もうすぐ2歳半を迎えるわが家の娘。だいぶおしゃべりが上達し、自分の意思を感情ではなく言葉で伝えられるようになってきました。とは言え、娘の世界はまだまだ知らない言葉がたくさん。「言葉の獲得時期」にある娘との会話には「オノマトペ」と呼ばれる擬音語・擬態語が頻繁に登場します。
先日、お気に入りのネックレスを探していた娘。「ママ、お首にブラ~ンするキラキラのプリンセスみたいなやつがないんだけど~」と、娘が知らない言葉「ネックレス」の特徴をオノマトペで表現しながら、「自分が“ネックレス”を探しているのだ」ということを一生懸命伝えてくれました。
今回ご紹介する絵本『しっぽがぴん』は、「しっぽが“ぴん”♪」「しっぽが“たらり”♪」と続く繰り返しのリズムが楽しい1冊。もともとは当時0歳だった娘が楽しめるようにと「テンポの良さ」に魅力を感じて選びました。しかし、「ぴん」「たらり」としっぽの様子を楽しく伝える「音」の表現は、自分の言葉で意思を伝えたい「今」の娘にとって貴重な引き出しのひとつに。0歳でも楽しめる「音」から学ぶことばあそび、『しっぽがぴん』の魅力をお伝えします。
口ずさみたくなる繰り返しのリズムで、読み手も聞き手も楽しい気分に
最初にキツネが「しっぽを ぴん」。そのあと「しっぽが たらり」。「ぴんも たらりも できるのよ ほら、ぴん たらり」。愉快なリズムにつられて、ネコもカメも続きます。最後はみんな一緒に「ぴん ぴん たらり ぴん たらり」。思わず口ずさみたくなる繰り返しのリズム。読み手も聞き手もまるでお祭りのような楽しい気持ちになれる1冊です。
日本画のタッチで描かれた「しっかりとした色合い」の動物たちは、まだまだ集中力の続かない0・1歳の興味を視覚的に刺激。テンポの良い「繰り返しのリズム」と、おそらの絵本特有の「音の効果」が加わり、当時0歳の娘でも最後まで楽しみながら読み終えることが出来ました。
「絵」と「音」をヒントに、娘が自分で感じ取った「ぴん たらり」の世界
絵本『しっぽがぴん』はしっぽの状態を表す「オノマトペ(=擬態語)」、「ぴん」と「たらり」を繰り返す楽しいリズムが特徴です。0・1歳の頃は、単純に「ぴん たらり」という「音」を楽しんでいた娘。しかし、成長と共に「ぴん」が表すしっぽの状態と、「たらり」が表すしっぽの状態に違いがあるということに気付いた様子。読み聞かせの最中に、「ぴん」に合わせて自分の腕をまっすぐに伸ばしたかと思えば、「たらり」に合わせて自分の腕をだらんとさせて見せるように。「ぴん ぴん たらり ぴん たらり」と動物達がみんなで踊る場面では、リズムよく自分の腕を曲げ伸ばしさせながら「ぴん ぴん たらり ぴん たらり♪」ととても楽しそう。娘が「絵」と「音」から自分で感じ取り、習得した「ぴん たらり」の表現。娘の世界がまたひとつ広がった瞬間にとても嬉しくなりました。
オノマトペは感性の言葉。「音」を楽しむ絵本は子どもたちの言葉を引き出す
言葉を完全に習得する前の子どもは、「音」に対して大変繊細な感覚を持っていると言われています。言葉を習得しきれていないからこそ、子どもたちは身の回りの「音」に耳を澄ませ、音の表情を「擬音」に置き換えることで自分の意思を伝えようとしているのです。確かに娘は、パトカーを指すとき「ビーヴービーヴー(サイレン音)」と言ったり、羊を指すとき「バァァ~バァァ~(鳴き声)」と言ったりと、大人の私にはない感性で日常の「音」を擬音化し、私は度々「そんな風に聞こえているのね」と驚かされます。
覚えたての言葉と、子どもらしい「音(=オノマトペ)」の表現を組み合わせながら、私に何かを伝えようと今日も一生懸命なわが娘。「言葉」を教えるのも良いけれど、「音」から表現の引き出しを増やしていくのも楽しそう。絵本選びにも新しい視点が加わりました。さぁ次はどんな絵本を読もうかな。