、お母さんが一生懸命になりすぎると、楽しい食事ではなくなってしまいます。
怒りながら作った大根おろしは辛くなる、と聞いたことがありますが、食事は笑顔で食べたほうが美味しいですよね。

子どもによっては、味覚に敏感な子も苦手な食感がある子もいます。それはひとりひとりの子どもの姿。

揚げ物にソースをつけるのが嫌で、私が良かれと思ってつけてあげると怒っていた息子。「つけたほうが美味しいよ!」と進めても、「ぼくはつけないほうがいいのに、ダメなの?」と言われて、しぶしぶ納得した私。子どもの好き嫌いや好みは、お母さんのせいではないのです。

保育園でたくさんの子どもたちと関わってきた私は、子どもが急に食べ始める瞬間、というのを何度も見てきました。
友だちがきっかけだったり、その場の雰囲気だったり、子ども自身の気持ちが動いた瞬間、それまで苦手だったものを食べられるようになったのです。
子どもは、その子のペースでちゃんと成長しているのだ、と実感しました。

だから大丈夫。その子の姿をそのまま受け止めたうえで、食べることが楽しいと思える経験を積み重ねてあげることが、子どもの成長に繋がっていきます。

 

食べることは、毎日のこと。子どもの食を支えるお母さんは、頑張りすぎないことが大事。
どうやったら食べるか?ではなく、どうやったら楽しい食事になるか?を考えていくと、笑顔になりますよ。

 

食を楽しもう!

娘が3歳の頃、「そらまめくんのベット」という絵本が大好きでした。絵本に出てくる「ベット」というのはそらまめの皮のこと。
娘は、ふわふわベットの絵を見て「どんなにふわふわなんだろう?」と想像を膨らませていました。

そこで、本物のそらまめくんのベットを体験させてあげたい!と思い、そらまめが旬の時に一緒に皮むきをしたのです。
不思議な形のそらまめの皮を開いてみると、中には白くてふわふわしたものが…。「あっ、ベット」「そらまめくんのベットだ!」目を丸くしてビックリ顔の娘。初めて食べたそらまめは、ふわふわベットと共に思い出に残っているようです。

食材に触れる経験は、子どもにとって印象深いようですね。今でも、そらまめの皮むきは進んでやってくれる娘です。

旬のもの、季節を味わうのに欠かせないのが伝統行事。ひな祭りにはちらしずし、子どもの日にはかしわ餅、お月見にはおだんご。子どももイベントは大好きですよね。楽しい経験は、食べる意欲や美味しい!に繋がっていきます。

お母さんと一緒に作ったり、食べたりを経験することは、楽しさも2倍!

是非、子どもと一緒に食を楽しむ時間を作ってみてくださいね。

 

母が完璧じゃなくても子は育つ

母になって16年の私ですが…実は、食に関してのこだわりがないので料理は一向に上手くならず?
「夕食、何か食べたいものある?」と、子どもたちに聞くたびに「美味しいもの!」という答えが返ってきてメニュー決めに頭を悩ます毎日です。

料理が得意なお母さんを目指して、なんとかしようと頑張った時もありましたが…

以前保育園で、子ども同士がお母さんのことをあれこれ話している時に「お母さんが作ってくれるご飯、何が好き?」と聞いてみました。すると「ハンバーグ」「カレー」「納豆」「焼肉!」など、うれしそうに教えてくれる子どもたち。その笑顔を見ていたら、お母さんが作る料理は何でも美味しいのかも?と感じました。

子どもは、お母さんと一緒に食べるから美味しいのでしょうね。

それに気づいてから、なんだかホッとした私。
完璧を目指して頑張るより、子どもと楽しく食べる時間を作ろう!と思うようになりました。

仕事をしながらの子育ては時間に追われてバタバタすることばかりでしたが、食事の時だけは、一日にあったことを話したり、食べ物クイズをしたり、子どもと向き合う時間にしようと心がけてきました。そして今、目の前にはスクスク成長している我が子がいます。

レパートリーが少なくても、ゴージャスな料理が出来なくても大丈夫!そう実感しています。

いまだに「これ、しょっぱい」「焦げてる…」なんてクレームもありますが、時には「この味噌汁、わかめと玉ねぎ好きだよ」なんて、息子の一言に幸せを感じつつ、家族のやさしさに感謝!

私の作る料理で子どもたちの身体と心は作られている

食事はお腹を満たすだけでなく、心を満たすもの

そんな思いを胸に、毎日の食事を楽しんでいきましょう。

そして、お母さんとの会話、お母さんの笑顔で、子どもの心を満腹にしていきましょうね。

 

次回は、食事のマナーとしつけについてお届けします。
お楽しみに!

 

 

●プロフィール
保育・子育てアドバイザー
上野里江
HP:http://smiley-ai.com

保育士歴30年。保育園、幼稚園、子ども園で3000人以上の親子と関わり、その後3年間療育に携わる。
子どもに関わる大人を元気に笑顔に!をモットーに、コミュニケーション講座や相談を行なっている。

 

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保育・子育てアドバイザー 研究員の上野里江です。

前回お届けした「子どもと遊ぶって、どうやるの?」では、手遊びやことば遊びを紹介しました。玩具がなくても子どもと楽しく過ごせる遊びを知っていると、乗り物の中や待合室などでも、親子で笑っていられます。

是非試してくださいね!

 

今回は、絵本について。
身近に絵本がある子育ては、子どもだけでなくお母さんにもいいことがたくさんあります。

絵本を子育てのサポーターにして、豊な時間を過ごすヒントをお届けします。

絵本との出会い

『ブックスタート』という活動を聞いたことはありますか?
0歳児検診などで赤ちゃんに絵本をプレゼントする活動。今、全国で行っている地域が増えているそうです。

確か、我が家の子どもたちも一番初めに手にした絵本は、ブックスタートで頂いた絵本でした。
赤ちゃんが持ちやすいサイズで、色彩がはっきりしていて、絵本を手にすると自分で開いて見ていたのを覚えています。初めての絵本は読み物というより、繰り返しのセリフと絵が魅力的で、見ているだけで私まで笑顔になる絵本でした。

以前、ことばも分からない赤ちゃんに絵本?どうせ読んでも意味分からないでしょ?というお母さんの声を聞いたことがあります。
初めて母になった戸惑い…私もよくわかります。

実は赤ちゃんは、繰り返し読んでもらう絵本、そしておかあさんの声をちゃんと覚えているのです。絵本と子どもの顔を交互に見ながら読んでいると、我が子と初めて心が通じた!と感じることもありました。

絵本を真ん中にして親子が笑顔になる、心が触れ合う絵本タイム。絵本はコミュニケーションの大切なアイテムだと思います。

あなたは、どんな絵本との出会いがありますか?

大好き!食べもの絵本

娘が1歳の頃、ままごと遊びよりも先に楽しんだのが食べもの絵本。「おいしいね~」「あ~ん、パク!」と、食べるまねをする模倣遊び。りんご、みかん、バナナ、おにぎり、サンドイッチにお弁当…皮をむいたり、大きな口を開けたり、細かい演技をしながらよく食べました!

食べることは生きること。食べることを楽しむって、幸せを感じますよね。「おいしそうだね」「おいしいね」と、絵本の食べものをつまむまねをして、私の口に食べさせてくれた娘の小さな手。

絵本のおかげで本当の食事も「おいしいね」が合いことばになっていたように思います。

そして、少し大きくなった娘が大好きだったのは、ホットケーキを作る工程やお料理の音が描かれた絵本でした。
トントントンと包丁の音、ジュージューと焼いている音、そんな音が本当に聞こえてきそうな絵に釘づけだった娘。

女の子って不思議と、食べることだけではなく、作ることにも興味を持つのですね。

子どもとのやり取りを広げてくれる食べもの絵本は、食べることを楽しむ子育ての原点かも?そんな気がします。

好きをとことん!絵本の世界で

保育園でたくさんの子どもたちと出会ってきた私は、子どもはみんな絵本が大好きだと感じています。

でも、ひとりひとり、その時々で興味がある絵本、好きな絵本というのは違います。だからこそ、好きな絵本というのは、その子の今を知る入口にもなると思っています。

乗り物に興味があった3歳頃の息子。大型車両の絵本を繰り返し見ているうちに車の名前をたくさん覚えて「大きくなったら工事の人になる!」と言い出しました。道で工事現場に出会うと立ち止まり、いつまでも見ていたあの頃…絵本と現実をいったりきたりしながら、あこがれを膨らませていく息子をなんだか愛おしく思ったのを覚えています。
子どもの好き!に寄り添って絵本の世界をとことん楽しめるのは、子どもが小さい時限定。

「うちの子、車しか興味なくて…」「恐竜の本ばっかり見てるんです」と、心配しているお母さん!
大丈夫ですよ。きっと1年後、全く違うものに夢中になっています!

息子はその後、車から虫へと興味が移り、次になぜか?モアイに夢中になって…大きくなったらモアイに会いに行く!なんて言っていました。

子どもの今これが好き!にとことん付き合うと、子育てが2倍楽しくなりますよ。

あなたのお子さんは、どんな絵本が好きかしら?

絵本の選び方ってあるの?

子どもには色々な絵本を読んで欲しい!でもどんな絵本を選んだらいいのかしら?
そんなモヤモヤを抱えているお母さんに、絵本選びのポイントをひとつ上げるとしたら…

私は、お母さんが面白いと思う絵本を選ぶのが一番だと思っています。感じ方は人それぞれ、絵本に良い悪いはないのです。お母さん自身が「この本面白い」と思うものを選ぶこと。それが楽しい親子の絵本タイムになると思うのです。

子どもたちが小さかった頃、バスに乗って図書館に行くのがお出かけの定番でした。

図書館の絵本コーナーでは、子どもたちが絵を見て選んだ様々な絵本を読みました。
その中で、子どもが「面白い」と思ったもの、私が「これ好き!」と思ったものを借りて家でも楽しむ…そんなことを繰り返していると、絵本はいつも身近にあるものになっていました。

笑える絵本が好きな私は、ナンセンス絵本を好んで読み聞かせていましたが、一度読んで面白かった作家さんの別の本を探したり、図書館でおすすめ本になっているものを借りたり…図書館だからこそ、様々な絵本に触れることが出来たと思っています。

どんな絵本を選んだらいいか分からない、というお母さん!
是非、図書館に足を運んでみて下さいね。きっと世界が広がりますよ。

絵本は子育てのサポーター

子どもは同じ絵本を繰り返し読むのが大好きです。何度も見ているうちに、主人公のがんばっている姿に自分を重ねたり、自分もやってみよう!という気持ちになったり…。そんな絵本にもたくさん出会いました。

歯磨き、トイレ、お風呂に着替え…私が身の回りのことや生活習慣を教えようとがんばるより、絵本からやる気パワーをもらったものも数知れず。
そういえば、息子のボタンがひとりで出来るようになったのは、絵本がきっかけだったなぁ~。まさに、絵本は子育てのサポーター!成長のきっかけを作ってくれる頼もしい味方です。

寝る前に絵本を読む儀式も、一日の終わりを心静かに過ごせる素敵な時間だったと、振り返ると懐かしく思います。
好きな絵本を一冊ずつ読んだら布団に入る、という習慣のおかげで早寝早起きが身についたのかも?

絵本のおかげです。

子育ては時間に追われることが多くて、ひとりでがんばっているとイライラが止まらなくなってしまう…そんなこともあると思います。
そんな時は、お母さんの代わりに子どもに語りかけてくれる絵本の力を借りましょう!

困った時は絵本頼み!
子どもの今にぴったりの絵本が、きっとあなたの子育てをサポートしてくれますよ。

お母さんの気持ちも包みます

子どもが楽しむために読むのが絵本…そう思っていたら、ある時、母の気持ちを代弁してくれている絵本に出会いました。

子どもへのことばにならない気持ち…愛?思い?そんなものを伝えてくれる絵本は、涙があふれて最後まで読めなくて、今でも題名を言うだけで「ママが泣いちゃう本だよね」と、我が子の心にも残っているようです。

心に触れる…というのでしょうか?親の愛情だったり、生と死だったり、子どもに伝えたい大事なことがあふれている絵本。母としての自信が持てずに不安な気持ちでいっぱいだった私をやさしく包み込んでくれた絵本。

絵本は子どもだけのものじゃない!を実感しています。

絵本の力

絵本について、中学生になった娘に小さい頃の思い出を聞いてみました。すると、今でも覚えているセリフや図書館での出来事など、次々出てくるからびっくり!もう10年以上も前のことなのに…絵本って、すごいですね。

子どもは日々成長しています。母として関われる幼い時期はあっという間に過ぎていきます。

絵本を真ん中にして泣いたり笑ったり気持ちを分かち合う時間は、きっと豊な心を育ててくれますよ。

お母さんの心をゆるめてくれたり、元気にしてくれたり、絵本の力はすごいのです!

是非、あなたも絵本を子育てのサポーターにして、親子の時間を楽しんで下さいね。

次回は、食欲の秋を前に「子どもの食事について」2回シリーズでお届けします。お楽しみに!

 

 

●プロフィール
保育・子育てアドバイザー
上野里江
HP:http://smiley-ai.com

保育士歴30年。保育園、幼稚園、子ども園で3000人以上の親子と関わり、その後3年間療育に携わる。
子どもに関わる大人を元気に笑顔に!をモットーに、コミュニケーション講座や相談を行なっている。

 

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保育・子育てアドバイザー 研究員の上野里江です。

子どもが産まれてお母さんと呼ばれるようになって…
私は今年でお母さん歴16年になりました。
あなたは、何年目かしら?

可愛い子どもが、「ママ遊ぼうよ!」「一緒にあそんで~」とお願いしてくるようになると、おままごとでお客さんになったり、一緒に公園にいったり…子どもの要求に答えてあげなきゃ!とがんばっているお母さんも多いと思います。

そこで今回は「子どもと一緒に遊ぶって、どうやるの?」をお届けします。

子どもとお母さん、一緒に遊ぶことで育つものがあるのですよ。

 

お母さん業は大忙し!

保育士として30年以上、たくさんの子どもたちと一緒に遊ぶことを仕事としてきた私ですが…
我が子の子育てでは、「一緒に遊ぶって難しい!」と思うことがたくさんありました。

だって、お母さんは子どものためにご飯を作ったり、掃除をしたり、やることが目白押し。24時間無休のお母さん業に余裕の時間なんてないですものね。

「一緒にあそんで!」と言われても「ちょっと待ってて」「これやってからね」「あっ、玩具はここでやらないで~」なんて、一緒に遊ぶとは程遠い会話をしていました。

 

あなたは今、どんな毎日を過ごしていますか?

 

一番初めの遊びは…

子どもと遊ぶ余裕なんてない!そんな忙しい毎日の中で、振り返ると私が無意識にやっていたことがありました。

あなたも、ちょっと思い出してみて下さい。我が子が赤ちゃんだった頃…

顔を見ながら声をかけたり、抱っこしたり、笑いかけたり、あやしたり…あの手この手で、我が子を笑わせようとしませんでしたか?

私は我が子の笑顔が見たくて、思いっきり笑顔で語りかけていました。

そして、笑ってくれるとうれしくて、また笑いかける…

これって、親子の一番初めの遊びかもしれませんね。

名付けて「笑顔の交換ごっこ」

子どもはお母さんの笑顔が大好きです。
お母さんが笑いかけてくれると、子どももうれしくて笑うのです。
子どもには、お母さんの愛情が伝わるのでしょうね。

・子どもの喜ぶことを一緒に喜ぶ
・子どもが楽しんでいることを一緒に楽しむ

それが、一緒に遊ぶということ

お母さんって、無意識にちゃんと我が子と遊んでいるのかもしれませんね。

 

「遊んで!」の本音は…

保育園で子どもたちと遊んでいる時、子どもがよく口にするなぁ、と気づいたのが「見てみて!」「見ててね」ということば。子どもたちの願いは、自分のやっていることを見ていて欲しい、そして楽しい気持ちを共感して欲しい。

私はそう感じました。

一緒に遊ぶって、遊びの内容や時間の長さではないようです。

もしかしたら子どもは「遊んで!」と言っても、お母さんに「さぁ、何してあそぼうか」と言われたらちょっと困ってしまうかもしれません。

子どもの「遊んで!」のことばは「見てみて!」「見ててね」という気持ち。

いくつになっても、子どもはお母さんに見ていて欲しい、関わって欲しい、そんな気持ちでいっぱいなのですね。

 

子どもの気持ちが満たされる遊び

一緒に遊ばなくちゃ!とがんばらなくても、じっくり玩具で一緒に遊ばなくても大丈夫。ほんのちょっとのお母さんとの関わりが、子どもの気持ちを満たしていくのです。

少しの時間の関わりを積み重ねていくことが、「お母さんと遊ぶと楽しい!」「お母さんはいつも見ていてくれる」という安心感につながっていくと思います。

 

そこでおススメなのがスキンシップ遊びです。

玩具がなくてもすぐ出来て、何より子どもはスキンシップが大好き!

 

それでは、いくつかご紹介しましょう。

 

「いっぽんばし こちょこちょ♪」

いっぽんばし こちょこちょ
たたいて つねって
かいだんのぼって…こちょこちょ~♪

保育園で初めて出会った子どもと仲良くなる時に、私がいつも楽しんでいた遊びです。

くすぐられるのって、ワクワクドキドキ!
0歳から小学生でも楽しめます。

寝る前の布団の上でこちょこちょタイム♪は我が家の定番でした。
5分でも子どもは大満足ですよ。

 

ジャンケン遊び・あっち向いてホイ!

グーチョキパーが分かるようになったら、ジャンケンは親子で笑える遊びNO.1です。
実は、勝負で勝ちたい!という気持ちは小さい頃から芽生えています。ジャンケンは初めての勝負かも?
お母さんとのジャンケンは、勝っても負けても「もう一回やりたい」と、リクエストしてくること間違いなし。

あっち向いてホイ!は、「3回勝負ね」と決めたり、どちらかが負けたらおしまいにしたり、短時間でも笑い合うことができますよ。

 

しりとり・なぞなぞ・ことば遊び

我が家の子どもたちとよく楽しんだのが、ことばの連想ゲーム

「赤と言ったら…」と私が質問すると
娘「赤と言ったら、リンゴ」
息子「リンゴと言ったら、ゴリラ」
次に私が「ゴリラと言ったら、大きい」といった具合にどんどん連想していく遊びです。

答えは全て〇 間違いとか、おかしい?というものは無し。遊びの中に正しさはいらないのです。

子どもの自由な発想が面白くて、笑えます!

ことば遊びは、ちょっと家事をしながらでも一緒に楽しめますよ。

 

お母さんと子ども 一緒に遊ぶことで育つもの

保育士時代、保護者から「子どものことを怒ってばかりで、どうしたらいいのかわからない」という悩みをよく聞きました。私も我が子を怒ってばかり…ということがあったので、保護者の気持ちはよく分かります。

私は、どうやったら怒らないようにできるか?ということより、どうやったら笑い合えるかを考えてみましょう!と提案してきました。

すると、くすぐるたびにケラケラ笑う我が子を見ているうちに、お母さん自身が我が子をかわいい!と思うことが増えたというのです。

一緒に笑い合うことで、子どもへの愛情がますます増えたお母さん。たくさんの愛情を受けてお母さんがもっともっと大好きになっていく子ども。

遊びを通して親子の信頼関係が育っていくのを実感しました。

愛情って、目に見えないから伝えるための行動が大事。それが一緒に遊ぶということ。

我が子の笑顔が見たくて、笑いかけていたあの頃。
子どもが笑ってくれるだけで、幸せな気分になりましたよね。

一緒に遊ぶって、一緒に笑い合うことだと思うのです。

お母さんが幸せを感じると、子どもも幸せを感じる…

子どもはお母さんの笑顔が見たいのです。

 

是非、一日5分でも一緒に笑い合う時間を作ってみて下さいね!

次回は、親子の時間と絵本についてをお届けします。
絵本は子育てのサポーターなのです!お楽しみに。

 

 

●プロフィール
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子どもに関わる大人を元気に笑顔に!をモットーに、コミュニケーション講座や相談を行なっている。

 

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保育・子育てアドバイザー 研究員の上野里江です。

3回シリーズでお届けしている「子どもの心を育てることば」

乳幼児期の子どもにとって、何よりも大切なのは「あなたがいてくれてうれしい!」というお母さんからの愛情を感じることだと思っています。
「大好き」「ありがとう」は、お母さんの愛情が伝わることば。
是非、日常の中で伝えてくださいね。

今回お届けするのは「子どものやる気スイッチを刺激することば」です。

毎日誰よりもたくさんおしゃべりをしているお母さんと子ども。「ことば」というよりお母さんの思いや願いが子どもに伝わっています。
子どもには、色々なことに挑戦してやりたいことを見つけて欲しいですよね。

実は、その意欲を引き出すのも、お母さんのことばなのです。

子どものやる気は、お母さんのちょっとしたことばでびっくりするほど変わっていきますよ。

 

いいね!そうだね!で始めよう

近頃は、SNSやブログなどで「いいね!」のボタンを押して相手を承認することができます。
あなたは「いいね!」をもらった時、どんな気持ちになりますか?

ボタンひとつでも「いいね!」と言ってくれる人がいると嬉しいですよね。

そして、カーリング娘たちのことばで話題になった「そだねー!」

相手のことばを受け止めて共感していることが伝わることば。
なんだかホッとしますよね。

この「いいね!」「そうだね!」、実は力を与えてくれる、やる気スイッチを刺激することばなのです。

子どもとの会話を思い浮かべてみて…
「いいね!」「そうだね!」どれぐらい伝えていますか?

 

笑顔でいいね!が自信につながる

息子が4歳の時、保育園の運動会で縄跳びをやることになりました。

怖がりで、運動神経が良いとは言えない息子は、なかなか跳べるようにならず…
友だちがどんどん跳べるようになっていくのでプライドも傷つき、「ボクはできない」「できないからやりたくない」と言い出したのです。

でも、運動会では全員が跳べるようになって発表するというクラスの目標があり、息子も本当は「跳べるようになりたい」と思っているのが伝わってきました。

しかし、本人しか押すことのできないやる気スイッチ。

そこで私は、息子の縄跳び練習につき合うことにしました。

連続して跳ぶことが出来ず、泣きそうになる息子。

私は1回跳べるごとに「いいねー」「跳べてるよ」と声をかけ、縄の持ち方やリズムの取り方を少しずつ伝え、
「その調子!」「さっきよりできてる」「覚えるの早いねー」「いいね!」と声をかけ続けました。

私の中には、必ず出来るようになる、という思いがあったのです。

その思いが伝わったのか?息子の顔が泣き顔からだんだん笑顔に変わっていきました。

そして、跳べるようになりたい!というやる気が、跳べるようになる!という目標に変わった瞬間、スイッチが入ったのです。

コツをつかんだら、あっという間に出来るようになるのが、子どものすごい力!
息子は連続跳びがスムーズに跳べるようになり、運動会では友だちと一緒に笑顔で発表することができました。

 

「教える」より「寄り添う」

何かが出来ない時、教えてあげるのは優しさだと思います。

でも、出来ないところを指摘してなんとかしてあげようとすると、相手によっては「自分はダメだ」と自信を失くしてしまうこともあるのです。

息子の縄跳び練習で、出来ていないことを言わないようにグッとこらえ、出来ていることだけを笑顔で伝えた私。

「いいね!」「そうだね!」「その調子!」って…何度も声をかけていると、本当にいい感じになっていくのを実感しました。

大丈夫、できるようになる!と信じて、寄り添う…そのメッセージは、息子にとって安心感になったのでは?と思っています。

大人でも自信を失った時、たくさんのアドバイスより「あなたなら大丈夫」のひとことのほうが嬉しい…そんなこともありますよね。

子どものやる気はお母さんのことばでスイッチオン!になりますよ。

 

お母さんのことばは子どもにしみ込みます

保育園で子どもたちが遊んでいる様子を見ていると、時々「今の言い方、誰かに似てる?」と感じることがあります。
3、4歳になるとごっこ遊びが盛んになるのですが、その中での会話がまるで大人の会話みたい!

「だから言ったでしょ!」「いつもそうなんだから」「でも、やっぱりさぁ」「ほら、みなさい」などなど腰に手を当てたり、腕組したり、仕草まで大人そっくりなのです。

毎日、一番ことばを交わしているお母さんと子ども。
朝起きた時から夜寝るまで、子どもの一日はお母さんのことばで出来ている?と言ってもいいくらい、子どもの心にお母さんのことばはしみ込んでいる…そう感じています。

 

お母さんのことばは影響大!

公園で、2歳位の子がお母さんの手を放して走り出し、お母さんが慌てて「ホラ、転ぶよ!」と声をかけたとたん転んで大泣き!
お母さんは「何回言っても、分からない子ね」とつぶやいていましたが…

私は、子どもが悪いというよりは、お母さんの言う通りになっただけかも?と思いました。

だって「ホラ、転ぶよ!」と、予言しているのはお母さんですもの。お母さんの言う通りになっただけですよね。

もし、走り出した子に「ゆっくりね~」とか「気をつけて」ということばをかけていたら…転ばないで済んだかも。

お母さんのことばは、本当に力があるのです。

お母さんの口ぐせがそのまま子どもの口ぐせになっていることもあります。
あなたは、自分の口ぐせに気づいていますか?

以前、私の口ぐせ「まっ、いいか!」を我が子が言っているのを聞いて、ハッとさせられることがありました。
お母さんのことばは思っている以上に影響が大きいと実感しています。

子どもが何かに失敗した時
何回言っても行動しない時

あなたは、どんなことばをかけていますか?

 

出来ていることに「いいね!」を伝えよう

子どもは大好きなお母さんに認めて欲しくていろんなことをやらかします。
「いいね!」とは言えないこともあるかもしれません。でも、普通に出来ていることもたくさんありますよね。
実は、ふつうに出来ていることって、見ていても声をかけていないことが多いのです。

ここはポイントです!
普通に出来ていること、毎日ちゃんとやっていること、それってすごいことなのです。
歯磨きも着替えも、ご飯をひとりでたべることも。
是非、ことばにして「いいね!」と伝えて下さいね。

急にお母さんに「いいね!」なんて言われたら、子どもはビックリしちゃうかもしれないけど、とても嬉しいと思いますよ。

 

第一声は「そうだね!」で

子どもの話しを聞く時、ついつい正しいことを教えたくなってしまうのが母心。
でも、子どもは正しい答えを求めているわけではないのです。

お母さんが安心して何でも話せる相手になってくれること、安心できる存在であることが一番大事。

子どもの話しは「そうだね!」「そうなんだ」と、第一声は受け止めて下さいね。子どもから色々話してくれるのも期間限定ですよ。

 

やる気スイッチを押すのは子ども自身

我が子の寝顔を見ながら、「寝ている時が一番かわいいわ」なんてため息が出てしまうくらい、子育てにがんばっているお母さん。

でも、我が子の寝顔を見ていると…愚痴も出るけど、幸せな気分にもなりますよね。

私も子どもたちが小さい頃、寝顔を見ながら「どんな大人になるのかなぁ~?」と想像してはひとりニヤニヤしていたことがありました。

あなたは、子どもにどんな人になって欲しいと思いますか?

どんなことでもやる気になれば実現する!たくさんの可能性を持った子どもたち。

そのやる気スイッチは子ども自身にしか押せません。

お母さんにできることは、我が子が自分でやる気スイッチを押すことができるように「いいね!」「そうだね!」と受け止めること。

お母さんのことばに、安心感で満たされること間違いなし!

 

あの発明家エジソンが

「母ほど自分を認め、信じてくれた人はいない」と語っていた

そのお母さんのことば

I love you because you are you
(あなたは、あなたのままでいいのよ)

きっとエジソンは、存在そのものを認めて愛してくれているお母さんのことばに勇気づけられ、やる気スイッチも入ったことでしょう。

「いいね!」
「そうだね」
「あなたのままでいいんだよ」

子どもにたくさん伝えていきましょうね。

 

 

3回に渡って、「子どもの心を育てることば」についてお届けしてきました。
いかがでしたか?

是非、ことばの力を子育てに!子どもと笑い合える時間をたくさん過ごしてくださいね。

次回からは、「子どもと一緒に遊ぶってどうやるの?」をテーマに、年齢ごとの遊びについてお届けします。
お楽しみに。

 

●プロフィール
保育・子育てアドバイザー
上野里江
HP:http://smiley-ai.com

保育士歴30年。保育園、幼稚園、子ども園で3000人以上の親子と関わり、その後3年間療育に携わる。
子どもに関わる大人を元気に笑顔に!をモットーに、コミュニケーション講座や相談を行なっている。

 

上野研究員のコラムはこちら

 

 

 

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保育・子育てアドバイザー 研究員の上野里江です。

前回お伝えした、子どもの心の栄養になることば 「大好き」。

毎日の生活の中に取り入れてみて、いかがでしたでしょうか?

子どもと一緒に笑い合う時間が増えたのでは?

子どもの心を育てることば第二回目は、「子どもに喜びを与えることば」をお届けします。

 

「ありがとう」って言えるかな?

ある日のスーパーのレジでのこと。

2歳ぐらいの男の子がお菓子をひとつ握りしめて、お母さんと一緒に並んでいました。
順番がきてレジ係にお菓子を手渡した男の子。そして、レジ係から「はい、どうぞ。」と、お菓子を渡されて嬉しそうにしていました。

すると、すぐにお母さんの声…

「ほら、なんて言うの?」「ちゃんと、ありがとうは?」「ありがとうでしょ!」

男の子はもじもじ…お母さんはイライラ!

男の子は、下を向きながら小さな声で「…がと。」と言っていましたが…
お母さんは、ちょっと怖い顔。

あなたもそんな経験ありませんか?

 

「ありがとう」を伝えよう

感謝のことば「ありがとう」

子どもには、ちゃんと言えるようになって欲しいですよね。

でも、「ありがとう」は使い方を教える前に、大切なことがあると思うのです。

 

それは、たくさんの「ありがとう」を子どもに伝えること!

 

子どもって、言った通りにはならないけど、大人のしている通りになるのです。

お母さんが「ありがとう」を子どもに伝えることで、自然と身についていく「ありがとう」のことば。

「えっ?子どもに感謝するなんて?」「感謝されるのは、こっちのほうよ」そんな声が聞こえてきそうですが…
お母さんの気持ち、よくわかります。

子どものために心も時間もフルに使っているお母さんにこそ…本当に「ありがとう」です。

 

それでも私は、子どもって何よりも有難い存在だと思うのです。

産まれてきてくれた…ただそれだけで、ありがとう!

そう思いませんか?

 

喜びは、生きる力

2歳ぐらいになると、ままごと遊びでお母さんのまねをしてお料理をする姿が見られますよね。
お皿に玩具の食べ物をのせたり、コップにお茶を入れるまねをしたり。

そして「ハイ、どーぞ」と、笑顔でお母さんの前に差し出してくれるかわいい我が子…

その時、どんなことばをかけていますか?

「わぁ、おいしそう!」「いただきます」そんなお母さんのことばは、どれもうれしいけど…
そこで一番伝えて欲しいのは「ありがとう」のことばなのです。

自分の差し出したものをお母さんが喜んでくれた!というのは、自分という存在が、お母さんにとって「ありがとう」の存在なんだって思えるのです。

子どもの心に喜びを与える「ありがとう」のことばは、生きる力になっていく!

私はそう思っています。

 

子どもの気持ちをのぞいてみると…

保育園では、遅くまで仕事をしているお母さんのために延長保育があります。

ある日の夕方。延長保育の友だちがひとり、ふたりと帰って、最後のひとりになったのが4歳の男の子でした。

走って迎えに来たお母さんを見てパッとうれしそうな顔をしたのですが、次の瞬間「ごめんねー!遅くなって」というお母さんの声を聞いたとたん知らん顔をして遊び続けたのです。

お母さんはイライラ!「もう、早くしてよ。急いで来たのに…おいていくよ!」

そのことばに男の子はムッとして玩具をバラバラに…

そしてお母さんは激怒!

一日の終わりが悲しい時間になってしまいました。

本当は、最後のひとりになって、心細くて寂しくてずっと待っていたはずなのに…なぜ素直になれなかったのか?

それは、お母さんのことばにあったのです。

 

「ごめんね」を「ありがとう」にかえて

男の子は、お母さんが仕事を頑張っていることも、急いで迎えにきてくれていることも、ちゃんとわかっているんです。
だからこそ、男の子なりに我慢していることもある…その気持ちをお母さんにくみ取って欲しかったのだと思います。

その後、男の子の気持ちについてお母さんと話をしました。

そして、お迎えの時のお母さんのことばが「ごめんねー遅くなって」から「ありがとう!待っていてくれて」になると男の子の様子が変わったのです。

お母さんが、男の子が頑張っていることを受け止めて「ありがとう」を伝えるようになると…男の子は、笑顔で帰るようになりました。

「ありがとう」って声に出すと自然と笑顔になりますよね。
子どもはお母さんの笑顔を見てホッとするのでしょう。

「ありがとう」は魔法のことばです。

 

「ありがとう」っていつ言うの?

実は、毎日の中に「ありがとう」のタネはたくさんあるのです。

子どもがきちんと片付けをした時「えらいね」ではなく「ありがとう!お部屋がきれいになると気持ちいいね」。

病院の待合室で静かに待てた時「イヤイヤしないでおりこうね」ではなく「静かにしてくれて、ありがとう」などなど。

当たり前のことも、「ご飯をたくさん食べてくれてありがとう」「今日も元気でいてくれてありがとう」と、何でも「ありがとう」にできちゃうんです。

我が家では、私がキッチンでガタゴト音を立てると、娘が部屋から「だいじょーぶ?」と、声をかけてくれます。時々物を落としたり、油がはねたりして大騒ぎする私なので、娘は気にとめてくれているのでしょう。
そんな小さなやさしさに感謝!

そして「心配してくれてありがとう!」と、娘に声をかける私です。

 

「ありがとう」と「褒めること」の違い

子どもは、えらい!すごい!おりこうねと褒められるとうれしいものです。でも、褒められるからやる、褒められないからやらない、そんな気持ちになることもあります。

「ありがとう」は感謝を伝えることば…子どもは、役に立つ喜びを感じます。

お母さんが喜んでくれることがうれしくて「ありがとう」と言われるとうれしくて、そんな喜びをたくさん味わうことが、感謝の気持ちを育てるのだと思います。

お母さんが「ありがとう」をたくさん言うと、子どもも自然と「ありがとう」を言える子になりますよ。

子どもたちが将来、誰かのためになりたい、何かの役に立つことをしたい、と大きな目標や意欲を持つその土台になるのは、お母さんからの「ありがとう」のことばかもしれませんね。

お母さんのことばの力は、すごいんです!

 

さぁ、今日は何に「ありがとう」を言おうかしら?

あなたの「ありがとう」のタネはすぐそこにありますよ。

 

次回は

「子どものやる気スイッチを刺激することば」をお届けします。

お楽しみに!

 

●プロフィール
保育・子育てアドバイザー
上野里江
HP:http://smiley-ai.com

保育士歴30年。保育園、幼稚園、子ども園で3000人以上の親子と関わり、その後3年間療育に携わる。
子どもに関わる大人を元気に笑顔に!をモットーに、コミュニケーション講座や相談を行なっている。

 

上野研究員のコラムはこちら

 

 

 

 

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保育・子育てアドバイザー 研究員の上野里江です。

突然ですが、今日お子さんとした会話、覚えてますか?
すぐに思い出せないあなた!お母さんの何気ないひと言が、子どもの心の成長に大きな影響があるとしたら…どうでしょう?
子どもは、お母さんのことばで「自分って○○なんだ」という自分のイメージを持つと言われています。
お母さんのことばがけが、子どもの性格をつくっているのかもしれないのです。

子どもの心の根っこが育つ乳幼児期。

これから3回にわたって「子どもの心を育てることば」についてお届けします。

第1回目は「心の栄養になることば」です。

 

どんな会話をしていますか?

かつての私は、我が子の食べない、寝ない、やめて!っていっても止めない姿に「何やってるの!」「何でわからないの!」と怒ってばかりでした。

私のひと言が、子どもの心の成長にどんな影響があるか?なんて考えもせず、ことばを投げていたのです。
会話というより「~はできた?」「○○やった?」と確認したり、「~しなさい!」って命令したり…自分のことばを振り返ると、笑顔で会話をする心のゆとりがなかったことを思い出します。

あなたは、どんな会話をしていますか?

 

息子のことばに教えられたこと

そんなある時、子どもはお母さんはを困らせようなんて思ってない!と、気づいた出来事がありました。息子が2歳の時です。

妹が産まれてお兄ちゃんになった2歳の息子。
二人の子の育児で余裕のない私は、息子のちょっとした姿にもイライラして、大きな声を出す毎日が続いていました。

ある時、息子がひとりで遊びながら、ひとりごとを言っていたのです。

「ママ、大好き」「ママ、大好き」「ママ、大好き…」。

イライラしている私は、そのことばを素直に受け取れず「もー!何回も言わなくていいよ。わかったから」と冷たく言ってしまったのです。

息子の気持ちも考えず、ひどいことを言ってしまった私。
でも、それを聞いた息子は「だって、ママ大好きが、あふれちゃうんだもん!」と言ったのです。

こんなにイライラして怒ってばかりの私を「大好き!」と言ってくれる息子…大好きがあふれちゃうなんて…

 

そのことばに思わず「ママも大好きだよ!」と、心から素直に伝えている私がいました。

息子は私を困らせよとしているのではなく、私からの「大好きよ!」をずっと待っていたのかもしれません。2歳の息子にもらった「大好き!」のことばは、母としての自信を持たせてくれたようにも思います。

「大好き!」ということばは、まるごと相手を受け止めることばだと、息子に教えられた出来事でした。

 

大好き!を伝えよう

それからの私は、怒ったり、イライラしたりすることがあっても、息子と娘が布団に入る時には「○○ちゃん、おやすみ。大好きよ」と伝えるようになりました。
たくさん愛情を持っていても、伝わらなければ子どもは満たされない…ということに気づき、ことばで伝える大切さを実感したからです。

今では、思春期真っ只中の息子は「ママ大好き」なんて言いませんが…私は息子の背中に向かって「大好きよ」と、そっとつぶやいています。

「大好きよ」を口にすると、2歳の頃の息子を思い出し、ニヤけてしまう私です。

 

愛されてる!と感じる「大好き!」は、心が満たされることば。

 

子どもが、自分に自信を持って成長していくためには、乳幼児期に心が満たされることが何より大切なのです。
保育士をしている時に出会った子ども達を思い出してみても、愛されてる実感を持つ子どもたちは、いつも笑顔で明るかったように思います。
「大好き!」って、大人になっても言われると嬉しいですよね。

子どもと「大好き!」を言い合うことは、お母さんにとっても幸せを感じる時間になると思います。

 

大好き!を伝えると○○な子になる

我が子を見ていると、何かに失敗しても「どうせ、ボクなんか」とか「だって~だったから」ということばを言わないなぁ、と感じています。

自分は大丈夫!なんとかなる、というような気持ち、自分を信じることができているのかな。
「大好きよ」のことばが、心の根っこを強くしてくれたと思うと嬉しいです。

きっと、「大好きよ」のことばで愛されていることを実感し、満たされることで心が強くなり、ちょっとしたことではへこたれない子になったかな?と思っています。

 

大好き!は子どもの心の栄養です

 以前、3歳児クラスの子ども達に「お母さんに言われて嬉しいことばは?」と質問したことがあります。

その時一番多かったのが、やっぱり「大好き!」でした。

子どもがスクスク育つために「大好き!」ということばは、心の栄養だとあらためて思いました。子どもが自分のことを好きになる、そして自信に繋がっていくことば…「大好き!」

是非、子どもだけでなく、あなた自身にも「こんな私のことが大好き」って言ってくださいね!

心の栄養は自分にもたっぷり与えなくちゃ!

親子で笑顔になれることば「大好き!」を日常の中に取り入れてみてくださいね。

 

次回は、「子どもに喜びを与えることば」をお届けします。お楽しみに!

 

●プロフィール
保育・子育てアドバイザー

上野里江
HP:http://smiley-ai.com

保育士歴30年。保育園、幼稚園、子ども園で3000人以上の親子と関わり、その後3年間療育に携わる。
子どもに関わる大人を元気に笑顔に!をモットーに、コミュニケーション講座や相談を行なっている。

 

上野研究員のコラムはこちら

 

 

 

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