【ココアシガレット】に【ミニコーラ】。子どもはみんな大好きな駄菓子や子ども菓子でおなじみの、大阪の老舗菓子メーカー!オリオン株式会社。

70年近くに渡り、子どもたちを楽しませてきた秘訣と、子どもたちへの熱い想いを、オリオン一筋・高岡さんにお聞かせいただきました。

オリオン株式会社

 

 

子どもがみんなお世話になったであろうお菓子、【ココアシガレット】や【ミニコーラ】でおなじみの、《オリオン株式会社》さんにお話しを聞かせていただきました。

親子の時間編集部(以下、編集部)
子どもたちを、あっと驚かせて楽しませてくれる、そんなお菓子がいっぱいのオリオンさん。
実際、私も子どものころ100円玉握りしめて、買いに行った思い出が有ります。

オリオン株式会社 高岡常務取締役(以下、高岡さん)
ありがとうございます。
オリオン株式会社は、創業より子ども菓子専門メーカーとして、新しいおいしさと特徴を持った商品を開発し、お子様たちに夢を提供することで社会に貢献出来る企業となることを目指しています。

編集部 本当に特徴的なお菓子がいっぱいですよね。
【ココアシガレット】に【ミニコーラ】。みんな一度は食べたことが有るお菓子だと思います。

高岡さん 【ココアシガレット】は創業から作っているお菓子なんですよ!

編集部 創業から!では、かなり前からですよね。

高岡さん はい。創業は1948年なので、70年前になりますね。
当時は太平洋戦争が終わったばかりで、国を建て直すのに大変な時代で。
建て直すにもお金が必要で、そこで国が目を付けたのがタバコだったんです。
タバコは当時から高い税収を誇っておりましたから。
今では考えられないですが、当時は国がタバコを買えと促進してたのです。

タバコで特に人気だったのが、ピースと言うタバコで、今でも販売しているのですが、とても人気だったそうです。
レイモンド・ローウィーという、世界的に有名な工業デザイナーが手掛けたパッケージが、大人たちには大人気でした。

そこで、タバコとピースの人気にあやかり、紺色のパッケージデザインに目を付け製品化しました。

 

子どもが主役のお菓子

編集部 【ココアシガレット】からオリオンが始まったのですね。

高岡さん そうですね、特徴ある商品作りはここから始まりました。
大人しか楽しめないタバコを、子どもが楽しめるお菓子に。
私たちは、子どもを喜ばせてナンボだと思っております!

編集部 素晴らしいですね。

子どもはいつだって大人をみています。
お父さんや、周りの大人たちの背中を見て育ちますよね。
みなさんも経験が有りますよね。

子どもからみると、大人はしても良いけど、自分たちはさせてもらえない事がいっぱいあって。
特に当時はまだ戦後で、物資も乏しく、様々なものがぜいたく品だったのです。
だから、大人は飲んだり食べたりできても、子どもにはまだ早い!なんて言われることもしばしばで。

編集部 私たちの世代でも、子どものころ良く言われた気がします。子どもには早いって。

高岡さん 当然大人と同じ物はダメですが、雰囲気だけでも楽しませてあげられないかと。
そして、食べたことのないような新しいおいしさをと。考えて考えて商品が作られてきました。

ココアシガレットがタバコのピースなら、
梅ミンツは、パッケージはダンヒルのライターで、中身は当時の大人の間で流行った仁丹をモチーフとしました。

編集部 商品開発には、そんな背景が有ったんですね。
確かに、タバコを吸っているお父さんのライターをいたずらして、怒られた記憶が有ります。
子どものちょっとした欲求を見過ごさず、子どもの気持ちに着眼した物作りですね!

高岡さん まだこの時代は、今のようなスーパー・マーケットもほとんどなく、当然コンビニなど有りませんでした。
ですがここで画期的なものが出てきて、いっきに広まるんです!

編集部 えっ、なんですか?

 

自動販売機の始まりと普及

高岡さん 今では当たり前になっている、自動販売機です!
自動販売機自体は戦前から有ったそうなんですが、どこでもだれでも自動販売機で買えるようになったのは、1970年代ごろだったと思います。

みなさん知らないと思いますが、1967年に100円札が廃止され、100円硬貨となるのですね。
飲料の世界も、瓶から缶へと大きな転換期と重なりました。
1970年には大阪万博も開催され、時代は高度成長期へと向かいます。

そんな時代の波に乗って、自動販売機も一気に普及していったんだと思います。

編集部 そんな背景が有ったんですね。

高岡さん 当時の自動販売機の写真を見ると、今と違い背がだいぶ高いのですね。
これは、購入対象が子どもではなく、大人であることを示しています。

編集部 今の自動販売機は、子どもでも使えるように、取りだし口や、硬貨の投入口も低くなっていますよね。

高岡さん 売っているのも、コーヒーやコーラと。当時は子どもが飲んではいけないと言われていた、飲み物だけだったんです。
だからこそ子どもたちは、大人が自動販売機に100円を入れて「ガチャン」と出てくる缶コーラを取り出し、「カチャ 」っとプルトップを開ける姿に憧れたのです。

 

ミニコーラの誕生

高岡さん そんな時代背景も有り、子どもたちの夢と当社理念をあわせてできたのが『ミニコーラ』です。

新しいおいしさは、子どもが飲ましてもらえなかったコーラ味で。
特徴を持ったとは、コーラの缶をイメージしたパッケージ。
大人の様な体験を、夢として提供する。
そんな商品として、発売されました。

編集部 同じ物作りの会社としましては、見習わなくてはならないお話です。

高岡さん 本当は私は、楽しくなければお菓子じゃないと想っています(笑)
楽しいじゃないですか、コーラそっくりのお菓子が有ったらね!

ちなみに、コーラ風のデザインは、しっかり認められているものなんですよ。

編集部 そうなんですね。

高岡さん お菓子って、子どものためのものだと思うんです。
だから目一杯楽しませてやりたいなと!

 

空前の大ヒット

編集部 今でも売れている商品なので、当時はすごかったのではないですか。

高岡さん それはもう(笑)
1977年に発売した時は、こんな乾電池みたいなのが売れるわけがないって言われたんです。
でも翌78年には大ヒット!
トラックの荷物が配送中に盗まれるくらい。どこのお店も完売完売で。
駄菓子屋さんに納品してくれる問屋さんも、在庫の取り合いで。

1ケースで480個入りなのですが、生産が間に合わないで、待ってもらっている注文数量がピーク時には2万ケースも有りました。

編集部 2万ケース!!960万個ですね・・・もう次元が違いますね!
だから今でも販売を続けている商品なんですね。

高岡さん 当時は今と違い、お菓子一つ買うのも対面販売が基本なんです。
今の子どもたちはコンビニに行って、欲しいものをレジに持っていって、お金を払って商品を購入しますが。
あの頃は、駄菓子屋のおばちゃんと会話をしながら、大事な100円玉を握りしめて、何を買うか真剣に悩んで、おばちゃんに相談して買ったものです。

なのでオリオンの商品も、対面販売での営業力や人間力が加味されて、爆発的ヒットになったのだと思います。

編集部 何をするにも、人と人の触れ合いが有った良き時代ですね。

 

大切にしている商品作り

高岡さん 時代は変わっても、私たちオリオンの理念に変わりは有りません。
いつまでも、子どもたちに夢を与えられるような商品作りをしていきたいと思ってます。

中にはおちゃめなパロディ商品も有りますが(笑)

子どもたちがクスッと笑って、楽しんでくれたら良いと思ってます。

そんな私たちの理念に、共感して下さる企業さんも多くいらっしゃいます。

フジフィルムさんの「写ルンです」のパロディ商品「食べるんです」を1990年頃発売したのです。
「食べるんです」を見たフジフィルムさんは、私たちの考え方に共感してくださって、カメラのフィルムのおまけに採用してもらったこともあるんですよ。

編集部 大手企業さんも共感してくれるなんて、素晴らしいですね!

 

オリオンの想い

編集部 きっとこの熱い想いは、子どもたちに伝わりますね!
そして、将来の子どもたちへと引き継がれると思います。
何十年後にも残る、素晴らしいお菓子に巡り合えて感謝です!

最後に、オリオンさんと高岡さんの、商品作りへの情熱、子どもたちへの想いをお聞かせください。

高岡さん 私たちの商品は「見て楽しい、もらってうれしい、食べておいしい、また欲しい」の4つのCを原点にお菓子を通じて、未来の子どもたちのために、社会貢献していきたいと思っております。

 

編集後記

今回の自動販売機工作キットとミニコーラのように、雑貨と食品という業界をまたいで商品企画することで、子どもたちが本当に喜ぶモノづくりの可能性が広がっていくと感じました。

 

▼オリオン×親子時間研究所コラボ企画商品

寝かしつけに悩んでるママのために。
そんな思いの詰まった『おそらの絵本』はママと子どもに喜んでもらえたのか知りたくて、
実際に100人のママさんに体験してもらいました。

現在、親子の時間研究所を一緒に盛り上げてくれる【ママサポーターさん】は全国に約200人を超えました。
多くのママサポーターさんからモニター参加のお声をいただき、今回は100組のご家族にご協力をしてもらいました。

アンケート結果

・進んで寝る支度をするようになった⇒66%
・いつもより早く寝るようになった⇒31%
・興奮して寝れなかった⇒3%

なんと97%のお子さんがスムーズに寝るようになったとのことでした!
これには正直、私たちも驚きました。

 

ママの声

~「子どもの変化」~

■毎日楽しみにして読んでほしい絵本を自分で選んで、すぐ寝る支度をするようになりました!(ともみママ)

■読み聞かせの時間をいつもより楽しく過ごせました。(5才のママ)

■楽しみながら自分のお布団で寝るようになりました。(1才・3才・4才・6才のママ)

■泣いて添い乳でないと寝ない0歳の子が、キャッキャと喜んですやや寝てしまいました!(中嶋留美ママ)

■寝室に行くことが楽しくなったようで、布団の中でも楽しそうに一人で待っていることができました。(2才・10才のママ)

■物のしくみに興味が出たみたいです。(小針ひろ美ママ)

■早く読んでほしいから電気をすぐ消してくれるようになった。(3才・6才のママ)

■早い時間から「お風呂入って歯みがしておそらの絵本よむ!」とはりきっています。(1才・4才のママ)

■もー!はやくねなさい!という声かけが「おそらの絵本よむよ~」「ハーイ♡」というなごやかなやりとりに。(杉澤奈紗ママ)

■声かけ(もうねるよ、寝室に行ってなど)をしなくても自分たちで寝室に行くようになった。(3才・4才・7才のママ)

■絵本に興味の無かった息子が自分から「読んで!」ともってくるほどの食いつきでした!効果音が特に楽しかったようで、大笑いしていました。(2才・4才のママ)

■効果音に興奮してなかなか寝ないことも。(かずママ)

■よほど楽しいようで、「次はこれ!」「次はこれ!」と要求され、「もうおしまい!」と厳しく言わないと終わらない。(山村麻衣ママ)

子どもたちが率先して寝室に行ってくれてるのは、ママにとって助かりますね!

 

~ママの満足度96%~

■電気を消したあとに絵本を読んであげられるのはとても便利でそのまま入眠しやすい環境が出来てとても有難かったです。(ともみママ)

■うつすだけという先入観がありましたが、BGMや好きなタイミングで出せる効果音がすばらしかった!!(杉澤奈紗ママ)

■子どもはもちろん親も楽しんで読み聞かせができました!モニター終了後は購入しようと決めています。(中嶋留美ママ)

■ライトで照らしてお話を映す、ということ自体がワクワクするので楽しかったです。(4才のママ)

■多くても16ページなので親も気楽に読めました。落ち着くBGMがかけられるのもとてもよかったと思います。(3才・6才のママ)

■部屋を暗くして読むので、そのまま入眠しやすそうです。(5才のママ)

■SNSにアップした所早速ママ友が購入すると言ってましたよ♡かわいい羊のビジュアルも映えるようですね。(1才・4才のママ)

■普段母としては早く寝かしつけたくてイライラしてしまうのでこのおかげで親子の楽しい時間が過ごせました。(3才・4才・7才のママ)

■天井に写し出される映像に興奮して逆に寝つきは悪くなりました。(佐野瑠美ママ)

■スマホを持つ手が疲れてしまうので、もう少し楽に見られると良いです。(5才のママ)

■ディスクの画像とライトを合わせるのが難しかった。(1才・3才・4才・6才のママ)

よろこびの声をいっぱいいただきました!

 

お子さまの声

■「おおきなかぶ」の犬や猫の鳴き声がリアルで面白かったようです。(4才 女の子・7才 男の子)

■お空に浮かんでて楽しい。(5才 男の子)

■暗い中で絵も映るし、音楽も流れてお話がいつもより楽しいと興奮してました。(1才 女の子・3才 男の子・4才 男の子・6才 女の子)

■もう終わり?と言われました。4歳の娘にとっては少しみじかく感じられるようで楽しいのでもっと見ていたいそうです。(2才 男の子・4才 女の子)

■BGMをきいているだけで眠くなる。(4才 男の子・10才 女の子)

■おもしろい。もういっかい読んで。と何回もせがまれました。(2才 女の子・10才 男の子)

■「おもしろい」「映画を観ている気持ちがする。そこがよい。」「また見たい」と言っていました。(5才 女の子)

■効果音が気になってしようがないようで、かぶをぬく音が「オナラの音」に聞こえるらしく、鳴らすたびに大爆笑でした。(4才 男の子)

■効果音を押すのが楽しい。(2才 女の子・4才 男の子・8才 女の子)

■「かわいい絵」「たのしい効果音」がうれしい。(3才 男の子・4才 女の子・7才 女の子)

普段と違って電気を消した暗いお部屋や効果音が楽しかったようですね!

ぼくたちの声

いっぱいのご家族が体験してくださり、なまの声をいただきましてありがとうございます。
お子さんだけでなくママも楽しんでくれたのは嬉しいご意見でした。

なかなか寝室に行ってくれないとついイライラしてしまいますが、ママの心の負担の軽減にも繋がって良かったです。
これからもママとお子さんが笑顔になる商品を作って行きたいと思います。

 

presented by おそらの絵本
このコンテンツの撮影画像にはおそらの絵本が使用されています。

 

 

いま注目されているSTEM教育を通し、子どもの教育の可能性について専門家にお話しを伺う対談コラムの第一弾です!

今回は「STEMON」を運営し、小学校で先生としても活躍されていらっしゃる中村さんとお話ししていこうと思います。

中村一彰さん 二児の父 1978年5月23日生まれ 埼玉県出身

小学校教員免許、中学・高等学校教員免許、LEGO® SERIOUS PLAY® トレーニング修了認定LSPファシリテーター

株式会社Viling代表 http://www.viling.co.jp/ アフタースクール事業「スイッチスクール」、STEM教育事業「STEMON」などを運営

 

サッカー少年はいま~たどり着いた教育への道~

親子時間スタッフ(以下親子):

本日はSTEM教育スクールの第一人者、【ステモン】の中村一彰さんに子どもの教育についてお話をうかがおうと思います。

まずは中村さんの魅力を皆さんにお伝えしたいので、中村さんのことをお聞かせください。

 

中村さんはどんな子どもだったんですか?

 

中村一彰さん(以下中村さん):

幼少期から外を駆け回りサッカー少年で活発な男の子でした。自由に遊んでましたね、勉強は人並みにはしていましたが。

父は技術屋で職人気質で寡黙でして、資格取るのに夜中まで勉強していたのを覚えてます。

大人になっても遅くまで勉強するなんて大変だなと思いました。

 

親子:そんな中村さんの子どもの頃の夢はなんだったんですか?

中村さん:将来の夢はプロのサッカー選手になりたいと思ってました!

ですので高校はサッカーの名門校でプレーをしていました。

その後大学でもサッカーを続け、学部は教育学部に入り教員を目指しました。この時の経験が今の教育サービスに大きな影響を与えました。

 

親子:どのような学生時代を送ったのですか?

中村さん:高校時代は全国でも強豪の名門校だったので、とにかく毎日監督やコーチから細かく指示されて、言われたことをこなすのに精一杯だったんですが、大学のサッカー部に入ると監督は4年間の在学中に一度も練習には来なくて()

毎日自分でなにをするか考えないといけない環境でサッカーをしていたんですね。

そんな中で部長をやらせてもらいまして、練習を考えたり後輩たちの指導をしたり選手起用を決めたりと、サッカーを通して【自分自身で考える】という経験をしました。

 

親子:ですが、その後一般企業に就職されたとのことですが、先生を目指してたのになぜでしょうか

中村さん:教育実習で1ヶ月ほど学校現場を学ぶのですが、教科書通りと言いますか画一的な集団行動にならせざるをえないことを知りました。

自分自身は高校や大学での経験のなかで、多様性・個性の大事さを痛感していましたので・・・

例えば高校のサッカー部では、中学卒業と同時に親元離れて全国から夢を追いかけてくる人ばかりです。普通は地元の高校に行きますよね。大学では全て自分たちで考えて決める環境という経験からそう思いました。

閉鎖的な学校の中で、決められた枠組みをより良く伝えることは重要な役割ですが非常に制約があるんですよね。

学校では多様性や個性を大事にしにくい環境だったんです。画一的な教育を自分が先生になってやる側になるのは抵抗感がありました・・・・。

こんなことを感じてすごく悩んだ末、先生にはならないという選択をしました。

 

親子:そうだったんですね、それから中村さんはどのような道をえらばれたんですか?

中村さん:卒業して最初に就職をしたのは不動産企業でした。住宅が好きと言う安易な理由です()
東証一部の大手企業で、とても良い人材が集まっている会社でした。そこでは営業として4年間働いていました。
その後、その会社の先輩が立ち上げた株式会社エス・エム・エスに転職しました。

 

親子:なぜ大手の安定した環境から転職を考え今にいたるんですか?

中村さん:不動産会社は経営も一緒に働く仲間も非常に優秀で素晴らしい環境だったのですが、不動産企業のバリュー判断は経営者が1人いればできるんですよね。

社員は自分の役割を真面目にこなすだけになってしまいがちで。

営業ができるだけではダメだ! と危機感が強くなりました。仕事の幅を広げたかったんです。

ビジネスやサービスをつくれる人に憧れました。それがきっかけですね。

 

親子:そんな経験をされて今のお仕事にたどり着いたのはなにが大きかったですか。

中村さん:大手で4年とベンチャーで7年半仕事をしてきて思うのは、大手はやることがわかりやすく用意されている。ベンチャーはやることから探さなければいけない()

与えられたことをやっていれば良かった環境から、自分で考えて発掘しつくらなければいけない環境になりました。

このときの発揮すべき能力って、学校や受験では育まれないなと思いました!「学校教育」って・・・・怒りに近い感情が湧きましたね。

この経験で教育熱が深まりました。

学校も受験システムもすぐには変われない。民間なら変えられるのではないかと!

 

ものづくりを中心にした学習スクール「ステモン」って

親子:それでは、現在活動されていらっしゃいます【ステモン】のことをお話ししていきたいのですが。

創業が2012年ですが、当時の社会情勢ではだいぶ先行しているイメージがありますが、【プログラミング教育】・【STEM教育】を知っている方はほとんどいなかったんではないですか?

中村さん:そうですね、私自身も2013年にはじめてSTEM教育という言葉を知りました。

この仕事を始めた時、最初の半年間は国内外の教育サービスを見て回ったんです。幼児教育や進学校やインターナショナルスクールなど。

幼児教室は当時2歳の娘をつれて体験会に行きました(笑)。 個人で主催してるものから大手企業のものまで。

シンガポールのインターナショナルスクールやアメリカで脳科学と運動を研究している教育団体なども、国内外問わずとにかく全て自身の眼で見て確かめなければと。

その中で最も強く共感したのが、「モンテッソーリ教育」と「探究型学習」、そして「STEM教育」でした。

特にSTEM教育はこれから間違いなく重要になると感じました。

でも当時国内ではやっているところがなかったんです。

 

親子:なぜSTEMが一番素晴らしいと思ったんですか?

中村さん:れからの社会に出たあと、とても重要な力を育めるからです。

社会で活躍しやすい力は時代によって変わって行きます。

農耕社会では筋力体力が重要でしたが、工業社会になって筋肉が機械に代わり、読み書き算数のできる人が活躍するようになりました。

次にコンピューターの台頭で情報社会へ移行し、計算はコンピューターが処理するようになり、コンピューターを活用する人や苦手なところを補う人が活躍する社会になりました。

今後はAI社会へと移っていく中で、なにをするにもコンピューターが必要となります。コンピューターを活用しながら問題解決をする力、創造や表現をする力が重要になっていきます。

エンジニアだけでなく、お花屋さんでもケーキ屋さんでも同じく重要になってきているんですね。
それなのに学校の教科にも受験科目にも入っていない。だからコンピューターを活用する力を育む機会が全くないのが今の学校の現状なんですね。

子どものうちからテクノロジーに触れ、テクノロジーを活用して何かをつくってみるとか表現してみるとか、アートでも音楽でも良いのでそういう場が絶対必要だと思います。

もうひとつは教育のメインは学力、受験へと。良い大学に行くこと、そこに加熱しすぎてないかなと思うところがあって。計算が早く解ける、たくさん公式をしってる。これを身につけることは重要ですが、加熱しすぎることで思考の幅がとぼしくなったり、創造性が失われたりしていると思います。

しかも勉強はつらいもの、学ぶって苦しいものみたいになってしまうと非常に残念でありもったいないと思うんです。

それよりも学ぶことは楽しい!教科にとらわれず自分なりにつくっていい!表現していい!というのがこれからの社会すごく大事だと思うんです。

ですので、そのような遊ぶように学ぶ場をつくっていきたいなと思っています。
STEM教育はつくりながら学ぶことが醍醐味なんです。つくるって子どもにとってはとても楽しいことなんですね。

つくる活動と学ぶこと。この二つがSTEM教育はすごく相性が良いなと思っています。

 

親子:中村さんがおっしゃるように、画一的な教育が学ぶことをつまらなくしてしまっているんだなと。

本来新しい知識が入ることって、とても楽しいことですもんね。

そういう意味では海外の教育は柔軟性がありますよね。

中村さん:そうですね、アメリカのボストンにあるタフツ大学では、教育学部と工学部が共同で研究施設をつくって運営しているんですよ。
そんなことをできているのは世界で唯一なんですよ。

地域の子どもたちに工学的な力やテクノロジーを育む力を、教育学の観点で実践していくという取り組みをしているんです。

ステモンではタフツ大学の学生を招いてワークショップを開いたりしています。
ワークショップでは弦楽器などつくるんですが、つくる楽しみだけでなく、そのきれいな音色は空気の振動であるってことを学んでいくんですよね。
とても分かりやすくて素晴らしい体験だと思います。

そういった想いからサービス名もSTEMという言葉を入れたくてSTEM・ONでステモンなんです。!

 

 

認知から周知へ

親子:これだけ魅力的な教育方法ですが、認知されるまではご苦労もおありかと思いますが。

どのような活動でファンを増やしていったんですか?

中村さん:当時誰も、特にお母さん達は聞いたこともなかったんです。ですが間違いなく大事な教育だと確信がありました。

さいわい学童も運営していたので保護者の方と密着したコミュニケーションの取れる関係がありました。

説明する時間がいっぱいあり保護者と蜜に語り合うことができる時間があったことが良かったです。

体験会の60分で理解してもらうのは難しいです。つくることで学ぶということはすぐに点数上がる、単語が覚えられるといったことではないので。

「これをやってなにが身につくんですか?」と良く言われたこともあります。

一方でコアなファンも増えていきました、まだ少数ですが()

 

親子:プログラミング教育が世の中で取り上げられるようになったのは大きかったですよね。

中村さん:そうですね、NHKでも番組が始まり認知されるようになっていきましたね。

私たちは2014年からプログラミング教育にも力を入れていました。2015年度には多摩市立愛和小学校の正課の中で50時間ほど授業をしまして、これは公立小学校では異例です。

この実績を評価していただき、今年は大阪市教育委員会や小金井市立前原小学校で授業づくりを支援しています。

ただ、もともと私はSTEM教育をやりたいと思っていて、プログラミング教育はその中の1つと考えています。実は海外にはプログラミング教育という言葉はなくて、「コンピューティング」とか、「コンピューターサイエンス」という授業の中の1つなのです。私たちはこの位置付けを大切にしていきたいと考えています。

とはいえ、プログラミング教育がブームになることで、社会の目線が広がるのは良いことですね。

 

幼児教育の誤解。早くから段を昇るのと、高いところに到達できるのは違う

 

親子:なぜ幼児や小学生を対象にしているのですか?

中村さん:小さいうちからSTEMに触れているべきだと思っています。あと、私がたくさん見てきた幼児教育の中で、「これは違うだろ」というものが結構あって、それに対するアンチテーゼでもあるんです。

幼児教育という言葉には、集団行動をしつけたり、計算処理などをやるものと、モンテッソーリ教育のような発達段階に合わせてのびのびと思考や発見をする教育と、大きく2つあると思っています。私は後者の方が大切だろうと思います。

モンテッソーリ教育は環境を整え間接的に子どもを導くもので、これが思考の深さや主体的な態度、自己肯定感を育むものです。

 

掛け算や割り算でも幼稚園のうちから学ばせて、できる子はどんどん伸ばしていった方が良いというのは賛成です。しかし苦手な子に無理をさせる必要はない。ほとんどの子どもが2年生3年生になればできるようになるんです。

早いうちに階段を昇って行くのと、最終的に高いところに到達できるのは違うんです。

早さを求めるがゆえに失っているものが有るのではないかなと。早さを求めるのではなく、発達段階に応じてやっておいた方が良いことがあると思っています。

 

親子:あれができたこれができたと結果ばかり急いでしまうと、その過程で失うものが大きそうですね。

幼児教育もピン切りですよね。のびのびやらせてくれるとこもあれば、厳しく接することを良しとするとこも。

中村さん:私は興味のあること、好きなことをとことん夢中になって取り組み続けることの大切さを知ってほしいなと。

子どもが委縮してしまうようなことがなく、子どものうちは周りのことを気にせず好きなことに夢中になってることが良い幼児教育なのだと思います。だからステモンでは夢中になって作る時間を大切にしています。

 

 

学校教育の現状へ ②へ続く