最もベストな授乳方法を選択しよう。
赤ちゃんの授乳方法には3タイプあります。母乳のみの母乳育児、ミルクのみのミルク育児、母乳とミルクの混合育児の3タイプです。
WHOは、生後6ヶ月間は母乳のみで育てることが好ましいと言っていて、長女次女を生んだ産院も母乳育児を奨めてきました。しかし、全てのママが母乳育児を行うことができません。母乳の分泌量、ママや赤ちゃんの体調、ママが仕事復帰する場合などの生活環境により授乳方法が変わってきます。赤ちゃんやママにあった適切な方法を選択することが必要であると私は考えています。
授乳方法3タイプには、それぞれメリットとデメリットがあります。どのようなメリット、デメリットがあるのか今回紹介したいと思います。
◎母乳育児
○メリット
1.赤ちゃんが病気にかかるリスクから回避します。
6ヶ月以上母乳を飲んだ赤ちゃんは以下の病気にかかるリスクが(飲んでいない赤ちゃんと比べ)低くなるそうです。胃腸炎、下気道感染症、耳の炎症、髄膜炎
とくに、赤ちゃんが生まれて母親から出る初めての母乳(初乳)は、分泌型免疫グロブリンAという物質が含まれています。分泌型免疫グロブリンAは消化管の病気などを防ぐ作用があります。
2.母乳育児は赤ちゃんの肥満を防止します。
少量でも1日に必要な必要摂取をみたすことができます。母乳は消化がよく、赤ちゃんの飲む力を育てます。赤ちゃんに授乳するだけで1日に大体600~800キロカロリー消費する、吸われれば吸われるほど、子宮の収縮が活発になるので、産後の回復も早くダイエットにも効果的です。
3.母乳は子どもの知力をあげます。
米医師会が発行する医学誌「JAMA Pediatrics(小児科学)」に掲載された論文では、母乳を与える期間が長いほど、子どもがより賢くなると書かれていたこともあるそうです。その論文の報告によると母乳育児を1年間続けた子どものIQは、そうでない子どものIQを約4ポイント上回ったと報告されました。IQの平均が100前後であるだけにこれは有意な差です。母乳育児を1年間続けた子どもとは、食事の一部として母乳の摂取を続けた子どもを指します。生後6カ月前後に離乳食を始める前に母乳のみを与えられていた子どものスコアはさらに良い結果だったそうです。
4.母乳育児は乳幼児突然死症候群(SIDS)の発生率を低下します。
厚生労働省も「母乳で育てられている赤ちゃんは、ミルクで育てられている赤ちゃんと比べてSIDSの発症率が低いと報告されています。ミルクがSIDSを引き起こすわけではありませんが、赤ちゃんが、よろこんで飲み、体重が順調に増えているなら、できるだけ母乳を与えましょう。」と推奨しています。
5.肌がふれあうのでスキンシップがあります。
授乳は母子の身体が密着し、赤ちゃんが懸命に吸う姿は、生きようとする大きなエネルギーを感じさせてくれます。より一層母子のつながりを強めてくれます。赤ちゃんの吸い付き方で、「いつもより元気がないかな?」など、ちょっとした体調の変化がわかるというメリットもあります。
6.家計にやさしく経済的です。
ミルクを買うと月に10,000円~15,000円の出費になります。それ以外にも消毒用の備品を買い続ける必要があり、出費がかかります。母乳育児は家計にもやさしいと言えます。
7.母乳育児は、手間がかかりません。
外出時の荷物も減り、夜間の授乳の時も、哺乳瓶を洗う、消毒する手間をかけずに授乳できます。
○デメリット
1.ミルクよりも腹持ちがしないから、授乳回数が多くなる母乳は消化に良い分授乳回数が増えます。
赤ちゃんと1日2人きりでいると、母乳だと赤ちゃんに常におっぱいをくれと泣かれずっと授乳していたという話を聞いたことがあります。
2.外出先で授乳をする場所が見つからなくて困ります。
外出先で授乳室を見つけることができず、トイレで授乳するママがいます。授乳室を捜すことが面倒になる場合があります。
授乳ケープを使えば、授乳室がなくても授乳ができますが、授乳ケープが風でめくれてしまえばおっぱいがまる見えになります。
3.乳腺炎のリスクが増えます。
母乳は血液から出来ています。それが乳腺組織に入り白くなるのですが、乳腺が細い人は流れが悪くなったり、詰まりやすくなったりします。乳腺の細い・太いは生物学的に生まれつき決まっているので、自分の努力だけでは変えられませんし、出産して母乳を出してみないとわかりません。
出産した病院で乳房を見てもらう時などに、助産師さんに「乳腺が糸のように細いですね。」と言われたら、乳腺がつまりやすく、乳腺炎にもなりやすい可能性があります。
4.食事を摂るようになっても、卒乳がなかなかできなくなります。
おっぱいに対して愛着がわき、哺乳瓶を嫌がるようになります。赤ちゃんはおっぱいが大好きでなかなか離してくれません。母乳の赤ちゃんはミルクの赤ちゃんにくらべ卒乳しにくいと言われています。
5.母乳に影響がでる薬などを飲むことができなくなります。
ママも人間なので体調を崩す時もあります。体調を崩した時に抗生物質を飲めばすぐ良くなるのに授乳しているがために抗生物質が飲めなくなる場合がでてきます。その場合、体調が悪いことを我慢して授乳を続けるか、断乳して抗生物質を飲みか苦渋の選択をしなければいけません。
6.授乳の体勢により肩こりや腰痛が起こります。
おっぱいを飲むのではなくすっているだけの時があります。その場合授乳時間が長時間におよぶことがあります。授乳中は体制を変えづらいので長時間同じ姿勢になりますので肩こりや腰痛が起こりやすくなります。
7.母乳の分泌が悪いと赤ちゃんの体重が増えません。
赤ちゃんがどれくらい飲んだか分からない、おっぱいをよく加えていても飲んでいない場合があるので役所やショッピングモールなど赤ちゃんの体重計が置いてある場所で常に体重チェックをしておきましょう。
ミルク育児
○メリット
1.ママじゃなくても授乳できます。
ママの体調が悪い時や、赤ちゃんを預ける必要が出てきた時に、ミルクであればパパや周りの人も授乳してあげることができます。完全母乳だと常に「自分が母乳をあげなければ」と思うとプレッシャーがありますが、ミルクも飲めるようにしておくとママも息抜きができて気持ちが楽になります。
2.食事に気を使わなくていいです。
乳腺の細い方や、詰まりやすい方は、どうしても乳腺炎になる、しこりができやすくなります。そのため、甘いものや脂っこいものを食べないように、食事に気を使わなければなりません。また、母乳の場合は飲酒や喫煙を控えること、薬なども控える必要があります。そういった点を気にしなくてよいのがミルクのメリットですね。
3.授乳間隔が長い・授乳時間が短いです。
ミルクは母乳と比べて消化に時間がかかるので、母乳ほど頻繁に授乳する必要がありません。母乳の頻回授乳をしていると乳首が切れて血が出てしまう、夜間何度も起きて授乳してあげる必要もでてきます。
母乳だと赤ちゃんが飲んでるのではなく吸っているだけの時があるので授乳にかかる時間は長いです。ミルクだと吸っているだけがなくなるので授乳時間が短くてすみます。
4.赤ちゃんが飲んだ量がわかります。
母乳だと赤ちゃんがどれくらい飲んでいるかわからず心配ですが、ミルクなら飲んだ量がわかるので安心です。
5.ビタミンKが豊富です。
母乳育児の場合、ビタミンKが不足してしまう傾向があり、ビタミンK欠乏性出血症になってしまうことがあります。しかし粉ミルクはビタミンKの含有量が多いため、その心配がありません。
6.ママの食事や飲み物が制限されません。
授乳中はカフェインやアルコールなど、気をつけなければいけない食べ物や飲み物があります。しかし完全ミルク育児であれば、それらを気にする必要はありません。ときにはパパが赤ちゃんの相手をしてくれている間、友達とお酒を飲みに行くこともできます。
○デメリット
1.子宮復古の遅れやすくなります。
母乳にくらべ子宮の戻りが遅くなりがちということです。赤ちゃんが乳頭を吸うとオキシトシンが分泌されて子宮の収縮が促されますが、完全ミルク育児だと乳頭への刺激がないため、子宮が元に戻るのが遅れてしまいます。
2.荷物が多くなります。
外出するときの荷物が多くなるのもデメリットです。哺乳瓶はもちろん、小分けしたミルクやお湯を入れた水筒は外出時の必需品となります。
3.お金がかかります。
粉ミルクは買わなければいけないので、その分出費が増えます。
4.夜間の授乳が大変です。
ミルク育児の場合は赤ちゃんが泣くたびにママやパパが起きてミルクをつくる手間がかかります。
5.赤ちゃんに免疫がつきにくいです。
母乳に含まれる免疫力がもらえないことです。母乳には殺菌力や風邪などに対する抗体が含まれていますが、ミルクだとそれらをママからもらえません。
混合育児
○メリット
母乳とミルクの両方のいいとこ取りができます。
夜間や家にいる時は母乳にし、人に預けるときはミルクにすると楽ですよね。また、子宮復古も遅れ過ぎず、赤ちゃんはママの免疫も摂取できます。
○デメリット
1.多少の出費と量の過不足が明瞭ではありません。
ミルクはどのくらい飲んだのかわかりますが母乳はいくら飲んだかわかりません。ミルクをたくさん飲んだ場合でも母乳もたくさん飲むことも考えられます。
2.ミルクが続く期間が長いと、おっぱいが詰まりやすくなってしまいます。
長い時間母乳を飲ませないでいるとおっぱいがはってきます。はりが原因でおっぱいがつまりやすくなることがあります。
長女と次女母乳かミルクの選択例
○長女・・・完全母乳
おっぱいが出ない方ではなかった、産院から母乳育児を強く勧められていたので母乳で育てました。夜の授乳やお出かけの時、荷物が少なくなる点は良かったです。しかし、卒乳に苦労する、授乳に時間がかかるなど、何度かおっぱいを求められるなど大変なところもありました。
○次女・・・混合
生後5カ月まで母乳で育てましたが長女がいたのでゆっくりと授乳する時間がなく離乳食開始と同時に混合に切り替えました。長女は哺乳瓶を大抵抗したのですが次女はすんなりと哺乳瓶でミルクを飲んでくれました。混合にしたことで母乳とミルクの良いところ取りができ、授乳時間が短くなるなど育児が楽になった気がしました。
母乳、ミルク、混合のメリット、デメリットを紹介しましたがみなさんはどれを選択しますか?最も良いのは母子ともに負担がない授乳方法がベストだと私は思います。自分自身、赤ちゃんの都合に合わせて授乳方法を選択してみてください。