化石発掘10周年【対談】イラストレーター松島ひろしさん⑤

発売10周年を迎えた触れる図鑑シリーズ「化石発掘」。
その図鑑ページにある恐竜イラストを手掛けた、イラストレーター松島ひろしさんにインタビューする機会をいただきました。

【イラストレーター松島ひろし】さんってどんなひと?

都内在住のイラストレーター
映画やテレビの美術製作や、専門学校での非常勤講師といった経歴を持つ。過去の作品として、雑誌・ムック本の挿絵イラストはもちろんのこと、NHKの番組のイラストや美術製作、ゲーム「モンスターハンター」のイラストなど、活躍するジャンルは幅広い。
親子の時間研究所でも、触れる図鑑シリーズ「化石発掘」の恐竜時代のイラストや、おそらの絵本「ピコポコプー」のイラストの他、親子の時間研究所研究員として「大きな新幹線塗り絵」を開発している

前回のお話

(お仕事をしていて嬉しかったこと、失敗したことなどを教えてもらいました。)


松倉「松島さんは普段日頃心掛けていることや、こだわったり工夫していることなどはありますか?」

松島「健康で、なるべくゴキゲンに過ごすことでしょうか。
健康も画材のひとつです。」

松倉「なるほど。その考え方はとても興味深いです!」

松島「絵に取り組むのは肉体労働。描き続けるための体躯と精神力を維持したい。
とはいえなるべく歩くとか駅では階段を使うとか程度なのですが。
気持ちの健康も大事です。機嫌よくいられる環境をなるべく作ります。
いわゆる『ゴキゲン』で居ることで仕事も楽しめるし、結果それが創作物に影響を与えると思います。ただし、創作においては清廉潔白だとどうしても面白みに欠けてしまいます。
その時には、私の中の秘めたる『イタズラ小僧』や『イケナイヒト』を呼んできます。
綺麗にまとめるだけではなくちょっとだけ、ノイズを入れ込みたいと考えています。」

松倉「松島さんの明るい人柄や魅力は、内に秘めた『イタズラ小僧』が関係してるのかもしれないですね!(笑)」

松島「また人でも出来事でも、多面的に見聞きしていきたいと思います。
いっちょかみ、という方言があります。関西では何にでも口をはさむ人、首を突っ込んでくる人、またその行為をいいます。」

松倉「初めて聞きました!」

松島「そう、いっちょかみにはそういった意味があるんですけど、森羅万象のモチーフに対して好奇心旺盛で興味を持って居たいと考えます。知るうるすべてにいっちょかみでいたい。
それは、絵にするときにどこか共通することがあると表現に幅が持たせられると思うからです。」

松倉「いっちょかみでいたい。長く描き続けているからこその言葉な気がしますね。」

松島「いまAIが進化して、自動で絵が生成できちゃう時代になりましたね。それもここ数年で彼らはとっても上手な絵を描くことができるようになってる。
そんなことができるなんて少し前は考えもしなかったけど、将来は自分の仕事がなくなっちゃうかもしれない!どうすればいいですか?笑」

松倉「確かにテクノロジーの進化は、ついていけないくらい進化している時もありますよね。便利なんですけど。だからこそ私は最近アナログの魅力もよりひきたっているように感じます。化石発掘のイラストもそうですけど、どうしたって手書きの雰囲気って手書きでしか表現できないものがあると思います。」

松倉「ちなみに趣味や、興味のある人物などがありますか?」

松島「趣味は水辺の散策。釣竿を持っているとなお楽しいです。」

松倉「松島さんの作品を紹介するサイトで魚の絵を拝見しました。釣りもお好きなんですね!」

松島「魚はもちろん、草花、カエルやヘビ、鳥など…とりまく自然をなんとなく愛でています。
世の中全て、知らないことだらけです。
経験値も足りず、人にも物にも、興味は尽きません。」

松島「いちばんの興味は、人の争いを止める方法、でしょうか。
差別や貧困、偏見を無くす方法。人が人を思い、いきものや環境を思い、知恵と頓知でゴキ
ゲンに維持しながら、より良いかたちになる方法…それに興味があります。」

松倉「この先の子どもの未来を考えると、争いを止める方法については私も興味があります。お話を伺いながら、常に興味というアンテナを広範囲で広げているような感じがしますね。」

松倉「松島さんのご家庭は奥様とお子さんが居られますが、ご家族について思っていることはなんですか?」

松島「うーん、健康でゴキゲンに暮らしていって欲しいものです。
その環境を守ってあげたいですね。
課題は目白押しですので身が引き締まります。
どんなものでもいいので、たくさんの愛でるものをみつけてくれるといいな、と思います。」

松倉「”守ってあげたい”。お父さんとしての言葉な感じがしますね。」

松倉「それではこの先挑戦してみたいこと、行ってみたい場所などありますか?」

松島「たくさんあって困りますが、絵と音楽と造型と映像と芝居などなど、いろんな創作を続けると同時に、それらから新しいものを作ることに挑戦していきたいです。」

松倉「今まで携わられたお仕事からも作ること全判がお得意なのが伺えます。”作ること自体”が楽しそうですね」

松島「行ってみたいのは、快適な自然があるところ。
美しい環境の中で綺麗な魚が釣れる池や綺麗な川に行くのがいいなあ。
かつてカナダの森林をヘリコプターで低空飛行する経験をしたのですが、針葉樹をかすめるよう
に一直線に飛んで行く心地よさは忘れられません。また、琵琶湖をボートの先端に座ってこれも
また一直線に走った疾走感も最高でした。」

松倉「想像するだけで気持ちよさそうです!」

松島「あとは重力を離れてストレートに移動する感覚を味わえるところへ行ってみたいと思います。
ということは、宇宙船に乗って月とか宇宙へ?…息が吸えなさそうなので嫌です (笑)」

松倉「(笑)」

松島「あとは、黄泉の国と天上界。ほんとにあるのしら?確認しに行きたい。
夢。
引き続き、モノを作ったりしていきたい。
時折り、なかまと手を組んで大きなこともしたいかな。」

松島「なによりも、子どもたちが幸せになるためには大人がどうしたらいいか?を考えて学び教え実践していきたいです。厄介ごとを解消していくのが大人の仕事ですが、あれこれ、なかなかうまくはいきません。
彼らには、色々あれど、人として生きていくと楽しいこと多いよ、と伝わるといいです。
なぜなら今の私はずいぶんとオトナな年齢ですが、まだまだ青臭いし、結構楽しいし、ワクワクし
ています。」

松倉「松島さんのお話を伺って、なんだか私は日常がすごく凝り固まっていたようにも感じます。もっと毎日を楽しんだり、ワクワクすることをみつけるもの必要だなと思いました。忙しさに周りが見えてないことが多いですが、どうせなら楽しく笑っていられる人生がいいなと改めて思いました。」

松島「そうですね、身の周りには見方や考え方を変えると面白いことだらけですもんね、楽しんでいきたいですよねー!」

松倉「本当にそうですね!
今日はお忙しい中お時間をいただき、ありがとうございます。松島さんの明るく気さくな雰囲気もあり、終始楽しくお話ができたように思います。ありがとうございました。」

以上、イラストレーター松島ひろしさんに幼少期についてやお仕事について教えていただきました。
子どもの頃のいろんな遊びと体験が、想像力を育む土台になっているようでした。
松島さんが小さな頃に作ったものや描いたものを、おばあ様がどれも褒めてくれた事が自信につながったと伺ったときも、「あれ?私は褒めていたっけ?」と、つい我が身に置き換え振り替えてしまいました。

子どもが何かに夢中になるというのはとても喜ばしいこと。
集中できることがあれば、ぜひ伸ばしてあげたいですね。


全部で5話にわたり、化石発掘10周年を記念し、化石発掘の恐竜イラストを描いたイラストレーター松島ひろしさんとのお話でした。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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